コロナショックを機に、金型に求められること 5月12日、コロナウイルス拡大の影響が読めない中で、トヨタ自動車の豊田章男社長は「頼りにされ、必要とされる会社を目指し、世界中の仲間とともに強くなる」とのコメントを発表した。…
イワタツール トグロンハードドリルの挑戦
焼入れ鋼に穴があく
金型製作工程を短縮
設備強化で需要に対応
イワタツール(名古屋市守山区、岩田昌尚社長)が2010年に発売したトグロンハードドリルは焼入れ鋼用穴加工ドリルとして、ここ数年需要が急増し供給が追いついていない状況だ。同社の岩田社長は「直近3ヵ月で前年対比すると、2倍ほど伸びている」という。特にトグロンハードシリーズの『トグロンハードロングドリル』は焼入れ鋼に高精度な深穴加工が可能で、プラスチック金型のエジェクタピンの穴加工などに使われ、金型の製造工程を大きく変えた。「発売当初は全然売れなかった」というトグロンハードドリルの誕生経緯や製品特長、今後の取り組みを紹介する。「始まりは硬い材料を削れるドリルを作ることだった」と岩田社長。特にユーザー要望があったわけではなく、創業時からセンタードリルのメーカーで新ドリルの開発を進めていた岩田社長は「ある理論に基づき刃先形状を大幅に変えたら硬い材料に穴があいた」。これを機に発売したのがトグロンハードドリル。だが、「発売時は売れなかった」という。従来焼入れ前に穴加工するのが通常で、「焼入れ鋼に穴加工するのは稀。市場性が薄かった」と振り返る。
ところが、機械メーカーを通じて金型メーカーの三洋技研(プラスチック金型)が『焼入れ鋼にドリルで深穴加工を試したい』と申し出があり、試作したドリルなどを用意しテスト加工を行った。すると、「安定した精度で穴加工でき、これならリーマ無しで寸法通りの加工ができる(1穴加工時間80秒以下)」と高評価を得て、焼入れ鋼に深穴加工ができるトグロンハードロングドリルが誕生、三洋技研の承諾を得て、新製品として販売を図る。
トグロンハードロングドリルは焼入れ鋼など高硬度材(HRC40~72)と高精度をキーワードに、独特な刃先形状を持つドリル。岩田社長は「通常のドリル形状と違い、ボールエンドミルの設計に共通点が多い」と、その独特な切れ刃ねじれが『とぐろを巻く』をイメージしたことから製品名に『トグロン』と名付け、3枚刃設計で高精度な穴加工を実現。ある海外の大手おもちゃメーカーは焼入れ鋼にH7以上の穴精度が出せる工具として、金型のエジェクタピンの深穴加工に使用し、金型の製作日数を3日から1日に短縮。これまで熱処理後に細穴放電やワイヤーカットなど複数機械を使用した加工をマシニングセンタに集約することで位置決めなどの段取りが減り、金型製造の工程削減やリードタイム短縮につながるため、日本の金型メーカーの採用も増加。現在は工具径φ0.8~6㎜(20Dの場合)を用意し、在庫は30Dまで揃え、さらに50Dも発売する予定だ。今後はトグロンハードシリーズの生産強化とラインアップの拡充を図ると岩田社長は言う。年間数億円を投じ工場設備を強化し需要増に対応する。製品ラインアップも「今はHRC40~72という広範囲を1製品で対応しているが、HRC40以上・50以上・60以上といった細かな製品群やオイルホール付で部品加工の分野にも対応していきたい」と語る。今年創業90周年を迎える同社の躍進は始まったばかりだ。
会社概要
代表者=岩田 昌尚社長
住所=名古屋市守山区花咲台2-901-1
電話=052・739・1080
生産品目=トグロンシリーズ、センタードリル、SPセンター、特殊切削工具、ハンドグラインダー、熱処理業務など。
金型新聞 平成30年(2018年)6月8日号
関連記事
加工効率高める金型を設計 歯ブラシのプラスチック金型を手掛ける武林製作所(大阪府八尾市、072・998・1207)の金型設計技術者・千田雄一さんが、2023年の「八尾ものづくり達人」に選ばれた。金型の加工効率や品質を高め…
「30年間お客様とものづくりを改善し続けられる存在でありたい」—。そう話すのは一昨年に新日本工機の社長に就任した中西章氏。ライフサイクルの長い大型機械が強みなだけに、「長期間にわたって、顧客のものづくりをサポートするのは…
パラレルで力制御、高速・高精度 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…
障害者を技術訓練 ±1ミクロンの要望に応える 手掛ける領域「何でも」 経済産業省の統計によると、2013年の金型メーカーの事業所は15年前に比べ、6割強の8000社程度にまで減っている。金型の供給力低下も問題だが、それ以…






