コネクタメーカーを始め、全国の金型ユーザーから補修の依頼が舞い込む。50μmという微細な肉盛り溶接ができるからだ。あまりに微細なため、溶加棒も自社製というこだわりを持つ。 また微細溶接だけではなく、ダイカスト金型等のボリ…
金型企業の代弁者として情報を発信
日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く
人材の不足や育成、CASE(コネクティビティ・オートノマス・シェアード・エレクトリック)に代表される自動車産業の変化による影響、台頭する新興国など、日本の金型産業は様々な課題を抱えている。これらに対してどう立ち向かっていくか。新しく日本金型工業会の会長に就任した小出悟氏(小出製作所社長)に業界団体として取り組むべきことや今後の方向性などを聞いた。
組織として存在感高める
ー日本の金型産業が抱える最大の課題とは。
時代が大きく変わろうとしている中で、その変化にどう対応するかが最大の課題だ。金型の需要の大半を占める自動車産業では電動化や自動化などによって100年に1度の変革期にあると言われ、既存の大手メーカーでも主導権をとれるとは限らない。新興メーカーの台頭によって今まで顧客だったところが変わる可能性も大いにあり得る。こうした変化を乗り越えるには、“チームジャパン”で世界と対峙しないといけない。
ーそのためには。
金型メーカーはもっと量産を意識するべきではないか。金型を量産の道具と捉えると、ユーザーのことを考えなければ本当の意味で良い金型はつくれない。一方で、ユーザーも新しい素材や形状を量産するとなれば、それに対応した金型が不可欠。川下から川上産業までが一体となり、今まで以上に強い協力関係を結ぶことで、競争力の高いものづくりができると考えている。
ー人材も課題と言われている。
やはり産業を維持、発展させていくには人が欠かせない。外部環境の変化に対応できても、人手不足によって産業が瓦解しかねない。当工業会としては、海外人材の活用事例の発信や、金型の広報用DVDを作成して学生や一般向けの広報活動を積極的に進めたい。
ー昨年は次世代のリーダーを育てるための「金型マスター認定制度」を立ち上げた。
これからの時代、今までのように腕が良いだけで良い人材とは言えなくなっている。特に中核を担っていく人材にはマーケティングやマネジメントといった能力が求められるし、海外の商習慣なども把握しておかないといけない。「金型マスター認定制度」は、今後も継続的にアカデミーを開催し、まずは昨年認定した71人をグレードアップさせていく。そして来年には第2回の募集をするつもりだ。
ーそのほかに取り組みたいことは。
地域の活動を重視したい。全国の集まりなので、今までの型種別の活動だけでは全ての会員が参加するには限界がある。すでに静岡の浜松部会や北陸部会、九州地区会などがあるので、今後は中国や四国地区などにも活動を広げたい。
ー業界団体として今後の方向性は。
会員が満足する活動を進めるのはもちろんだが、それだけではなく日本の全ての金型メーカーの代弁者として情報を発信していく。それには会員増強が不可欠。当工業会の組織率は全国の金型メーカー6535社(2015年工業統計)に対して、会員数は407社(8月現在)とまだ5%強だ。これを20~30%に引き上げることで、国や政府に対しても存在感を高めていきたい。
金型新聞 平成30年(2018年)8月10日号
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