金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

2年に1度の専門展「2022日本ダイカスト展示会」開幕 見どころをピックアップ

ダイカスト関連技術が一堂に会する「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec2022)」が11月10日から12日までの3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される。主催は日本ダイカスト協会。展示会にはダイカストマシンや周辺機器、金型関連メーカーなど154社・団体が出展。会議では27件の研究論文、7件の現場改善事例が発表される。最新鋭の機械や機器、最先端の技術や事例などが発表され、ダイカストに関連する最新情報が集結する。同展の見どころをピックアップする。

脱炭素、EV対応に注目

アルミダイカスト製フロントサブフレーム(リョービ)
ダイカストマシン(芝浦機械)

「日本ダイカスト会議・展示会」は2年に一度開催され、今年で22回目を迎える。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で展示会の開催は中止。18年に開かれた前回展は、ダイカストメーカーや自動車メーカーなど2万人以上が来場した。

ダイカスト製品やダイカストマシンの他、周辺装置や金型、表面処理、炉、検査・測定、ソフトウエアなどダイカストに関連するあらゆる技術、製品が展示され、技術発表などが行われる。特に見どころの一つになりそうなのが、近年あらゆる産業で大きなテーマとなっているカーボンニュートラル。ダイカスト業界も例外ではなく、カーボンニュートラルに対応した製品や環境負荷を低減する技術などに注目が集まっており、多くの出展企業がカーボンニュートラルや環境負荷低減、省エネなどをテーマに掲げた展示の披露や技術論文が発表される。

環境負荷低減する技術

前回展のダイカスト協会ブース

ダイカストマシンや溶解炉メーカーでは、環境負荷低減の性能を持つ機械や装置だけでなく、IoT技術を活用した可視化システムも展示する。機械の稼働状態や生産状況を見える化したり、CO2排出量を数値化したりすることで、効率的な運用や省エネ化、不良率の低減などを提案。また、部品の一体化を実現する生産技術や、CO2排出量の少ない溶解技術なども紹介される。

HV・EV部品(美濃工業)

日本ダイカスト協会のブースでも環境対応を意識した展示が並ぶ。アルミニウム合金のリサイクル性を紹介するパネルや、ダイカスト製品の薄肉化の変遷を辿る展示の他、米テスラ社のEV車体の一部やEVのフォーミュラーカーなども展示する。同協会は「サスティナブルを中心に、リサイクル、省エネ・環境、カーボンニュートラルをテーマとし、業界内外にアピールしていきたい」と意気込む。

もう一つ大きなテーマとなりそうなのが、ここ数年で急加速する自動車の電動化に対応した技術や製品。バッテリーケースやモータケース、eアクスルケースなどの電動化部品や、車体の軽量化ニーズに応えるボディやシャシー関連部品、薄肉化を実現する鋳造技術などが数多くみられそうだ。

金型メーカーも多数出展

また、金型メーカーを始めとした金型関連の展示も目立つ。日本金型工業会中部支部ダイカスト部会は8社共同で出展し、金型技術や、補修技術などを紹介する。また、金型メーカーの日本精機は、金属3Dプリンタで造形し、冷却効率を向上させた金型部品を展示。同じく金型メーカーの吉田金型工業は金型技術に加え、自社製品の電動作業台などを展示する。

その他、現場環境を改善する段取り改善装置やダイカスト品質を向上させる表面処理技術、検査測定装置、生産性を向上させる潤滑・離型剤など、さまざまな周辺製品・技術が出品される。また、3D技術を活用した解析やリバースエンジニアリングなどのサービスや提案にも注目したい。

また、展示会や論文、事例発表の他、特別講演も行われる。愛知工業大学工学部客員教授の藤村俊夫氏が「自動車用燃料・エネルギーの脱化石化と電動車展開シナリオの提示」をテーマに講演。トヨタ自動車モノづくり開発センター素形材技術部ダイキャスト技術室長の須田智和氏が「自動車の動向とダイカストへのニーズ」をテーマに講演する。

展示会や特別講演は無料。研究論文や現場改善事例発表の聴講は有料。詳細は公式ウェブサイトから。

開催概要
  • 会  期:2022年11月10日(木)~12日(土)
  • 開場時間:9:00~17:00(初日のみ開会式終了後9:30開場、最終日のみ16:00閉会)
  • 会  場:みなとみらいパシフィコ横浜 展示C・Dホール
  • 主  催:日本ダイカスト協会
  • 出 展 者:154社・団体
  • 入 場 料:無料

金型新聞 2022年11月9日

関連記事

アクスモールディング 押出成形金型の設計簡易化【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

廃棄部分の再利用も可能に 高機能フィルムの製造に適した押出成形金型「Tダイ」などの設計を手掛けるアクスモールディング。同社は、今年の3月にソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」を導入。押出成形金型の設計の簡易化…

深穴座ぐりを工程短縮
ダイジェット工業

タイラードリル3D・5Dタイプ ダイジェットの公式製品紹介は、こちらから 現場の課題  金型への3L/Dや5L/Dなど深穴の座ぐりで、効率良く高精度に加工できる工具が求められていた。 提案・効果  「3Dタイプ」と「5D…

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした<br>日本のお家芸復活のカギは

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした
日本のお家芸復活のカギは

 今なおリーマン・ショック前の7割の生産額―。プラスチック金型は、リーマン前の水準に戻った鍛造型や8割のプレス金型などと比べると回復していない。技術力、そして生産力でも圧倒的に世界をリードした「日本のお家芸」の復活のカギ…

東亜成型 キャンプ用品を販売

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

特集 : 金型づくりを変える6大テーマ
関連技術編

注目技術7選!! 放電加工機を遠隔保守三菱電機  iQ Care Remote4U(アイキューケアリモートフォーユー)  IoT技術を活用して、放電加工機の様々な情報を収集・蓄積し、遠隔地からリアルタイムで確認・診断する…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト