金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

07

新聞購読のお申込み

メカトロテックジャパン2015総集編工作機械で進む複合・集約化

超硬や高硬度材対応工具も

 今年最大の工作機械見本市である「メカトロテックジャパン2015(以下、MECT展)」が10月21日から24日にかけて、ポートメッセなごや(名古屋市港区)で開かれ、4日間で9万人超の来場者を集め、大盛況で閉幕した。工作機械は機能の集約化、複合化が進み、超硬合金や高硬度材加工の最新切削工具、高精度かつ多様な測定機器など、生産性向上や新たな加工に挑戦する金型メーカー向けの製品が披露された。本特集では、分野ごとにMECT展を振り返り、各メーカーの新たな取り組み、提案を紹介する。

マシニングセンタ
研削盤
切削工具
測定機器
工作機器

 

部品の大型化に対応

 

  マシニングセンタ  
★IMG_8765_R
 多種多様な加工提案で注目を集めたマシニングセンタ(MC)。工程や加工時間短縮、高硬度材や難削材加工、高速重切削、微細加工など、金型加工に求められる製品や提案が並んだ。
 5軸制御MCでは、オークマが旋削機能付きの「MU4000V」を国内初披露。幅広い加工領域でファイブチューニング・サーモフレンドリーコンセプトといった知能化技術により高精度な工程短縮を提案した。牧野フライス製作所も5軸MC「D800Z」を出展し、大型ダイカスト金型の高精度加工を紹介。さらに3軸MC「V33」の進化を展示し、従来機と比べ6割以上早く加工できることを紹介した。
 DMG森精機は切削・旋削・研削を集約した最大積載ワーク重量2tの「DMC125FD」をアジアで初出展。ヤマザキマザックが展示した複合加工機「インテグレックスi200S」は第2主軸を搭載、1台で全行程を完結できる。
 安田工業の「YBM V40i」は長時間の高精度加工を提案。会場には宙に浮いたピサの斜塔の展示も。切削液を使用しないドライアイスパウダー(サン工機)を使ったデモ加工は、工具の長寿命化に貢献できる。
 微細加工の碌々産業は「AndoroidⅡ」で、超硬材の直彫り・鏡面加工を紹介。切削加工だけでシングルナノの面粗度を実現した。
 高速重切削の提案は、牧野フライス製作所、OKKなど。いずれもチタンの重切削を紹介。「バリバリ削る」がイメージのOKKは「VM53R」で大径・重切削を実演。三井精機工業の横形MC「HPX63」は剛性+高速で、難削材の加工に威力を。
 金型では少ないが、ジェイテクトやオークマはギヤ加工をMC1台で可能するによるスカイビング加工を提案。メクトロンは「MCH81」で、バー材から全面加工できる6面加工マシニングセンタを紹介した。

ページのトップへ戻る

——————————————————
切り込み50μm以上実現

  研削盤  
★DSC_0271_R
 平面研削盤は高能率加工が一気に進化した。従来、荒加工で多くても5μm程度だった切込み量が10倍以上の50μmを超えるまでになっている。
 岡本工作機械製作所は剛性の高い機種「PSG84CA3」とバブルを発生させるクーラント装置、スリーエムジャパンの砥石を組み合わせ、50μmでの加工を実演。ナガセインテグレックスもバブル発生装置を用い、超精密な加工で高能率加工を可能にする平面研削盤「SGC―94」で、90μmの切込みでの実加工を行った。展示会では両社とも2けたの切込み量だったが、上位機種では100μm以上の実績も持つという。
 円筒研削盤では長島精工も高能率化をアピール。これまで22分かかっていた超硬部品を7分で仕上げるなど200%生産性アップをPRした。JTEKTは熱変位補正が可能な円筒研削盤を展示した。

