Ⅹ線CT解析ソフト活用 採用が増えつつある金属AMによる金型の入れ子部品。しかし、造形したワークの内部にできた巣の有無や造形密度などは切断するしか把握できないため、品質保証の難しさがAM入れ子部品の採用の壁の一つになって…
J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】
自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車体骨格プレス部品を得意とするJ-MAX(岐阜県大垣市)は中期経営計画を見直した。電動化サプライヤーへの転換を目指し、バッテリーやモーター関連部品の技術開発の取り組みを一段と強化している。今後の方向性を山﨑英次社長に聞いた。

中国で市場開拓を強化
直近の状況は。
当社の拠点は日本、タイ、中国にあり、特に中国は著しく電動化が進んでいる。当社も電動化市場の獲得を目指し、先行投資を行ったことで、中国CATLとの取引も始まり、2020年から量産を開始した。一早く電動化に取り組んだことで取引量も増えている。
どのような部品を。
EV車用バッテリーケース(バッテリーモジュールを収納するためのケース)やバッテリーの膨張抑制や衝突保護の役割を持つ拘束体、電池の熱を制御する冷却装置などだ。拘束体は高強度が求められる部品。培ってきた超ハイテン技術を活かし、成形した部品で電池セルを挟み込み、熱膨張を抑える仕組みになっている。バッテリーケースも従来設備では難しく、中国でプレス機など設備投資を実行した。今後は冷却装置やモータコア関連部品の開発も注力する。
金型のニーズは。
中国の電池メーカーは開発スピードが速く、型開発において短納期化が大きな課題だ。従来のボディ部品は1~2年かけ試作・設変を繰り返し、仕上げていくものだが、電池関連は受注から3カ月で量産されるため、従来の考えでは対応できない。大型化など顧客要求も高まっており、対応能力を高めていきたい。
電動化の市場性は。
EV車はエンジン車に比べ値段が高く、インフラや充電時間も課題だが、中国ではPHEV車がEV車並みに伸びており、FCEV車の開発にも力を入れ始めた。この流れは日本含めグローバルで進展する可能性がある。中国市場で電動化サプライヤーとしての領域拡大と需要を獲得できれば、日本・アジアほか世界の電動車向け部品の需要を取り込めるチャンスが生まれると考えている。
今後の取り組みは。
中国で培った電動化に関する技術を日本へ移植し、需要の獲得を図る。そのために事業構造改革を進めている。電動化が加速する中国のエンジン車向け事業は縮小するかもしれないが、少ない売上でも利益を出せる体制に変え、国内工場も工場間輸送を極力廃し、利益体質強化など再編計画を練っているところだ。引き続き、エンジン車向け事業は維持しつつ、電動化領域の拡大と構造改革を2本柱に据え注力する。
日本のモノづくり企業に求められることは。
中国の金型技術やデジタル化は急速に進化している。匠の技と呼ばれる熟練技能も僅差になっており、ライバルは日系企業ではなく中国企業と言える。その競争下で勝っていくには日系同士の競争ではなく共創が必要。自動車メーカーもそうした動きが顕著であり、日系企業の連携、協業が求められている時代だ。
金型新聞 2024年10月10日
関連記事
新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…
稼働止めない機能や技能支援 人工知能(AI)を活用したさまざまな機能やサービスが登場している。AIの進化に加え、センシング技術の高度化で、従来把握できなかったデータが収集できるようになり、AIに読み込ませるデータ量が増え…
入社したその日から金型づくりや保全の現場で活躍できる。当校の機械システム系金型エンジニアコースはそんな人材を育てています。アカデミックな指導はしません。指導するのはあくまで金型をつくり、使う実践の現場で必要な技術や知識で…
PART1:デジタル活用 精密金型の生産性を向上 トヨタ自動車が型造りで注力する取り組みの一つがデジタル活用だ。精密部品向けの金型を手掛けるモノづくりエンジニアリング部では、デジタルデータを活用することによって、金型だけ…


