金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

19

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
東洋ガラス機械  五味淵 忠 社長

プラ容器金型の技術集団
技術_R
独自の表面処理で特殊形状の金型も

東洋ガラス機械は東洋製罐グループの東洋ガラスの子会社で、ガラスびん用金型やプラスチックボトル用金型などを手掛けるメーカーだ。金型のほか、成形機械などの製造・販売もしており、「包装容器において、幅広い提案ができる技術力が強み」と五味淵忠社長は話す。
技術力とは、「顧客のあらゆる要求に対して応えられる」ことだ。プラスチック金型事業部長の足立伸雄氏は「ペットボトルの形状が複雑になってきているが、当社はどんな形状の金型でも製造できる」と強調する。それを実現するひとつが表面処理の内製化だ。凹凸が多い複雑な形状は離型性が悪く、サンドブラストなどで表面処理を施す必要があり、包装容器の金型には高い面品位が求められるため独自の技術やノウハウが必要となる。内製する高い表面処理技術を活かし、デザイン性の高い特殊な形状の金型製造に力を入れ、少量の成形品も製造するなど高付加価値化を図っている。
また、加工技術の機械化・自動化を進めている。ガラス金型事業部長の松尾秀則氏は「熟練工が減っているので、従来手作業で行っていた磨きなどをしなくていいように機械加工を行ない、製品のバラつきを無くしている」と話す。今春には、1チャッキングで全加工ができるAPC搭載の複合加工機を導入した。自動化を図り、生産性を向上することで、納期やコストに対して柔軟に対応ができる。技術や納期などあらゆる要求に応え、常に顧客の立場に立った金型づくりを目指している。

人_R
多能工化し、考え行動する人材を

「多能工化し、自分で考えて行動できる人材を育成している」と話す五味淵社長。そうするのは、時代の流れからだ。五味淵社長は「同じものを作り続ける時代は終わり、今は多品種少ロット生産といわれるように、多種多様な製品づくりが求められている」。こうした製品づくりを実現するには、様々な機械を扱え、幅広い作業ができる人材が必要となる。ただ、多能工化をするには、「難しい時代になっているのも事実だ」という。多様化しすぎて、常に違う仕事を行い、ひとつひとつの工程を覚えきれずに別のステップに進み、なかなか技術やノウハウが身につかない。そうした問題があるからこそ、「基礎知識の充実」と「OJT」に力を入れる。「基礎知識の充実」では、例えば機械加工担当者に、位置決めの仕方はもちろん、その重要性など基礎的な知識から徹底して伝える。また、実務の中でノウハウや技術を習得させるために、ベテラン従業員とペアを組ませるなど「OJT」を積極的に取り入れ、根気強く育成を行う。
そのほか、会社全体が一つの方向性を持って仕事に取り組めるようにと、品質管理や環境活動などにも力を入れている。作業現場の掲示板に活動の目標や進捗状況を掲示し、従業員一人一人が常に取り組むべきことを意識させ、自分で考えて行動のできる人材を育成する。
こうした取り組みによって、多能工で自ら考え行動できる人材を育て、あらゆる要望に対して応えられる高いレベルの技術集団を目指していく。

五味淵忠社長_R
会社メモ

代表者=代表取締役社長 五味淵忠氏
創立=1959年
所在地=神奈川県横浜市旭区川井本町76
TEL=045・953・8831
FAX=045・953・5137
URL=http://www.tgmm.co.jp/
資本金=1億円
従業員数=139人
事業内容=ガラス容器、プラスチック容器などの意匠設計、金型設計、金型製造販売。びん、プラスチック容器などの製造用機械の設計、製造販売など。
主な設備=NC旋盤25台、立型マシニングセンタ13台、高速マシニングセンタ11台、表面処理装置7台、複合旋盤6台、プラノミラー3台、NC放電加工機3台、NC横フライス2台、NC彫刻機2台、NC立フライス、ワイヤーカット各1台など。

金型新聞 平成26年(2014年)10月20日号

関連記事

【インタビュー】日本金型工業会会長(小出製作所社長)・小出悟氏「日本の金型の強みは細やかさと対応力」

天性の細やかさ数値で語る力が必要  経済産業省の工業統計によると、2018年の日本の金型生産額は1兆4752億円。生産量こそ中国に抜かれて久しいが、新素材の登場や部品の複合化、微細化が進み、依然として日本の高度な金型技術…

岩倉溶接工業所 金型補修の受託加工と技術支援を開始

ステンレスを主体に金属の溶接加工を手掛ける岩倉溶接工業所(静岡県島田市、0547・37・4585)は今年8月から、金型溶接の受託加工事業と金型溶接・仕上げの技術支援事業を開始した。金型補修における技術承継の課題解決に貢献…

金型工業会 小出悟氏が新会長

金型工業会 小出悟氏が新会長

 日本金型工業会(牧野俊清会長、長津製作所会長)は6月8日、インターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区)で第6回定時総会を開催した。平成29年度事業報告や決算報告、平成30年度事業計画や収支予算など全議案が承認された。役…

植田機械 専務取締役営業本部長<br>世古秀人氏に聞く−金型業界の未来−

植田機械 専務取締役営業本部長
世古秀人氏に聞く−金型業界の未来−

更なる価値に活路 超微細や新素材金型+成形  日本の金型産業は今、かつてない変化の時代を迎えているのではないでしょうか。金型の需要はここ数年、自動車や電子機器業界の好転により堅調に回復してきました。しかし、その水準はまだ…

金型工場にIoT化の波<br>稼働状況などを監視

金型工場にIoT化の波
稼働状況などを監視

生産効率向上に活用  金型製造現場をIoT(モノのインターネット)化する動きが出始めている。マシニングセンタ(MC)や放電加工機など生産設備の新旧やメーカーを問わずに、それらの機械情報を取得し、クラウド上で分析できるシス…

トピックス

関連サイト