金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

30

新聞購読のお申込み

J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】

自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車体骨格プレス部品を得意とするJ-MAX(岐阜県大垣市)は中期経営計画を見直した。電動化サプライヤーへの転換を目指し、バッテリーやモーター関連部品の技術開発の取り組みを一段と強化している。今後の方向性を山﨑英次社長に聞いた。

J‐MAX 山﨑英次社長

中国で市場開拓を強化

直近の状況は。

当社の拠点は日本、タイ、中国にあり、特に中国は著しく電動化が進んでいる。当社も電動化市場の獲得を目指し、先行投資を行ったことで、中国CATLとの取引も始まり、2020年から量産を開始した。一早く電動化に取り組んだことで取引量も増えている。

どのような部品を。

EV車用バッテリーケース(バッテリーモジュールを収納するためのケース)やバッテリーの膨張抑制や衝突保護の役割を持つ拘束体、電池の熱を制御する冷却装置などだ。拘束体は高強度が求められる部品。培ってきた超ハイテン技術を活かし、成形した部品で電池セルを挟み込み、熱膨張を抑える仕組みになっている。バッテリーケースも従来設備では難しく、中国でプレス機など設備投資を実行した。今後は冷却装置やモータコア関連部品の開発も注力する。

金型のニーズは。

中国の電池メーカーは開発スピードが速く、型開発において短納期化が大きな課題だ。従来のボディ部品は1~2年かけ試作・設変を繰り返し、仕上げていくものだが、電池関連は受注から3カ月で量産されるため、従来の考えでは対応できない。大型化など顧客要求も高まっており、対応能力を高めていきたい。

電動化の市場性は。

EV車はエンジン車に比べ値段が高く、インフラや充電時間も課題だが、中国ではPHEV車がEV車並みに伸びており、FCEV車の開発にも力を入れ始めた。この流れは日本含めグローバルで進展する可能性がある。中国市場で電動化サプライヤーとしての領域拡大と需要を獲得できれば、日本・アジアほか世界の電動車向け部品の需要を取り込めるチャンスが生まれると考えている。

今後の取り組みは。

中国で培った電動化に関する技術を日本へ移植し、需要の獲得を図る。そのために事業構造改革を進めている。電動化が加速する中国のエンジン車向け事業は縮小するかもしれないが、少ない売上でも利益を出せる体制に変え、国内工場も工場間輸送を極力廃し、利益体質強化など再編計画を練っているところだ。引き続き、エンジン車向け事業は維持しつつ、電動化領域の拡大と構造改革を2本柱に据え注力する。

日本のモノづくり企業に求められることは。

中国の金型技術やデジタル化は急速に進化している。匠の技と呼ばれる熟練技能も僅差になっており、ライバルは日系企業ではなく中国企業と言える。その競争下で勝っていくには日系同士の競争ではなく共創が必要。自動車メーカーもそうした動きが顕著であり、日系企業の連携、協業が求められている時代だ。

金型新聞 2024年10月10日

関連記事

江口博保さん 研さん重ねる金型設計の熟練者【ひと】

自動車のフィックスドウインドウやクォーターウィンドウ。その成形コストや歩留まりを改善し、環境に配慮した金型も設計した。顧客製品設計の最終確認会にも出席しアドバイスする。それらが評価され、令和2年度「現代の名工」に選ばれた…

日新精機が繁忙期対策のために進めることとは

協力企業との連携推進 時期によって業務の量に差が生じることは少なくない。特に金型業界では、製品のモデルチェンジや更新のタイミングなどに受注が集中するため、繁忙期と閑散期で現場の稼働状況は大きく異なる。繁忙期には残業や休日…

新たな金型産業ビジョンを
日本金型工業会 小出悟会長

ウェブを最大限活用  令和2年の総会がウェブ会議システムになるとは想像もしていませんでしたが、コロナ禍(新型コロナウイルス感染拡大が招いた危機的、災厄的な状況)の総会であることを正会員並び賛助会員の皆様にはご理解を頂き、…

「魅力ある組織に人は集まる 楽しく役立つ活動増やす」 東北金型工業会会長(プラモール精工社長)・脇田高志氏【鳥瞰蟻瞰】

魅力ある組織でなければ人は集まってきません。東北金型工業会をより魅力ある団体にするために、会長就任後すぐに、3つの分科会を作りました。若手が中心となって積極的に参加してもらい、勉強会などを通じ、メリットや魅力を感じてもら…

【この人に聞く】ケイパブル 河原洋逸社長 海外取引、営業を支援

 CAPABLE(ケイパブル、京都市南区)はこのほど、金型の受発注プラットフォーム「CAMPUS(キャンパス)」を立ち上げた。金型メーカーはキャンパスに設備情報などを登録し、ケイパブルが受注した仕事をキャンパス内の最適な…

トピックス

関連サイト