金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

SEPTEMBER

26

新聞購読のお申込み

鳥羽工産 甦れ!往年の名車たち【金型の底力】

「コロナ禍で航空機など需要が落ち込み、試作車市場も変化している」と語ったのは鳥羽工産の傍島聖雄社長。同社は金型製作(プレスや射出成形)から量産(少ロット)まで一貫生産体制を強みに、これまで自動車の試作型や試作車の製作、航空機部品などを手掛けてきたが、時代の変化を感じ取った傍島社長は新市場の開拓に踏み切った。

大型プレス機など設備も充実

今年で創立65年を迎える同社は航空機向けの治工具製造から得た鋳造技術を活かし、自動車の試作や開発に特化した金型から部品製作、レーザー加工、車体組立まで行う。プレス機(加圧力2000㌧)、射出成形機(型締め力3000㌧)の大型設備や3Dスキャナなども保有し、様々な自動車メーカーの試作車を手掛けてきたが、近年は「試作車作りもシミュレーションが主流となり、試作開発案件も減少している」と傍島社長。市況の変化は製造現場のモチベーション低下にもなり、何か新しい市場はないかと模索していた。

目を付けたのが旧車の部品のリバースエンジニアリング。昨今、旧車ブームで、金型や部品製作など一貫生産体制の強みを活かせると、大橋潔専務と社内プロジェクト(選抜チーム)を立ち上げ市場調査を開始する。最初に手掛けたのはフェアレディZ(日産)のS30のフェンダー部品だ。

フェアレディZ S30のフェンダーを3Dスキャン

だが、図面もなく当時の部品を蘇らせるのは簡単ではない。「やり始めると現代の車は1部品で構成されているが、当時の車は複数の部品で構成されていることが分かった」と大橋専務。そうしていると、トヨタ自動車のトヨタスポーツ800(通称ヨタハチ)のオーナーと出会い、ホイールキャップのリバースエンジニアリングに挑戦する。「作っても何かが違う。オーナーの方に指摘してもらい、前期型・後期型で形が異なることが分かり、改良を加えた」と培った金型や部品製作のノウハウを活かし、見事にホイールキャップ復活に成功。展示会にも出展し、旧車のレストア需要に応える。傍島社長は「まだ需要は少ないが、秘密の案件も動き出している。当社ではボデー部品(インナー・アウター)はもちろん、内装部品以外なら何でも作れることを強みにしたい」。現在、自動車のアフターマーケット市場は20兆円とされ、今後も成長すると言われる。「旧車の部品作りは当社の技術を網羅したもので、現場のモチベーション向上やブランディングに活用したい」とし、インスタグラムに『鳥羽部品商会』を立ち上げ、将来は事業化も見据える。

トヨタスポーツ800の前期型・ホイールキャップ

傍島社長が考えるのは自動車試作、航空機部品に次ぐ第3の柱の構築だ。豊富な技術、設備を活かし、旧車のリバースエンジニアリングほか、様々な企業の研究開発支援も行っている。そこで『顧客ニーズに応じた金型提案』を掲げ、型の材質や納期、ショット数、型不要など分かりやすく体系化することで、型費を抑えたい、またはショット数を増やしたいなど様々なニーズに対応し、顧客も安心して製作依頼ができる。「量や質に応じた型提案を武器に、鉄道や建機など顧客開拓につなげたい」と傍島社長。自動車業界はEV化やデジタル化で変化の真っ只中にあるが、チャンスも広がっている。金型から部品生産まで一貫生産体制で得た経験と技術を活かし、新市場の開拓は始まったばかりだ。

傍島 聖雄社長

会社の自己評価シート

金型から部品製造まで一貫生産できる「技術力」「チーム力」「設備力」は高い評価で様々なニーズに応えることができる。また、旧車のリバースエンジニアリングなど次世代を見据えた「対応力」や「投資力」も同社の魅力の1つ。今後はPRや収益力も高めていく。

会社概要

  • 本社: 岐阜県可児市姫ケ丘市4-1-5
  • 電話: 0574・60・1500
  • 代表者: 傍島聖雄社長
  • 創立: 1958年
  • 従業員: 308人
  • 事業内容:自動車や航空機部品の金型設計・開発・製作、試作車、旧車部品のリバースエンジニアリング。

金型新聞 2023年7月10日

関連記事

直彫加工のニーズに応え、横型の微細加工機を開発 塚田良彦氏(東洋機械製作所 取締役Th事業部長)【この人に聞く】

長年、工作機械や放電加工機メーカーのOEMやODMを手掛けてきた東洋機械製作所。鋳造から機械設計、製作、塗装、組立までを手掛ける能力の高さから多く機械メーカーの製品の設計や製造を請け負ってきた。そんな同社が35年ぶりに自…

ヒシヌママシナリー・菱沼慎介社長 世界から選ばれる会社へ【この人に聞く】

新しい市場ニーズに対応 ダイカストマシンメーカーのヒシヌママシナリー(埼玉県嵐山町、0493・62・3311)は昨年11月、菱沼慎介常務が社長に就任した。同社はマシンだけでなく、自動化装置や金型温調機などの周辺装置も含め…

棚澤八光社 岩手工場新設、東北でシボ加工を提供【金型応援隊】

シボ加工などを手掛ける棚澤八光社は今年4月、岩手県一関市に国内10拠点目となる岩手工場を設立した。集積が進む自動車産業を中心に東北地区の顧客に対し、より迅速かつ充実したサービスを提供していく。 岩手工場には10t/10t…

藤木孝弘専務に聞く 新中期計画のもう一つの目的 【ササヤマ challenge!Next50

「SAIMS247」の推進役、藤木孝弘専務はその目的の一つに「次の50年を担う人材の育成」があるという。自らの体験を振り返りつつ、思いを語ってもらった。 金型の魅力をもっと社員に知って欲しい SAIMS247のもう一つの…

新栄ホールディングス 金型の新会社を設立

プレス加工メーカー3社を傘下に持つ新栄ホールディングス(東京都中央区、03・5843・6096)は昨年8月、傘下のアポロ工業(埼玉県吉川市)の金型部門を切り離し、アポロ技研(同)を設立した。金型の設計、製作に加え、メンテ…

トピックス

AD

「安かろう悪かろう」を覆す「Autodesk® Fusion®」の実力 応用技術(株)がウ...

応用技術株式会社(大阪市北区、06・6373・0440)は7月8日、ウェビナーイベント「Fusion DAY」を開催した。 応用技術はオートデスク代理店の最上位資格である「... 続きを読む

関連サイト