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ヴェステン 金型業界のスタートアップ、海外との取引を目標に【金型の底力】

磨き部署を設け、技術力を強化

「製造業の世界で有名なのがドイツ。だから、ドイツ企業と取引できる企業を目指そうと考えた」と語るのは西部正記社長。Westen(ヴェステン)はドイツ語で『西』を意味し、2022年の新工場立ち上げと同時に社名を変更。水栓関連から自動車部品、遊戯関連などプラスチック金型を手掛け、成形機230~350tクラスの金型を製作。ミガキ部署も設け、難易度の高い金型作りを目標に据える。

同社は紆余曲折を経て、ここまでたどり着いた。西部社長の実家はプラスチック金型メーカーを経営。兄が家業を継ぎ、「兄弟、叔父など仲良く家族で経営していたが、いつか荒波が来るのでは」と悩み、独立を決意。そんな時、取引先の1社から「継がないか」と打診を受け、次の就職先も決まっていなかったことから「継ぎたい」と返答する。M&A形で17年に社長就任するも設備はNCフライス盤2台のみ。金型製作できる環境ではなく、いきなり経営の危機に。「仕事を得ようと知り合いの企業を訪ね歩き、厳しい言葉も頂きながら、なんとか部品加工の仕事を得た」と振り返る。

マシニングセンタなど設備を充実

転機はコロナ禍。事業再構築補助金を獲得し、2022年に総投資額1億5千万円で岐阜県関市に新工場を建設し、社名も現在の社名に変更。マシニングセンタやワイヤーカット、放電加工機、平面研削盤、CAD/CAMなど各種設備を揃え、水栓関連や自動車部品を中心に金型製作できる環境を整えた。

スタートアップ企業の最初の難問は『人』。採用出来ず、事業拡大が進まない。困っていた時、知人の勧めでベトナム人を採用。さらに、新工場竣工で応募が急増し、現在はベトナム人5人、日本人6人の計11人になるが、「全員が金型未経験者で、経験者は私1人だけ」という状況下で、人材育成に励み、5年以上の経験者がいない中、直近は他社と相見積もりで競うほど技術も向上。

水栓部品や自動車部品などさまざまな分野を開拓

「当社に研修期間はなく、素人もいきなり本番。機械を壊す、不具合を出すといった失敗も多く、経営的にしんどいが、プレッシャーの中でやることがレベルアップの近道」と西部社長。分業体制を構築しつつ、教育は「金型作りは一人一型制のような金型職人がいると、全体の効率性も高まる。だから、私が毎日、簡易な金型モデルを作り、全社員が終業後に製作する訓練を行っている」と語る。全員が金型や構造を理解することで、現場の効率化が高まるだけでなく、多能工化にもつながると考えている。

日本人とベトナム人が混在し、経験も少ないことから社内コミュニケーションに力を注ぐ。会社の目標、決算状況、設備の導入計画など社員と共有。ベトナム人設計者も顧客先へ同行させるなど全員に責任感を与え、「怒る時は本気で怒り、どうすれば伝わるのか、互いに学び、歩み寄ることが重要」とし、闊達なコミュニケーションを図る風土を構築している。

西部正記社長

「市況は悪いが、来年で事業を畳むわけではなく、我慢しても延命にしかならない」と将来を見据え、攻めの姿勢を崩さない。スタートアップ企業だからこそ行動力で困難を乗り越えてきた経験を活かし、高度な金型作りに求められる設備の導入(測定機など)、事業拡張を視野に、海外視察など次の計画を練り始めた。「何とかなるだろうと思ってやらないと。経験が少ないからこそスピード感で勝負する。社員にもスピード重視でついてきてほしいと言っているし、みんな頑張ってくれている」と社員に感謝しつつ、夢の実現に向けて突き進んでいる。

  • 所在地: 岐阜県関市尾太町63-1
  • 電 話: 0575・24・3063
  • 代表者: 西部正記社長
  • 創 立: 2022年
  • 従業員: 11人
  • 事業内容: プラスチック金型の設計・製造・修理

金型しんぶん2025年7月10日号

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