金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

01

新聞購読のお申込み

【この人に聞く】MOLDINO・鶴巻 二三男社長

切削工具メーカーのMOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)は金型加工に特化した工具の開発に取り組んでいる。昨年4月にはこれまでブランド名だった「MOLDINO」を社名に改め、これまで以上に金型加工の課題を解決する工具やソリューションの提供に注力する。人手不足や技能伝承、短納期化、加工の高度化などが課題となる中、金型加工現場に対して、どんな工具の開発や提案を行っていくのか。今年4月に就任した鶴巻二三男社長に聞いた。

微細精密、環境負荷低減に力

つるまき・ふみお
1959年生まれ、東京都出身。81年慶応義塾大学卒業後、三菱金属(現三菱マテリアル)入社。2012年執行役員、15年常務執行役員加工事業カンパニープレジデント、18年ダイヤメット社長、21年MOLDINO社長、現在に至る。

金型加工現場の現状をどう捉えているか。

各社によって異なると思うが、一つ言えるのはどの現場も加工のどこかに困りごとを抱えているということ。これまでの金型加工は熟練技能者による高度なすり合わせ技術によって成り立っていたが、人手不足や熟練技能者の高齢化などによってそれが難しくなっている。当社はそうした課題を解決する工具や提案に力を入れている。

具体的には。

以前から提唱している「PRODUCTION50」がその一つ。金型加工コストのうち工具費が占める割合は数%で、これを半分に抑えてもコスト低減効果は薄い。それよりも加工工程全体の効率化を図った方が効果は大きいという考え方で、工具だけでなく工法も含めた提案を行っている。

そうした提案を行うためには。

昨年4月に提案営業を専門に行う「ソリューション営業部」を設立した。営業と連携しながら最適な工具や工法などを提案している。また、この部署が中心となって社内の教育にも力を入れており、提案力の底上げに取り組んでいる。

注力する開発テーマは。

微細精密だ。今後、5GやEVなどによって微細精密金型の需要は高まるとみている。こうした需要に対応するために小径工具のラインアップを拡充している。また、CBN・PCD工具の開発も検討している。

現在、野洲工場や成田工場にあった設備を昨年再稼働させた魚津工場に移管する計画を進めている。空いたスペースで小径工具向け製造設備などを導入し、新しいことに挑戦していきたい。

その他には。

環境負荷の低減にも取り組む。これまでと同様、高能率工具や加工改善の提案によって、消費電力の抑制などにつなげる。また、超硬リサイクルにも注力する。今後、ユーザーや代理店の方々への周知を強化し、回収率の向上を目指す。

目指す姿は。

今後も難度の高いハイエンドな金型加工に対して、工具やソリューションを提案し、金型市場で存在感を発揮していきたいと考えている。「金型と言えば、“MOLDINO”」と言われる切削工具メーカーを目指す。

金型新聞 2021年12月10日

関連記事

不二精工 淡路島で新工場を稼働し、大型化対応や研究開発を強化【金型の底力】

同社は1920年の創業で、接点などの電子機器向けのプレス部品を強みに業容を拡大してきた。近年は、車載部品での採用も進んでおり、その精密な金型とプレス技術は世界中で認められている。 例えばスマートウォッチに搭載された気圧セ…

首藤公徳さん 金型組立で現代の名工に選ばれた【ひと】

三井ハイテック モータ金型技術部 モータ金型組立グループ 特任技師 首藤公徳さん(62) 電気自動車や家電に不可欠なモーター。そのコアは鉄の板を打ち抜き、作られる。精密で複雑な形状のコアはパンチやダイが絶妙なクリアランス…

【ひと】七宝金型工業営業部・松岡咲希さん(25) 女性が活躍する職場へ

女性が活躍する職場へ 「友達に金型を知っている人はいなかった」と話すのは七宝金型工業の松岡咲希さん。同社社長を務める父の影響で入社し、現在入社4年目。仕上げやCAM課を経て、昨年から営業部に所属し、訪問から見積もり依頼、…

鋳造に独自の新工法
マツダ

特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法  次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…

【金型応援隊】GENIO SOLUTIONS 人材の育成をサポート

「扱い切る」ことが重要 「CAD/CAMを取り扱うのは、あくまで人。だから、CAD/CAMを扱い切れる人材から育てる必要がある」と語るのは、GENIO Solutionsの渡邉康二社長。同社は、海外メーカーのCAD/CA…

トピックス

関連サイト