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ポートフォリオ拡大し、製造工程の全体最適を支援 鈴木渉氏(オートフォームジャパン社長)【この人に聞く】
オートフォームジャパン(東京都港区、03・6459・0881)はスイス・オートフォーム社の日本法人として2007年に設立された。シミュレーションソフトメーカーでは後発となる同社はプレス成形に特化し、圧倒的な計算速度を強みに自動車産業を中心にユーザー数を拡大してきた。最近ではアッセンブリシミュレーションを製品ラインアップに追加するなど、車体製造工程の全体最適を支援する。22年7月に社長に就任した鈴木渉氏に現在注力している取り組みや、今後の展開などを聞いた。
解析が生む価値を顧客と議論
日本での事業を振り返って。
1995年にオートフォーム社がプレス成形シミュレーションソフト「Forming」の販売を開始し、同時に日本でも発売された。日本で最初に広がったのは金型メーカーだった。計算速度が速く、素早く検証できることで、導入が進んだ。その後、自動車メーカーにも普及し、現在では多くの企業に採用してもらっている。
製品の特長は。
一つは、プレスに特化したソルバーを採用し、計算速度を格段に速めたこと。ものにもよるが、従来品の5~50倍で計算できることもある。また、もう一つはオプションモジュールの「DieDesigner」。このモジュールを使うことで、CADを使わずにモデルを作成でき、素早く検討、修正を行うことができるようになった。
現在注力しているのは。
シミュレーションによってどういう価値を生み出すことができるのかを顧客と議論し、提案していくことだ。これまでも課題ごとのソリューション提案は行っていたが、それぞれの課題を解決することが顧客のどんな価値につながるかまでは提案できていなかった。今後は製造プロセス全体で最適化が図れるような提案に力を入れていく。
そのためには。
製品ポートフォリオを広げている。21年にアッセンブリ工程のシミュレーションソフト「Assembly」を発売した。このソフトはデジタル上で部品を組み付け、修正箇所などを事前に検証することができる。プレスとアッセンブリの工程を最適化できる製品を揃えたことで、全体最適に向けた提案が可能になった。
開発の方向性は。
スマートマニュファクチャリングに対応した製品を開発している。センシングによって取得した現場のデータをシミュレーションに活用することで、自律的に問題を解決できる製品を目指している。すでにパイロット版が開発されており、2年後には実用化できるはずだ。
今後の目標は。
日本はまだまだ潜在的な需要が高く、重要な市場の一つと位置付けている。金型メーカーを始めとした日本の製造業の競争力強化に貢献し、年率15~20%程度の成長を目指していきたい。
金型新聞 2023年3月10日
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