金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

17

新聞購読のお申込み

スリーアールブランド設立50周年
16年の売上高は過去最高
GFマシニングソリューションズ

自動化、トータルで提案

池田実社長

池田実社長

 NC(数値制御)装置付き放電加工機が金型加工で広く使われ始めた1970年代。電極の調整は、高い技能を持った職人の手で行うのが当たり前だった。そうした時代に、誰もが簡単に精度良く電極を取り付けられるようにしたのが、システムスリーアールの電極取付用冶具だ。

 「放電加工の生産効率を飛躍的に向上させる画期的な製品だった」という池田実社長。設立から50年が経った現在では、放電加工には無くてはならないツールとして、スリーアールブランドの名前は広く市場に認知されるまでになった。

 システムスリーアールは、67年にスウェーデンで創業し、その約10年後に日本にも上陸。80年代後半には、電極取付用冶具のほかに、マシニングセンタなどにも使えるワーク交換用冶具も開発した。さらに90年代後半には、電極やワークを搬送する自動化システムやロボット、またそれらを動かすソフトウェアも手掛け始め、機械加工の自動化を提案するメーカーへと発展した。

 2001年に工作機械などを手掛けるGFグループ傘下に入り、14年にはGFマシニングソリューションズに社名を変更した。池田社長は、「50年の間に冶具、自動化装置、ソフトウェアと製品ラインナップを拡大し、工作機械メーカーの一員となったことで、自動化に対してトータルで、より具体的な提案ができるようになった」と話す。

 最近では、自動化システムを多関節ロボット(ファナック製)にも対応させ、今まで数十㎏のワークしか搬送できなかったのを700㎏の大型ワークまで搬送可能にした。また、冶具では超高精度モデル「ナノシリーズ」を開発。繰り返し精度1μm以下を保証し、今まで精度上対応が難しかった研削分野にも提案の幅を広げている。

 今後は、こうしたワーク搬送などの自動化に加え、設計からNCデータ作成、加工までの工程を全て自動で行えるシステムに取り組む。今年9月にドイツで開かれる工作機械見本市「EMO」では、CAD/CAMと連携した新しいシステムを披露する予定だ。

 「世界的に自動化ニーズは高まっている」という池田社長。16年の売上高は過去最高となり、17年はそれをさらに上回る見通しだ。「自動化も万能ではない。我々は今後も金型メーカーを始めとしたユーザーと一緒になって、最適な方法を提案していく」。

金型新聞 平成29年(2017年)8月10日号

関連記事

【ひと】ケーワールドism社長・澤井健司さん(55) 金型技術生かし自社商品をヒットさせた

金型技術活かし自社商品をヒットさせた  『日本一の金型職人になりたい』と、金型製作に没頭した若き日の澤井健司社長。町工場が集積する大阪・八尾で金型作りに励む日々だったが、ひょんなことから独立し、ケーワールドismを設立。…

【金型生産実績】前年同月比 7.8%減の276億7,500万円

プレス型は21.4%減、プラ型は8.4%減 2021年11月の金型生産は、前年同月比7.8%減の276億7,500万円となった。前月比では8.6%減。数量は前年同月比3.4%増で、前月比でも6.4%増の3万9,614組、…

座談会 アイキャッチ

【座談会】金型メーカー・自動車メーカーが語る
次世代自動車の登場で金型づくりはどう変わるのか
ー2030年の金型業界ー 第1部

アルミ、樹脂など軽量化の流れ加速  次世代型自動車の登場が金型業界に及ぼす影響を懸念する声は少なくない。「電気自動車(EV)でエンジンはどれほど減るのか」、「アルミや樹脂は増えるのか」などの疑問は尽きない。そこで本年の新…

「『金型灼熱』の技術強みに 省エネなど製品開発」 平和電機社長・大澤孝佳氏

各種工業用ヒーターや金型均熱システムなどを手掛ける平和電機(愛知県一宮市、0586-77-4870)は独自のエンジニアリング力を強みに、金型メーカーの様々なニーズに応える。近年はSDGsなど循環型社会への貢献を目指し、新…

ルッドリフティングジャパン 積載荷重2.5tの金型反転機

電ドラで稼働、移動しやすく ルッドリフティングジャパン(大阪市西区、06-6536-8807)は、ルッド社(ドイツ)のコードレス金型反転機「ツールムーバー」の販売を始めた。 電動ドライバーを差し込み回転させるとチェーンド…

トピックス

関連サイト