とみた・ひでし1999年慶応義塾大卒。システム会社での開発経験を始め、日本ヒューレットパッカードや日本オラクルでコンサルティング部門の部門長を歴任。直近では政府系ファンド出資のランドデータバンクの立ち上げに専務執行役員と…
「計測、CAD/CAM、CAE技術生かし、DX化を推進」Hexagon先端技術開発室・立石源治室長【この人に聞く】
Hexagon(東京都千代田、03-6275-0870)は、計測やCAE、CAD/CAM技術を生かして製造プロセスのDX化を推進する「Smart Manufacturing(スマートマニュファクチャリング)ソリューション」の開発に注力している。Hexagonの立石源治氏に特長や今後の展開などを聞いた。
データ共有しデジタルツイン
スプリングバックを予測

たていし・もとはる
1957年生まれ、佐賀県出身。83年明治大学理工学部卒業後、日本マーク入社。2003年京都工芸繊維大学で工学博士を取得。17年エムエスシーソフトウエアテクニカルフェロー、現在はHexagon先端技術開発室室長。日本計算工学会フェローも務める。
「Smart Manufacturingソリューション」とは。
Hexagonが持つ計測、CAE、CAD/CAM技術を統合し、顧客のものづくり改革を支援するソリューションだ。手戻り・試作の削減やリードタイムの短縮を実現するために、製造現場で取得したデータを上手く管理、 共有し、 デジタルツイン技術を活用して製造プロセス全体を最適化する仕組みを提案している。
具体的には。
製造プロセス全体を最適化するには、データを上手く共有できる仕組みを作ることが重要だ。当社では設計から生産まで製品のライフサイクルを通したデータの管理が可能なシステム「ViLMa(ビルマ)」を提供している。CAD情報や計測データ、シミュレーションデータを紐づけて管理でき、蓄積したデータは品質管理だけでなく、デジタルツインの構築にも活用できる。
どういうことか。
デジタルツインはこれまで、現実を上手く表現するために、熟練作業者が高度なノウハウを駆使して計測データのばらつきを分析しながら調整し、合わせ込んでいた。「Smart Manufacturingソリューション」では、AIを活用することで、蓄積したデータから高性能なデジタルツインを構築できる。誰でも扱える点がこれまでのデジタルツインとの違いだ。リアルとバーチャルの両方の技術を持っているHexagonだからこそ可能な技術と言える。
金型向けのソリューションは。
現在、板成形に特化した金型設計最適化システム「Smart Press Shop(スマートプレスショップ)」を開発している。性能の高いデジタルツインによって、高精度なスプリングバックの予測や見込みを考慮した型形状の作成、補修時期と部位の推定、仮想検具による全品検査などが可能になる。これにより、実機での試作回数を大幅に減らせ、量産までのコストや工数を削減できる。
今後の展開は。
今後も計測、CAE、CAD/CAM技術を進化させ、ソリューションを拡充させていく。まだまだ日本の製造業は部門間での分断があり、全体での最適化が図れていないという課題がある。部門間をシームレスにつなぐ環境を提供し、ものづくりのさらなる効率化、高精度化に貢献したい。
金型新聞 2022年6月9日
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