金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

06

新聞購読のお申込み

新会社設立で「meviy」の開発速度向上 吉田光伸氏(DTダイナミクス会長)【この人に聞く】

ミスミ(東京都文京区、03・5805・7050)は2022年9月、システム開発を手掛けるコアコンセプト・テクノロジー(東京都豊島区、以下CCT)との合弁会社「DTダイナミクス」を設立した。ミスミが提供するオンライン機械部品調達サービス「meviy(メビー)」の開発スピードを向上させ、グローバル展開の加速を狙う。DTダイナミクスの吉田光伸会長に今後の展開を聞いた。

グローバル展開を加速、世界中の「顧客の声」に対応

DTダイナミクス 会長 吉田 光伸(よしだ・みつのぶ) 氏
1973年生まれ、福井県出身。金沢大学法学部卒業、2008年ミスミ入社、18年ID企業体社長、20年常務執行役員(現任)、22年DTダイナミクス会長。

「DTダイナミクス」設立の理由は。

「meviy」の開発スピードを上げ、グローバル展開を加速させるためだ。「meviy」は機械部品の3Dデータをアップロードするだけで即時見積もり、最短1日での出荷を実現するオンライン機械部品調達サービス。これまで「VoC(顧客の声)」を重要視し、サービスを拡充させてきたが、グローバル展開を進めるに当たり、世界中の「VoC」に対応するには現状の体制だけでは限界があった。合弁会社の設立によって、ITエンジニアを確保し、開発体制を強化する。

なぜ、CCTなのか。

CCTは3Dデータの形状認識の技術などに強みを持ち、「meviy」開発当初から一部の機能で共同開発を進めてきた。同じ会社になることで、より一体となって開発に取り組むことができる。

また、もう一つの理由が、同社が提供するIT人材調達プラットフォーム「Ohgi(オウギ)」だ。約10万人(2023年1月時点)のITエンジニアデータベースで、必要なIT人材にアプローチすることができる。このシステムの利用が可能になることで、採用と調達で自在に人材を集め、よりスピーディーにシステムを開発できるようになると考えている。

「meviy」の現状は。

現在、ユーザー数は9万を超え、データアップロード数は1000万件を超えようとしている。機能も年々強化しており、昨年は長納期対応サービスや幾何公差設定機能などを追加したほか、丸物部品への対応も可能になった。また、グローバル展開については、21年12月に欧州、22年10月に北米での事業を開始した。今年度中に中国、アジアと一気に進めていくつもりだ。

DTダイナミクスでは今後どんな事業を展開していくか。

「meviy」の開発が主で、同サービスのグローバル展開を支えていくというのが一丁目一番地。当面の目標はグローバルナンバーワンのサービスへの成長だ。また、将来的には製造業全体に時間価値を提供していくことを目指したい。

具体的には。

「meviy」で開発した自動形状認識や、自動見積、3Dビューワーなどの技術はいろんな分野、領域で活用できると考えている。これらの技術を展開し、あらゆる産業の自動化に貢献していきたいと考えている。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

3Dプリンタ活用を支援する研究開発拠点を開設 酒井仁史氏(NTTデータザムテクノロジーズCTO)【この人に聞く】

独EOS社の金属3Dプリンタの日本代理店を務めるNTTデータ ザムテクノロジーズ(XAM)。昨夏に、大阪市内に金属3Dプリンタ15台のほか、多様な検査装置を備えた「デジタルマニファクチャリングセンター(DMC)」を開設し…

リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること

サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏  1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…

日本金型工業会 事務局長 川田 明美さん(58)
〜ひと〜

会員の声をカタチにしたい  昨年、金型メーカーで働く女性が現場の課題などを話し合った「かながた小町」を企画した。金型メーカー約420社が参加する日本金型工業会の行事の多くは経営者やマネジメント層が対象。「金型メーカーで働…

黒田彰一氏(黒田精工元社長) 死去

日本金型工業会の会長など歴任  日本金型工業会や国際金型協会(ISTMA)、アジア金型工業会協議会(FADMA)の会長などを務め、日本のみならず世界の金型産業の発展に貢献し続けた黒田彰一氏(黒田精工最高顧問)が9月30日…

【ひと】住友電工焼結合金金型開発室長 ・栢野正治さん 技能検定への功労が瑞宝単光章に

技能検定に挑む技術者の目は普段のそれと輝きが異なるという。レベルの違う課題に出会い、技術の海の広さと、自らを知る。「受検者のそうした『成長』の一端に携われることが嬉しい」。 岡山県の技能検定委員として機械加工や放電加工を…

トピックス

関連サイト