脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…
福井精機工業がPC付MCなど6台設備
樹脂リテーナー金型を柱
丸モノ・角モノ 何でも挑戦!
「丸モノ金型」の福井精機工業(大阪市大正区)は昨年10月、パレットチャンジャ―付き立形マシニングセンタなど6台を設備し、新たな挑戦に入った。主力のトヨタ自動車グループ、ジェイテクトの樹脂リテーナー金型生産が好調で、「老朽化が進み生産性の悪い機械をパレットチェンジャー付きMC機2台はじめ放電加工機2台、NC旋盤、汎用旋盤などの最新鋭機に入れ替えた」(山下喜久雄社長)。山下社長の次期青写真が描かれていた。
数年前から山下社長は、毎朝実行していることがある。朝礼をした後、30人の従業員と“ハイタッチ“をしながら「今日も頼むぞ!」と声を掛けて回る。動機は、年々、金型生産が増え「従業員の安全と髙品質を保つ」ところにある。
同社は、「丸モノ」部品を得意とする。車のパワステアリング用トルクセンサ部品、ベアリング樹脂保持具、アイドリングストップ用電動ポンプはじめ産業用ロボット、建設機械、文具など丸は多岐にわたる。主力は、トヨタ自動車グループのジェイテクトのベアリング用樹脂リテーナー金型。売上の約5割強を占めるほどジェイテクトの信頼が高い。
今回、同社が「さらなる品質を高め、顧客に安心してもらえる体制を整えた」(山下社長)のは、海外向け金型が急増していること。金型の増産や効率を上げるだけでなく、ジェイテクトの世界12カ国の生産拠点の現地従業員に使い易い金型を供給するボルトの取り付け取外しを写真で見せるなど「微に入り細に入った」(清水一蔵専務)マニュアルを作成し、分かりやすくした。さらには測定データーを付ける、成形品も付ける、メンテナンスと金型部品の差し替えも容易にするなど金型の出戻りをゼロにする手を打った。
さらに今回、異業種進出を視野に新規設備を図った。6台の機械は、牧野フライス製作所の立形MCⅤ56ⅰ、Ⅴ33ⅰ(金型メーカーでは珍しいパレットチェンジャー付き)、同ワイヤ放電加工機U53J、同NC放電加工機EDAF3、DMG森精機のCNC旋盤、大日金属工業の汎用旋盤DL530。パレット付きは、「これまで丸に拘ってきたが、今後は丸をコアに三角も四角も何でもできる」(山下社長)部品加工への進出を始めた。
また、現在、100tの成形機を2台設備しているが、大型成形機のニーズがあり、「金型検証」として200t以上の成型機の導入も考えている。「あまりのめり込まず、満遍なく自分の城を守る。われわれの範疇でいろんなことに挑戦する」とは、山下社長。ハイタッチが今日も行われている。
金型新聞 平成29年(2017年)1月10日号
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