金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

18

新聞購読のお申込み

フジ 金属AMで純タン造形、造形部位に積層可能

金型の耐久性向上

鋳造金型メーカーのフジ(埼玉県川口市、 048・224・7161)はこのほど、金属積層造形(金属AM)で純タングステンの造形に成功した。金属粉末を溶融しながら積層するDED(ダイレクト・エナジー・デポジション)方式で、溶損が激しい部位にタングステンを積層できる。金型補修に利用することで、金型の耐久性が向上。必要な部位にピンポイントで積層できるため、補修の材料費削減やリードタイム短縮も期待できる。

溶損部位にタングステンを積層造形したサンプル

同社は、金属AMと5軸加工が複合したDMG森精機の「LASERTEC 65 DED hybrid」を活用し、タングステンの造形を行った。同造形機は、DED方式を採用している。金型で多く使われるPBF方式(パウダーベッド・フュージョン)と比較し、造形速度が早く、5軸の動きで自在に造形できるため、金型補修用途に適している。また、加工機能を備えているため、造形後に段取り替えも不要。金型補修がワンチャックで完結できる。

同社は2022年に同造形機を導入後、最初はSKD61粉末材などを活用し、金属AMでの製造実績を重ねていった。「タングステンの造形は難しいと言われていたため、ハードルが高かった。しかし、タングステンによる造形を求める顧客は多く、取り組みたいと考えていた」(吉田夏樹AM技術部部長)。

タングステンは融点が3,000度を超え、金属AMによる造形は課題が多かった。「造形後の割れや巣穴が発生しやすく、造形条件の設定がシビアだった。凝固速度も非常に速く、母材ごと割れてしまうケースもあった。何度もトライを重ね、ようやく成功に至った」(吉田部長)。

今後について吉田部長は「DED方式でのタングステン造形は他社事例が非常に少なく、大きな差別化要素となる。顧客からのニーズも多いので、これから販路を広げ、金型業界の革新と社会貢献をしていきたい」と話した。

金型しんぶん 2025年6月10日号 

関連記事

三菱電機 形彫の中型機種

AIで安定化・高速化を実現 三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)はこのほど、形彫放電加工機「SGシリーズ」から小物から中大物加工に適した中型機種の「SG28」を発売した。AI技術を用いた加工制御と最新の機…

大型ワイヤ放電発売
三菱電機

加工速度を66%向上  三菱電機は4月17日、大型金型向けのワイヤ放電加工機「MV4800R」を発売した。独自の制御や新電源の採用で、加工速度を従来比で66%向上させるなど、高い生産性を可能にした。  機械本体の熱変位を…

【特集:2024年 金型加工技術5大ニュース】3.デジタル

管理、調達を効率化 近年の金型工場では人手不足が深刻化しており、デジタル技術の導入による製造工程や管理工程などの効率化に向けた取り組みが加速している。多くの企業がセンシング技術を活用した見える化をはじめ、ITツール導入に…

小坂研究所 小型アーム式三次元測定機

金型向けに提案強化 小坂研究所(東京都千代田区、03-5812-2081)が金型向けに小型アーム式三次元測定機の提案を強化している。10μm台の精度で測定できる他、小型で取り回しが良く場所を問わずに使用できるのが特長。三…

WinTool Japan 「WinTool」の新バージョン

  新機能を追加 WinTool Japanはこのほど、工具管理システム「WinTool(ウィンツール)」の最新バージョン、2021・1をリリースした。 同社の「WinTool」は、切削工具やツーリングの情報の管理をベー…

トピックス

AD

FARO スキャンしたらすぐに結果まで:工数低減を実現

金型のメンテナンス、修復、複製に3次元測定アームを活用 製品を製造するために欠かせない金型ですが、そのメンテナンスには多くの課題が存在します。金型は使用するうちに摩耗し、時... 続きを読む

関連サイト