金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

24

新聞購読のお申込み

金型でも金属AM技術の活用が広がる理由

コスト低減、用途開発進む

国際規格の策定も進む

金型分野でも金属粉末を使った付加製造(AM)技術の活用が広がりつつある。背景には、装置を始めとしたAM技術の進化やユーザーの改善などによって、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが挙げられる。また、製造コストに見合った用途開発が進み、費用対効果の高い活用方法を見出す企業が増えていることも一つだ。今後のさらなる適用範囲拡大が期待される。

支援企業、団体も増加

金属AMの市場規模は拡大傾向にある。昨年、日本能率協会総合研究所が発表した資料によると、世界の金属3Dプリンタ市場の規模は2019年の1300億円から25年には約2倍の2500億円まで拡大するとみられている。航空機や医療、自動車分野などで導入が進んでおり、金型分野での活用も広がっている。

電子部品などを手掛ける南信精機製作所(長野県飯島町)は樹脂製自動車部品の金型に金属AMを適用する。豊田自動織機(愛知県刈谷市)では金属AM装置を導入し、カーエアコン用コンプレッサのダイカスト金型部品を製造している。

こうした企業が増えているのは、これまで課題とされていた製造コストが低下していることが大きい。あるドイツの調査会社によると、1㎤の製造コストは、13年は3・14ユーロ(約420円)だったが、18年には1・6ユーロ(約210円)に半減し、23年には1・1ユーロ(約150円)まで低下するという。

ある金属AM装置メーカーは「装置の性能が向上し、生産性が向上していることに加え、普及に伴い、材料価格も低下する可能性がある」と話す。またあるソフトウェアメーカーは「シミュレーション精度が向上し、失敗や手戻りが減っていることもコスト低下の要因になっている」と指摘。

ユーザーでもコスト低減に向けた取り組みが進む。豊田自動織機ではAM造形部を減らしたり、機械稼働率を向上させたり、設計工数を削減したりすることで、製造コストを低減している。

一方で、単なる従来工法からの置き換えではコストメリットは得にくい。そこで重要となるのが、適した用途の見極めだ。金型分野では冷却効率を改善するためにAM技術を活用する事例が目立つ。南信精機製作所は「複雑形状で冷却に課題のある製品を中心に適用範囲を広げていきたい」とする。

最近では用途開発を支援する企業や団体なども増えている。また、国際規格の策定なども進んでおり、金属AMを活用しやすい環境が整いつつある。今後、金型分野でもさらに活用する企業が増えそうだ。

金型新聞 2022年5月10日

関連記事

サンワ金型 様々な仲間が集まる工場に【特集:かっこいい工場】

金型メーカーからエンジニアリング企業へ 「金型メーカー単体では生きるのが難しい時代だからこそ、新しいモノを作りたい人や企業がシーズを持ち寄り、一緒に花を咲かせられるガーデンとしての開発工場を目指す」と鈴木大輔社長は202…

日本金型工業会 山中雅仁会長に聞く 4つの軸を推進する理由【特集:日本金型工業会第14回定時総会】

「業界連携」、「市場拡大」、「魅力度」、「商品企画」—。日本金型工業会は昨年、これら4つを金型産業の稼ぐ力向上の推進軸として打ち出した。それぞれにワーキンググループ(WG)を立ち上げ、施策検討や事業活動を進めている。4つ…

【特集】どうなる、5Gで求められる金型技術

高速通信規格「5G」の社会実装が本格化することで、金型にはどんな影響があるのか。また、どんな金型技術が求められるようになるのか。日本情報技術産業協会(JEITA)や先進企業などへの取材を通じ、今後の方向性を探る。 目次P…

日本流のギガ確立へ【特集:ギガキャストの現在地】

自動車の構造部品を大型のダイカストマシンで一体鋳造する「ギガキャスト」。部品点数の減少など、金型づくりに大きく影響する可能性があることから注目を集めている。すでにトヨタ自動車を始め、複数の自動車や部品メーカーらが参入を表…

牧野フライス製作所 人の作業やミス減らす、各種データを一元管理【特集:金型づくりを自動化する】

金型加工支援システム 「人が介在する作業をどう効率化するか」—。牧野フライス製作所は工具やワーク、加工情報などのデータを自動でつなぎ、一元管理することで、人による作業を減らす提案を強化している。 加工の自動化は進化する一…

トピックス

関連サイト