セラミックスや焼結機械部品、超硬合金の刃先交換用チップ。これらは粉末にした材料を金型に入れ、成形機で押し固めた後に焼結する「粉末冶金」によって出来上がる。 従来の粉末成形は、成形体の外周に凹凸がついた形状の成形が難しく、…
機械の祭典開幕‼︎東京ビッグサイト11月17日
機械、工具の最新技術一堂
「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」が東京都江東区の東京ビッグサイトで、11月17日に開幕する。出展者数は969社で、5518小間と過去最大での開催となる。今回は工作機械や工具などの最新製品や技術に加え、IoT(モノのインターネット)、インダストリー4.0、AM(付加加工)技術、ロボットの活用などこれまでの延長線上にはない、新たな思想やものづくりが提示される。みどころをまとめた。
IoTやロボットも
IoT時代の金型づくり
今回は間違いなくIoT(モノのインターネット)がキーワードの一つ。本格的にものづくりに影響を与えるとなると実現は先になるサービスも多いが、IoT対応の金型も出始めているなど、IoT関連の展示はおさえておきたい。
実用に近いものだと、センサや画像認識などで機械の稼働状況をモニタリングすることで、機械の破損を防止したり、保守に活用したりするなどが予防保全の提案が多くみられる。画像認識や通信機器を既存機械などに取り付け、ネットワーク機能を持たない機器をつなげる展示などもある。
ビッグデータを基に、人工知能(AI)を活用することで、加工プロセスの最適化や設計の安定化につなげる商品や、プラットフォームを構築し、機械同士だけでなく、工場全体の効率的な運営方法や、複数の工場や生産の最適化につながるような仕組みも紹介される。
付加製造技術も進化
3Dプリンタに代表される付加製造技術(アディティブマニファクチャリング=AM技術)も次代の新技術だ。複雑形状も簡単に加工できてしまうAM技術の強みと、高精度を得意とする切削加工を合わせた金属3Dプリンタの新機種や、大型機も展示される予定だ。また、様々な方式の造形手法の3Dプリンタが展示される。
このように進化するAM技術だが、航空機メーカーが3Dプリンタを本格採用するなど、その加工領域は広がっている。金型づくりでも同様。今回のJIMTOFでは、金属3Dプリンタの造形の自由さを生かし、冷却効果を高めた、成形性の良い金型の展示もある。
高硬度、難削加工向け工具、IoT対応工具も
切削工具も数多くの新製品や新技術が発表される。金型向けでは高硬度材向け用の工具もトレンドだ。超硬材など切削では難しかった領域もコーティング技術や材料技術の進化で切削できるようになっている。HRC70の高硬度材が削れる工具やHRC60以上の材料を効率よく削れる工具なども披露される。
高精度仕様の工具も増える。特に金型などでは鏡面性が求められるため、CBNやPCDを用いた磨きレス工具も見られそうだ。
切削工具もIoT対応は進んでいる。工具の形状データなどの情報を管理しやすくするため、新たに制定される動きのあるISO13499に準拠した工具も見られる予定だ。さらに、IT技術を駆使し、加工の安定化につなげるなど工具も出展される。
ロボットの活用で効率化
自動化技術も今回のトレンドの一つだ。ロボット技術が大きく進化したことで、大手ユーザーだけでなく、中小企業の生産現場でも、工程の一部に垂直多関節ロボットを取り入れて部分的に自動化を図るなど、ロボットを活用した省力化のすそ野が広がっている。
今回も、安全柵が不要で人と協働できるロボットや、ロボットを組み込んだ工作機械や装置、搬送システムで、段取り、バリ取り、磨き工程など今まで手作業だった工程を自動化できる様々な提案が見られそうだ。ロボットを動かすためのプログラムを簡単に作成できるティーチングソフトなども充実している
効率よく、高精度に測定
測定精度の追求はもちろん、効率良く測定する提案も多い。レーザーやカメラなど光学技術の進歩によって実用レベルの精度まで向上した非接触式測定機や、非接触式と接触式を組み合わせた複合測定機、高速モデルなど、測定時間を短縮できる機種が目立つ。また、搬送ロボットと組み合わせた測定工程の自動化やIoT化に対応するシステムの展示も見られる。
機上測定のニーズも高い。ワークの形状、面粗度を高速・高精度に測るプローブや測定システムのほか、加工負荷モニタリング、工具測定、芯出しなど職人の経験や勘に頼っていた部分を数値化し、品質の安定化を図る提案も見られる。
セミナーも充実
こうした機械や工具などの生産財の新技術、新製品以外にも技術セミナーなどが充実しているのもJIMTOFの特長。IoT、AIなどのほか、自動車や新素材などの講演会もあるので、チェックしておきたい。
金型新聞 平成28年(2016年)11月14日号
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