ギアやシャフトなど自動車部品の冷間鍛造金型や精密プレス金型を手掛けるナゴヤダイス(名古屋市緑区)は金型製作における技術やノウハウのマニュアル化(言語化・数値化)を図り、若手の技能伝承や人材育成に活用している。20~30代…
金型メーカー 生産性向上が急務 【特集 攻める設備投資】
金型メーカーの生産性向上が急務だ。少子高齢化による人手不足の深刻化に加え、金型メーカー事業所数の減少により1社当たりの生産負担が増加し、より多くの金型を生産できるかが金型メーカーの持続的成長の重要な要素の一つとなっている。いかに生産効率を上げ、生産能力を引き上げるか。中でも新しい生産設備や技術の導入は重要な方策の一つ。設備投資を積極的に進め、生産性を向上させることが金型メーカーの成長につながる。

設備投資が持続的な成長の鍵
製造業事業所調査によると、2022年の金型メーカー事業所数は4357事業所とピークだった1990年の1万3115事業所に比べ、3分の1まで減少した。一方で、生産金額は91年のピーク時が1兆9575億円だったのに対し、2022年は1兆3395億円と3割ほどの減少にとどまっており、事業所数の減少ほど落ち込んではいない。
こうした需給バランスの変化によって、以前に比べ金型メーカー1社当たりの生産負担は大きくなっている。今後、金型メーカーが持続的な成長を続けていくためには、これまで以上に生産性の向上に取り組む必要がある。その中でも設備投資は重要な活動の一つだ。
近年、金型メーカーに限らず中小企業の設備投資は増加傾向にある。昨年発表された中小企業白書によると、12年に12・6兆円だった中小企業の設備投資額は、21年に18・2兆円まで拡大した。直近3年では約4割の中小企業が投資を実施。製造業は半数以上が何らかの設備投資を行っているという。
金型メーカーの中にも億単位の投資額をかけて新工場を建設し、最新の工作機械やソフトウエアなどを導入する企業も少なくない。プレス金型メーカーのササヤマ(鳥取県鳥取市)は22年に約7億円をかけて工場増築と土地購入。金型製作期間を半分に短縮する取り組みを進めている。
政府も中小企業の設備投資を支援するため、各種補助金制度の強化、拡充を図っている。24年度補正予算の「ものづくり補助金」では、賃上げや最低賃金の引き上げに取り組む事業者に対し補助率や補助上限の引き上げを実施している。
新たに創設された「中小企業成長加速化補助金」は補助上限額5億円と大規模な投資が可能な制度で売上高100億円を目指す中小企業を対象とする。他にも24年度補正予算や25年度当初予算では金型メーカーの生産性向上を後押しする補助金が予定されている。
中小企業白書によれば、設備に投資した企業の54・1%は売上高が増加しており、実施しなかった企業で売上高が増加したのは35・4%という。企業の成長に設備投資が欠かせないことは明白だ。機械や工具、ソフトウエアは進化を続けており、加工精度や生産効率はこれまで以上に向上している。こうした最新技術を取り入れることが次代の金型産業をつくる。
金型新聞 2025年3月10日
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