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インターモールド2025総集編 自動化・省力化、人手不足に一手
金型業界の祭典「インターモールド2025」が4月16~18日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、3日間で4万1461人が来場した。期間中は金型展(日本金型工業会)と金属プレス加工技術展(日本金属プレス工業協会)、AM EXPO(日本AM協会)も併催され、多くの来場者で賑わいを見せた。近年、金型業界でも課題となる人手不足に対応する自動化・技能レスをテーマに、最新製品が一堂に会した。また、現在変革期を迎える自動車のEV化による大型の金型加工に向けた提案も見られた。

技能レスで高精度加工
牧野フライス製作所は、「いつでも、どこでも、誰でも」がコンセプトの立形マシニングセンタ(MC)「V300」を出展。機械の熱変異を予測・制御する機能「eSTABILIZAR」を搭載し、長時間でも安定した高精度加工を実現した。送り軸機構の改良で、反転時のスジを抑制したことで、仕上げ面の精度が向上。段取り替えなどの省力化に貢献する。

西部電機は、超精密ワイヤ放電加工機「MM50UP」による精密順送プレス金型の高精度化を提案。低重心・高剛性の構造により、フルストロークでもピッチ精度±1μmを実現。図面をQRコードで管理し、スキャナーで読み込むだけで自動プログラミングできる機能なども紹介した。
機械のみならず、ソフトウェアによる加工前後の効率化提案も目立った。
データデザインは、CloundNC社(英)のCAM支援ツール「CAM Assist」を展示。アップロードされた3DモデルをAIが自動解析し、工具の選定や加工条件を最適化。生成されたプログラムをCAMにフィードバックする仕組みで、技能レスな加工パスの生成を可能とした。
ブルーム‐ノボテストは、機上測定自動化ソフト「フォームコントロールⅩ」を披露。ワークの3Dデータから、測定点をカーソルで指定するだけの直感的な操作で複雑な測定プログラムを簡単に作成できる。加工プロセスの自動化を支援し、測定データはウェブ上のブラウザで確認・分析も可能。様々なマシニングセンタや他社製プローブにも対応し、高精度かつ効率的な測定を実現する。
ミツトヨは、3Dデータを活用した測定ソフト「MiCAT Planner」で測定における自動効率化を図る。モデル内の公差情報を自動で読み取り、最適な測定箇所を判断し、測定プログラムを全自動で作成することで、3次元測定器を用いた測定作業の技能レスを促す。
大型加工向け提案も
ギガキャストや部品の一体化などによって、金型の大型化が進んでいることから「大型」に関連する加工技術が目立った。

牧野フライス製作所は大型MC「V900」で加工した大型ワークを展示。大型ながら、高い面品と送り速度40m/分の高速加工が可能で、加工時間短縮を提案した。
安田工業が展示した立形MC「YBM9150Ⅴ Ver.Ⅱ」は大型金型の高精度加工が可能だ。高い位置決め精度や熱変位を抑えるなどの高精度仕様機で、モータコア用金型の大型化や、多数個取りの金型でも高精度に加工できることをアピールした。
工具やツーリングでも大型加工や深い加工に対応する製品が多数展示された。MOLDINOはギガキャスト用金型の荒加工から仕上げ加工までカバーする製品群を展示。突き加工に特化したエンドミル「EPVF‐ATH」は、荒加工時の加工段差を除去し、手磨きでは難しい細部や深部も良好な加工面に仕上げることができる。
大昭和精機は、防振機構内蔵の「スマートダンパー」が注目を集めた。突出しの長い加工(深彫り加工)でもびびりを抑え、高速・高精度化できる。高品位な面粗さに加え、工具の長寿命化にも貢献する。ダンパーがびびりを抑え、突出しの長い加工も高速・高精度に加工できる。
ソフトやAMでも大型向けの提案が見られた。アッサブジャパンは金属3Dプリンタで600㎜角サイズの大型部品の受託加工を開始。SCSKはギガキャスト向けのトータルでのソリューションを展示し、金型向けでは、水管設計を最適化や、金型の寿命予測、鋳造後のゆがみを解析できるソフトなどを展示した。
金型しんぶん2025年5月10日号
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