ページのトップへ戻る

——————————————————
超硬や高硬度材に対応

  切削工具 

 金型向け工具で目立ったのは超硬材など硬い材料を効率よく削る工具だ。
 超硬材を切削できるPRをしたのは、住友電工とユニオンツール、日進工具などだ。住友は多結晶ダイヤモンド工具での仕上げ加工を提案。ユニオンツールは、超硬材を荒から仕上げまで加工できるダイヤモンドコーティング工具を展示した。日進工具は超硬材の仕上げ切削ができるPCD工具を展示。同工具で超硬材だけでなく、工具鋼を精度よく削れることも紹介した。
 高硬度材を効率良く削るのもテーマの一つ。ダイジェット工業は70HRCが削れる4枚刃エンドミルを展示したほか、ラジアスとボールエンドミルの両機能を果たす特殊形状のチップも提案した。イワタツールは下穴加工なしで30Dまでの焼入れ材に穴あけができるドリルも展示した。
 独自の加工提案をしたのが三菱日立ツール。荒加工から高精度に仕上げることで全体の加工時間を短くするコンセプトを発表した。

ページのトップへ戻る

——————————————————
工程の短縮化

  測定機器  

 測定工程でも効率化が求められるなか、出展メーカー各社は非接触式の機器や機上測定、ソフトウェアなどで測定工程の短縮化を提案した。
 東京精密では、接触式の100倍以上のスピードで3次元形状を測れる非接触3次元表面粗さ・形状測定機「Opt‐scope」を出品。ファロージャパンやヘキサゴン・メトロジー、ニコンはレーザースキャナーを搭載したアーム式測定機を展示。精度や測定速度をアピール。
 測定の効率化で欠かせない機上測定では、ブルーム‐ノボテストが高速測定プログラムでの実演を披露し、測定時間の短縮を提案。レニショーは専用ゲージを使わず、簡単に公差判定ができる汎用ゲージ「イクエーター」を出品した。
 一方ミツトヨは、3次元測定機用の測定プログラムを全自動で生成する「MiCAT Planner」を出品し、ソフトウェア面で効率化を提案した。 

ページのトップへ戻る

——————————————————
振れないツーリング」

  工作機器  
DSC09072_R
 工作機器は、深掘り加工や高速加工で刃先が振れにくいツーリングや、旋削加工ができるテーブルが登場した。一方、段取り替えを一段と効率化するワーク治具も紹介された。
 振れにくいツーリングを出品したのは大昭和精機や日研工作所。大昭和精機はスリムでクーラントもできるハイドロチャックを、日研工作所は振れ精度4D先端3μm以内のロングノーズタイプを披露した。
 北川鉄工所は、毎分1千回転で旋削加工もできる円テーブルを出品し、既存のマシニングセンタで切削と旋削加工ができる技術を紹介。イマオコーポレーションは、ワンタッチで着脱でき口金を加工して様々な形のワークに対応できるクランプを出品した。

ページのトップへ戻る

金型新聞 平成27年(2015年)11月14日号

関連記事

ヤマト技研 設備投資、加工技術力を向上し、新規分野の加工ニーズに対応【Innovation〜革新に挑む〜vol.7】

プレス用金型の設計・製作を中心に事業を展開するヤマト技研。近年は金型のメンテナンスや部品加工なども手掛け、事業領域を拡大する。新規分野のニーズに対応するため、プレス成型解析や、同時5軸マシニングセンタ(MC)、5面門型M…

造形の歪み1/10に
ソディック

金属3Dプリンタ新工法  ソディックはこのほど、金属3Dプリンタの造形後のワークの歪みを10分の1に抑える新技術「SRT工法」を開発した。これにより、樹脂型などで多く使われるステンレス系の素材での造形も可能になるなど、金…

NEDO 今西大介氏に聞く<br>自動車部品の行方

NEDO 今西大介氏に聞く
自動車部品の行方

 ハイテン、アルミ、CFRP  マルチマテリアル化が加速  燃費規制が自動車の軽量化を加速させている。それに伴い、アルミやハイテン材(高張力鋼板)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など素材の開発も進む。金型づくりにど…

型種や工法の壁無くし、デジタルを活用 【変わるトヨタの型づくり】

モビリティカンパニー目指し、金型づくりを大変革 クルマを造る会社から、多様な移動手段を提供する「モビリティカンパニー」に変化するトヨタ自動車。モノづくりでも変革を進めている。2020年に試作や量産など内製部門を集約した「…

2年に1度の専門展「2022日本ダイカスト展示会」開幕 見どころをピックアップ

ダイカスト関連技術が一堂に会する「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec2022)」が11月10日から12日までの3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される。主催は日本ダイカスト協会。展示会にはダイカストマ…

関連サイト