金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

06

新聞購読のお申込み

【特集】ダイカスト金型
アルミ使用量増加 構造部品など採用進む

自動車1台あたりのアルミ使用量

 北米のアルミニウム協会などの調査によると、自動車の1台当たりのアルミ使用量は軽量化のために増えていくという。プレスや押し出しもあり、アルミ=ダイカストと限らないが、アルミの動向はダイカスト型にとって影響は少なくない。では、何が増え、何が減るのか。同協会の資料や金型メーカーの声などをもとに動向を探る。

大型アルミニウム合金ダイカスト

大型アルミニウム合金ダイカスト

 北米アルミニウム協会などの調査によると、2015年段階で、自動車1台あたりに使われているアルミ使用量は397ポンド(約178㎏)で、自動車重量の約10%。それが20年には、466ポンド(約209㎏)で、13%にまで増加するという。その先は複数のシナリオが考えられるが、アルミは増加する見込みだ。

 重要なのは、どんな部品が増えて、何が減るかだ。大きな成長を期待されている分野はフードやドアなど。同調査でも、使用されるアルミ全体の重量ベースで15年の7%から20年には13%と倍近くになるとみている。ただ、ここはプレス化が進む可能性が高い。プレス型大手のオギハラでも「アルミ用プレス型は増加する」とみている。

亜鉛合金ダイカスト

亜鉛合金ダイカスト

 ダイカスト金型で増えそうなのがナックルなどの基幹構造部品だ。アルミ全体の重量ベースで15年は数%だったものが、20年には10%にまで増加するみている。

 既に、こうした動きに対応する金型メーカーも。ある大型ダイカスト型メーカーでは「電気自動車(EV)でも車体などで複雑な部品を一体成形する大型は増える。また、バッテリーカバーなどEV向けのダイカスト製品もある」とし、来年に工場を増設し、生産能力を1.5倍に引き上げるという。

 一方で、エンジンは減少するのか。15年と20年を比較すると、割合は30%から24%に減少すると分析。ただ、比率は減るものの、アルミの採用率が増えるので重量ベースではほぼ横ばいだ。

アルミニウム合金ダイカスト

アルミニウム合金ダイカスト

 しかし、今後どの程度減っていくのかについては、EVの普及などによって見通せない部分が多い。取材した多くの金型メーカーでも「世界的に自動車生産が増えるのでエンジン車も減らない」、「EV化が加速し、エンジンは減る」といった様々な意見が飛び交う。

 こうした不透明な状況でも、各社先手を打つ。大型を手掛ける金型メーカーでは「エンジンの減少も念頭に置きつつ、フレームなど増加が期待される分野に注力する」と話す。小型部品に強みを持つメーカーでも「ヒートシンクなど増えそうな分野や、他ユーザーに積極的に営業している」。また別のメーカーでは「自動車だけでなく、他分野のダイカスト製品に手を広げる」とし、各社マルチなシナリオで、将来への対応を進めている。

  続きは金型新聞12月10日で  

金型新聞 平成29年(2017年)12月10日号

関連記事

横田悦二郎氏

【プレス型特集】強みを維持し続けるには…
日本金型工業会 学術顧問 横田 悦二郎氏に聞く
プレス金型の強みと未来

ゼロベースで知恵絞る 得意な分野で連携を 顧客の生産技術をサポート  日本金型工業会の学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は、日本のプレス金型の強みを「他の型種に比べ、技術の蓄積が生かせる部分が大きい」と…

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした<br>日本のお家芸復活のカギは

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした
日本のお家芸復活のカギは

 今なおリーマン・ショック前の7割の生産額―。プラスチック金型は、リーマン前の水準に戻った鍛造型や8割のプレス金型などと比べると回復していない。技術力、そして生産力でも圧倒的に世界をリードした「日本のお家芸」の復活のカギ…

匠の技を自動化し、技能を伝承【特集:自動車メーカーの金型づくり】

自動化と人材育成—。自動車産業に関わらず、あらゆる製造現場において共通の課題となっている。人手不足は深刻化しており、課題解消に自動化、省力化は欠かせない。いかに若手に技能を伝承していくかも喫緊の課題となっている。一方で、…

牧野フライス製作所 執行役員 高山幸久営業本部長に聞く【特集:進む設備の大型化】

大型機組立工場新設の理由 牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定…

新規参入目立つ微細精密加工向け機械・工具 成長分野で需要拡大【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

トピックス

AD

FARO スキャンしたらすぐに結果まで:工数低減を実現

金型のメンテナンス、修復、複製に3次元測定アームを活用 製品を製造するために欠かせない金型ですが、そのメンテナンスには多くの課題が存在します。金型は使用するうちに摩耗し、時... 続きを読む

関連サイト