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三菱電機 半導体パッケージ仕様機による高精度梨地加工技術【金型テクノラボ】
生成AI、5Gの進展や、EV化による電子部品の増加により、半導体市場の継続成長が見込まれている。同時に半導体を熱・光・物理的衝撃などの外的要因から保護するための半導体封止に用いられる半導体封止金型の需要も増加傾向にある。本稿では半導体封止金型加工に特化した新型形彫放電加工機を紹介する。
形彫放電加工機による半導体封止金型加工の課題
半導体封止にはエポキシ系熱硬化樹脂が一般的に用いられるが、この樹脂は粘着性が強いため、磨き工程を入れた金型では離型が困難である。樹脂にはシリカ微粉を多く含むため金型の耐摩耗性向上のため高硬度の焼入れ鋼が使用される。このような背景から半導体封止金型の製作には形彫放電加工機を使用するのが一般的である。
放電加工の梨地面が最終仕上げ面として製作されるが、そのまま半導体製品の意匠となるため、加工面の高品位化(面粗さの均一化、ピンホール低減)の要望とともに、寸法精度向上(深さばらつきの低減)の要望もある。これら要望に対する形彫放電加工の課題は2つ。
一つは面粗さの不均一とピンホールの発生。形彫放電加工ではジャンプアップ/ダウン動作や揺動時に電極が受ける液抵抗で、電極にブレやたわみが発生したり、電極とワーク間のスラッジ濃度に偏りが発生したりすることがある。
これにより、加工中の電極とワークの極間距離が不均一になり、放電パルスにばらつきが生じ、面粗さが不均一になってしまう。また、一部箇所に放電パルスが集中することでピンホールと呼ばれる深い穴ができてしまうこともある。
二つ目の課題は加工深さばらつき。半導体封止金型は大面積かつ微細面粗さまで加工するため、加工時間が長時間に及ぶ。そのため、加工機の熱変位および液抵抗による機械構造体の変位により、ワークと電極の位置関係がずれてしまい、加工深さばらつきが生じる場合がある。
形彫放電加工機「SV-P 半導体パッケージ仕様」の特長
この2つの課題に対応するために形彫放電加工機「SV-Pシリーズ」の半導体パッケージ仕様を開発した。【図1】
同機は、自社開発のNC・サーボアンプの強みを活かした独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を用いた高応答極間距離制御と高品位梨地面仕上回路(β-PS回路)を搭載。面粗さの均一化とピンホールの低減を実現する。

高応答極間距離制御は電極位置や放電状態などから短絡放電の発生や軸移動量を予測し、その予測状況に応じて電極位置指令を制御することで軸制御の応答性を向上させている。一方、高品位梨地面仕上回路は従来電源よりも放電パルスの微細化、均一化を可能とした。
また、熱変位補正機能の搭載と、鋳物構造の見直しによって機械構造体の剛性を向上させたことで、加工深さばらつき低減を実現する。熱変位補正機能は加工機周囲温度の変化をセンシングし、機械構造体の伸縮を予測することで、ワークと電極の位置関係のずれを低減する。
半導体封止金型の加工事例
「SV-P 半導体パッケージ」での加工事例を【図2】に示す。一つ目(上)は大型電極を使用した一括加工型のサンプル、二つ目(下)は多連タイプの電極を使用したサンプル。どちらのサンプルにおいても均一な加工面粗さ(狙い面粗さRa±10%以下)と高精度な加工深さ(ばらつき±5μm以下)を実現した。

さらに、前述の特長を盛り込んだ半導体封止金型加工に特化した専用加工条件を加工機に搭載している。これにより煩わしい数値入力が不要となる他、加工条件調整を極力必要とせず、高品位・高精度な加工が可能となる。
三菱電機
- 執筆者:産業メカトロニクス製作所 放電システム部 加工技術課 形彫担当課長 彦坂 博紀氏
- 住所:名古屋市東区矢田南5-1-14
- 電話番号:052・723・1452
記者の目
半導体の市場拡大に伴い、半導体封止金型の需要もさらなる増加が見込まれる。より多くの加工をこなしていくためには、より簡単に効率良く加工できる技術が欠かせない。また、近年は大面積化も進み、加工ニーズが高度化している。「SV-P 半導体パッケージ仕様」の導入はこれらの需要に対応する有効な手段の一つとなるだろう(平)。
金型新聞 2024年6月10日
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