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鍵型の便利ツールを開発
自社の能力と設備で世の中にないものをーツカダ
がんばれ!日本の金型産業(連載シリーズ)
ツカダ 塚田 浩生 社長
自社製品で新市場を模索
岐阜県関市にあるツカダは自社製品「Key-Quest(キークエスト)」を開発。鍵の歯型で段ボールの開閉、先端の割れ目で糸切、爪の形状で栓抜きほか、刃先のマイナスドライバーや特殊形状を利用したナット回しなど6機能を持つ。コンセプトは「自社の能力と設備で世の中にないもの」と、自宅や車のカギと併せて持ち歩ける便利ツールが誕生した。
本業は刃物のプレス加工と金型内製など。プレスは最大150tで薄物0.1㎜から厚物で8㎜のプレス加工、被削材はステンレスを主に真鍮や鉄、樹脂などを手掛け、地場産業の刃物作りを盛り上げてきた。だが、「刃物生産の多くは海外生産になり、自社製品や新技術で新市場を開拓したかった」。
きっかけは「段ボールを開ける際にカッターがなかったので鍵をつかったのがきっかけ」と語る。2015年秋から仕事の合間を縫って地道に試作を重ねた。「最初に作った試作品から少しずつ刃先の形状や穴の位置など変えていった」と、現在はアマゾンや東急ハンズなどで販売している。
初の自社製品とあって不安もあったという塚田社長は販売に踏み切る前に市場調査としてクラウドファンディングを利用。すると想定した目標資金額をはるかに上回る反響を得た。続けて自社製品の第2弾として極薄スマート名刺入れ「KEEP SMART」を開発。『財布にしのばせる』をコンセプトに8月21日からクラウドファンディング「MAKUAKE」に掲載する予定だ。
技能習得と企業イメージの向上
「ここ2年半、社内勉強会を毎週水曜日に開き、金型やプレスなど知識習得を行っている」。社員20人の中で20代や30代の若手も多い。土曜日はプレスのベテラン技能者を迎えに講義してもらうなど教育を充実。塚田社長は「関流のやり方はベテランを見て学ぶで、基礎知識などが欠けている」と指摘する。個々の能力を向上させることで、顧客との打ち合わせやトラブル解決なども社員に任せ、設計や加工、組付、プレス、自社製品作りなど、様々な仕事に従事できる仕組みを構築していく。
もう1つの課題は採用。「魅力ある企業でないと人は来ない」とし、『やりがい』『将来性』といったキーワードを掲げ、切削加工が主流のCFRP板の穴加工をプレス加工に置き換える新技術を開発。新しいことに挑戦することで、『やりがい』や『将来性』のある企業イメージを作り、顧客の新規開拓と人材採用のシナジー効果を目指す。この技術は課題となるCFRPの繊維のケバ立ちなどに対し、金型のクリアランスや特殊なパンチを開発したことで、板厚1.8㎜にφ1.6㎜穴を1本のパンチで5000穴を可能にした。そのため、航空機エンジンのCFRP吸音パネルでは4万穴のドリル加工で5日間かかるのに対し、プレスは4時間で完成できるという。塚田社長は「岐阜は花形産業である自動車や航空機の集積地。それに関係する企業であれば、将来性にもつながる」と展望を語った。
会社メモ
代表者=塚田 浩生社長
創業=1970年
資本金=1000万円
事業内容=金型設計・製作、順送プレス加工、単発プレス加工、トランスファープレス加工など。
所在地=岐阜県関市小瀬554-1
従業員数=20人
電話=0575・23・2376
FAX=0575・23・2399
ホームページ=http://www.t-k-d.co.jp
E-mail=info@t-k-d.co.jp
企業モットー=探求と追求
自社製品=キークエスト(鍵型の便利ツール)
主な設備=順送プレス加工ライン6台、トランスファープレス加工機3台、単発プレス加工機14台、ワイヤーカット放電加工機4台、細穴放電加工機1台、マシニングセンタ1台、平面研削盤4台、三次元測定機1台、画像寸法測定機1台など。
金型新聞 平成29年(2017年)8月10日号
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