金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

東亜成型 キャンプ用品を販売

培った技術活かす

自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えており、医療関連や半導体関連ではこれまで以上に部品の複雑化や微細化が進んでいる。多くの金型メーカーが、こうした変化をチャンスと捉え、自社の高い金型技術や加工技術などを生かし、新しい需要を上手く取り込もうと動き始めている。新規設備に投資したり、独自の商品や技術を開発したり、その取り組みは様々だ。政府も補助金などの支援制度を設け、金型メーカーの新分野の開拓を後押ししている。金型メーカーの新分野はどこにあるのか。“ニューフロンティア”を目指す各社の挑戦に迫る。

東亜成型 グリルQ

一つで多様な料理ができる

BtoC向け開拓に力

浦竹重行社長

当社は自動車のシートなどの金型を手がけています。金型メーカーはどこもそうだと思いますが当社も受注の波が激しく、不況時には一気に暇になってしまう。自動車を作らない状況では、いくら営業を頑張ったとして売り上げにつなげることは難しい。そんな中で売上の分散のため、不況時でも自社の努力で売ることができるBtoC向けの製品開発は、以前から考えていました。

その中で初めて商品として完成したのが、バーベキュー用の料理器具「グリルQ」です。アイデアは、「たこ焼きを作りながらお好み焼きも焼きたい」という家庭内でのちょっとした会話から生まれ、試作品を作っては自宅で試しながら、ようやく完成しました。

焼く、煮る、揚げる、蒸すといった4つの調理法に対応しており、自宅でもキャンプでも使えるように設計しています。

自社製品を売り出す上で大切なのは、何ができて何ができないかを見極めることだと思います。例えばグリルQのPR。自社だけで行っても効果は薄いと考え、広報用のWEBサイト作りは専門業社に、SNSでの拡散は会社として付き合いのある学生さんに依頼するなど、必要ならば費用を払ってでもプロや、慣れている人に任せることにしました。一方、比較的簡単な広報サイトの記事の更新作業などは、自社で行っています。

自社でできることは自社で、それが無理なものは外部に任せる。それだけで、無駄にお金をかけることも本業をおろそかにすることもなく、効率的な製品開発や広報活動ができます。

今後もBtoC向け製品の開発には注力していく予定です。グリルQのカスタム品は既に構想がありますが、それ以外にも一般顧客向けの金属部品製造も考えています。例えばバイクのカスタム部品。専用品がなく汎用品も適合しない車種は、装備を諦めるしか自作するしかない。バイク用品に限らず、そういった「欲しいけど存在しない」商品は、BtoCビジネスの中に埋もれているはず。そういった見えない需要に対して、上手く受注システムを整えるなどすれば、さらに多様な市場に挑むことができると考えています。

会社概要

  • 本社:大阪府大阪市西淀川区中島2-11-98
  • 電話:06-6474-5688
  • 代表者:浦竹重行社長
  • 従業員数:15人
  • 事業内容:自動車・バイク用ウレタン発泡金型、厚物真空成型型の製造、販売

金型新聞 2022年3月10日

関連記事

デジタルとアナログ融合し、型づくりの構想力鍛える 八光技研【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

技術者育成、生産性向上に貢献 開発試作プレス部品の金型、プレス、レーザー加工まで一貫して手掛ける八光技研。アナログとデジタルを融合させる解析ソフトの活用術で、育成や大幅な生産性向上に役立てている。 同社はレーザー加工技術…

日新精機が繁忙期対策のために進めることとは

協力企業との連携推進 時期によって業務の量に差が生じることは少なくない。特に金型業界では、製品のモデルチェンジや更新のタイミングなどに受注が集中するため、繁忙期と閑散期で現場の稼働状況は大きく異なる。繁忙期には残業や休日…

ウエブサイトやSNS活用し、見込み顧客発掘 【特集:営業ってどうする?】

金型メーカーの新規顧客の開拓方法が変わりつつある。これまでの直接訪問やテレアポといった手法から、インターネットやスマホの普及、コロナ禍で急速に進展した非対面活動の拡大によって、ウエブサイトやSNSなどを使って情報を発信し…

【特集】新時代の金型自動化

現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…

金型メーカー座談会<どうなる2014年 どうする今後の展開003>

金型メーカー座談会<どうなる2014年 どうする今後の展開003>

経営者が語る 精密加工や新分野に挑戦 2月10日号のつづき 司会 次年度には設備投資の一括償却が可能になるという話も出ていますが、投資計画に変更などありますか。 鈴木 毎年の積み重ねが重要ですからね。日本でどのようにもの…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト