金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

23

新聞購読のお申込み

インターモールド2023総集編

金型加工技術の専門展示会「インターモールド2023」が4月12日〜15、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、4万人近くが来場した。会場では、工作機械メーカー、切削工具メーカーなどが金型作りに関連する最新技術を披露。今回特に目立ったのが、人手不足を解消する「自動化」や、成長分野として注力する企業が増えている「微細加工」、「カーボンニュートラル」の展示だ。「インターモールド2023」から、金型加工技術のトレンドを読み解く。

自動化:ロボットで脱着、 搬送、 洗浄も

ワイヤ放電加工機とAMRを組み合わせた自動化システム(三菱電機)

金型製造現場は、慢性的な人手不足を抱えている。このような課題を解消するため、ロボットや周辺機器などを組み合わせた自動化提案が一層進んでいた。

三菱電機は、水仕様ワイヤ放電加工機「MPシリーズ」に、協働ロボットを搭載したAMR(自律走行搬送ロボット)を組み合わせた自動化システムを展示した。ワークの脱着、搬送、簡易洗浄を自動化できる。独自のスケジューラを開発し、稼働監視システム「Remote4U(リモートフォーユー)」と連携させることで、機械の稼働状況に合わせて、柔軟にAMRを動かすことが可能だ。

新日本工機は、大型マシニングセンタ(MC)を中心に据え、大型プレス金型向けに自動化ラインを提案。加工前のワークを自動測定、ロボットによる切り粉の排出、肉盛り溶接の自動化などといった未来の金型作りのコンセプトを紹介した。

微細加工:2万超の加工誤差をサブμmに抑える

YBM950V Ver.Vで加工した金型を模したサンプル(安田工業)

微細加工では、出展製品に加え、展示サンプルも多く紹介された。今後成長が期待される燃料電池部品や医療分野などで活用される微細加工に注力する企業は増えている。

安田工業は、立形MC「YBM950V Ver.V」で加工した金型を模したワークサンプルを展示した。長時間加工したサンプルの凸や凹の芯ズレは数μm。コアとキャビティを模したサンプルは、ぴったりはまる。独自の機械構造と熱変位対策によって、長時間加工しても良好な位置精度を実現した。

日進工具は、CBNマイクロ2枚刃ボールエンドミル「SMB200」を紹介。HRC65~70の高硬度鋼を超微細切削し、より長時間、高精度な加工が可能だ。同製品で、22500個加工したマイクロレンズアレイのサンプルを展示。1個目の加工時の表面粗さがRa0・078μmで、22500個目の加工時でも表面粗さは、Ra0・085μmに抑えた。

MOLDINOは、高硬度鋼加工用ボールエンドミルシリーズ「EPDBEH‐TH3」のR1・25以下の全サイズを対象に、外径実測値をラベルに表記するサービスを披露。ユーザーは工具測定をすることなく、実測値をCAMに反映させ、高精度加工を行うことができる。

脱炭素提案:加工精度を安定し、消費電力を削減

機械安定化制御技術を搭載した立形MC「V56iPlus」(牧野フライス製作所)

近年広がっているカーボンニュートラルに関する展示も目立った。牧野フライス製作所は、立形MC「V56iPlus」を紹介した。工場空調機器がない環境下でも安定した加工精度を維持する機械安定化制御技術「イースタビライザー」を搭載。2013年比で消費電力を12%削減する。機内の微妙な温度差や変位を認識し、機械側で補正することが可能だ。

今回の展示会では、機械や工具の性能向上に加え、ソフトフェアや周辺機器を含めた提案も増えていた。今後も金型メーカーのニーズに応えるため、他社との協業なども視野に入れながら、より広範囲なサービス提供が期待される。

金型新聞 2023年5月10日

関連記事

金型現場の課題を解決する最新技術 インターモールド2022

金型製造現場は現在、様々な課題を抱えている。それは、人手不足やグローバル競争の激化、自動車の電動化などといった各分野にまたがる。「インターモールド2022」では、これらの課題を解決する機械や工具を始めとした金型製造技術の…

MECT2023 2023年10月18~21日にポートメッセ名古屋で開催

工作機械見本市であるメカトロテックジャパン2023(主催:ニュースダイジェスト社、共催:愛知県機械工具商業協同組合)が2023年10月18~21日の4日間、ポートメッセなごや(名古屋市港区)で開催される。次回展より1号館…

IPFJapan2023総集編

樹脂やゴムに関する技術が一堂に集まる「IPF Japan2023(国際プラスチックフェア)」が、11月28日~12月2日、千葉市の幕張メッセで開催され、38,436人が来場した。会場では、成形機や金型、関連機器メーカーな…

MECT2023総集編

国内最大級の工作機械見本市「MECT2023」が10月18日~21、ポートメッセ名古屋(名古屋市港区)で開催され、77,225人が来場した。会場では、工作機械メーカーや切削工具メーカーなどが最先端の技術を披露した。 大型…

インターモールド2022総集編 -カーボンニュートラル-

CO2削減の技術や提案 機械、表面処理メーカーが展示 地球温暖化を阻止する動きが世界中の国や企業で広がる中、金型業界でも温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」や「脱炭素」への関心が高まっている。インター…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト