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重要度増す測定機器

職人技から計測へ
ファインシンターの測定室。

金型メーカーが測定機器の設備を充実させている。製品形状の高度化が一段と高まり、複雑・多様・緻密化され、加えて新商品導入の短縮と海外生産の比重が高くなるユーザーニーズに応えることが発端になっている。リーマンショックの2008年9月前までは、どちらかと言えば開発スピードや高精度化は求められても、まだゆっくりとした時代で、「多くの金型メーカーは、測定を重要視していなかった」(樫山金型工業)。理由は、「高い技術力を持った組み付けの職人が最終調整を手作業と勘で行い、金型で使われる部品は少々寸法が出ていなくても職人の腕で対応していた」。ところが、舞台は一転する。測定機器と測定システムの導入が金型メーカー経営にとって必要条件となっている。金型メーカーの測定機器導入の現況を俯瞰した。

製品の高度化背景に

日本金型工業会の正会員会社306社(金型専業、金型製作と試作成形、成形加工と金型製作、デザイン会社で構成)の測定機器の設備台数を調べた。
それによると、3次元座標測定機、CNC、汎用、非接触の画像測定機、X線測定機は、約226台、表面粗さ形状測定機(非接触含む)は約30台、輪郭形状測定機は約20台、真円度測定機(円筒形状測定機との複合機を含む)は、約18台となっており、三次元測定機の導入比率は、会員会社の74%を占める。
欄外の「お断り」にも書いたように、ホームページに設備機械を掲載しない、ないしは掲載があっても機種別に明記していない、さらにはホームページを掲載しない金型メーカー(会員会社の15%強)が多くあり、残念ながらこれら企業の設備台数は判らない。加えればさらに多くの台数が設備されている。
測定機器はこのほかに投影機や工具顕微鏡、硬度測定機、直角度測定機、レーザ測定機、引っ張り試験機などが数多く設備されており、精度や品質を大事にする日本の金型メーカーの存在が裏づけされる。
また、独自に開発した3次元測定機(特許取得)で、加工面の精度管理や金型洗浄機による切りくず、切削油の完全除去など品質管理に徹底して取り組んでいる金型メーカーやサブミクロンレベルの金型加工精度を検証する高性能測定機器を設備する企業もある。これらは、海外生産に比重を高める自動車部品や家電部品メーカーと同様に、国際規格を重要条件としているためで、今後は「ISOに基づく品質管理とトレーサビリティ、スペアパーツの再現性」は重要度を増すものと見られる。
一方で、金型製造拠点を国内に置くため、地下工場を作り、金型の加工・組立の超高度化を確立するメーカーや測定機器を充実させながら、高度に測定機器の使用で環境改善をするメーカーもある。加工時の平行精度の維持、素材となる金属部品の温度変化を回避する工場構造基盤の強化、空調管理、生産環境の最適化まで改善を計る企業群だ。

金型に不可欠な測定機

測定機器の導入を図っている企業は、金型専業のメーカーより試作加工や成形部品を兼業する、ないしは成形部品を主に金型を従にする企業が複数台設備している。最終ユーザーへの納品には、「必ず測定データを付け」なければならなく、各社はデータの信頼性を高めるためにより一層の測定環境を整えている。測定機器がますます重要度を増している背景はここにある。

分析にあたってお断り
日本金型工業会の正会員会社が、現在、どんな測定機器を、約何台設備しているかを分析した。方法は、同会ホームページに掲載されている306社のホームページの「設備一覧」ないしは「設備内容」を元に拾い出した。このため、ホームページを持たない、ないしは設備内容を明記しない測定機器はここに含まれていない。また、対象は、絶対測長器の三次元座標測定機、画像測定機と表面粗さ形状測定機の表面粗さ測定機と輪郭形状測定機、真円度測定機に絞り、「測定機」と大くくりした台数は除いた。ご了承下さい。

金型新聞 平成26年(2014年)8月10日号

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