金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

16

新聞購読のお申込み

– 成形をゆく- シマファインプレス(和歌山県)

世界の衣料支える 横編み機の精密部品

 親会社である島精機製作所の横編み機は、複雑な形状のワンピースでも縫い目なく編める“ホールガーメント”という独自技術(写真①)で、6割近い世界シェアを占める。機能性に加え、長時間使っても壊れないなど、世界中の評価を得ており、シマファインプレスはその横編み機に必要な高精度部品を供給している。同社は、さらに、横編み機以外の分野でも、社名の一部にもあるファインブランキング(FB)や超精密な射出成形技術で、世界中の衣料業界を支え続けている。

①ホールガーメントで作ったワンピース

機械を極限まで使いこなす

 創業は1980年。当時採用していた欧州の部品に満足できず、それを内製化するために立ちあげた。創業時29歳で島精機から移籍した西村定夫社長は「金型も成形ノウハウもゼロ。分かっていたのは高精度な部品を作らなければならないことと、そのために高精度な機械が必要だということ」。だから設備にはこだわった。持論は「100分台の機械を何台並べても1000分台はできない」だ。

最高の機械にこだわる

この方針通り、最高級の機械をそろえた。しかし、西村社長は「重要なのは機械だけではなく、使いこなす力」と話す。「安全率などを考慮し、メーカーのカタログにあるチャンピオンデータより少し低い領域で機械を使うことが一般的。しかし当社は違う。メーカーのカタログ値にある極限のレベルまで機械を使いこなす。それがノウハウになる」。技術者にもその意識を徹底させるため、自ら機械を選択させる。

 最高級の機械とそれを使いこなす気概。こうした姿勢があったからだろう。創業からたった半年でFB用の金型を製作した。8年後には「金型を作る機械があるのだから樹脂型もできるだろう」と射出成形を始めた。

 こうしてスタートした同社だが、今や手がける部品は高度なものばかりだ。例えば、編み機を正確に制御するには欠かせない主力のニードルプレートという部品(写真②)は、厚み1~2㎜、長さ200~250㎜の焼き入れ材からなる。1台数千本を使用するこの部品は、1日8万本も製造される。また、樹脂でも特殊な部品を製造。布地や炭素繊維など新素材のフィルムを寸法通りに裁断するための部品(写真③)であり、フィルムをこの部品の上に乗せ、吸着しながら切断する。きれいに切断するために、約100㎜角に8100本ものピンを立てる必要があり、この金型も数か月かけて製作した。

②編み機の制御に不可欠なニードルプレス

③新素材のフィルムに裁断する部品

 

自動化で良いものを早く

こうした高品質なものづくりができるのは子会社だからという見方もあるかもしれないが、むしろ逆だ。子会社だからこそ要求は厳しい。そのために自動化で安く作ることも追求する。例えばニードルプレートでは、それまで2時間かけてその先端部を研磨していたが、専用機メーカーと共同で、10数秒で研削する画期的方法を開発。また、抜け穴でのカスを金型内で処理できるよう、自動化対策にも取り組んできた。

挑戦なくして成長なし

こうした工夫や新技術へ挑戦は尽きない。最近では、「後処理を考えるとレーザーのほうが早い部品も多い」ことから、レーザー加工による部品づくりを始めた。また、年内には650tクラスの成形機を導入し、大きなサイズの部品製造が進行中である。さらに、まだ具体的なアクションには至っていないが、ソディックが開発したアルミ用の射出成形機の活用も検討している。
 「生産性にしても、利益を上げるにしても新しいことに挑戦しなくて成長はない」西村社長の言葉は、同社の成長の源泉となっている。


西村 定夫社長


会社概要

本社:和歌山県和歌山市神前357
代表者:西村定夫社長
従業員数:110人
設備:フィンブランキングプレス機10台(アサイ産業など)、射出成形機14台(住友重機など)、放電加工機、マシニングセンタ、5軸加工機など多数
事業内容:ファインブランキングや射出成形によるニードルプレートなど横編み機部品の製造など

金型新聞 平成30年(2018年)9月10日号

関連記事

【この人に聞く】ヨロズ会長・志藤昭彦氏「金型や生産設備の外販を事業の一つに」

 サスペンションやリヤビームなど自動車用プレス部品を手掛けるヨロズは2023年をめどに、プレス金型の生産能力を年1600型から2400型の1.5倍に引き上げる。生産増強に合わせて、金型を中心に生産設備の外販を始める一方、…

【金型の底力】ペッカー精工 新素材、自社製品の開発に力

デザインから量産まで新素材、自社製品の開発に力  デザインから試作、金型、量産まで、ものづくりの一連工程を一貫して請け負うことができるペッカー精工。金型にこだわらず事業領域を広げてきたことによって、他社にはない“総合力”…

3月の金型生産実績

3月の金型生産実績

前年同月比 9.9%増の423億5,400万円 プレス型は13.9%増、プラ型は15.0%増 日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による2016年3月の金型生産実績をまとめた。それに…

産業とくらしのグランドフェア2015独自色溢れる新技術

産業とくらしのグランドフェア2015独自色溢れる新技術

インテックス大阪 9月18~19日 出展371社 最新から主力機まで  9月18日、19日の2日間、インテックス大阪(大阪市住之江区)で「産業とくらしのグランドフェア2015」(以下GF)が開かれる。出品メーカー371社…

型技術協会 2月22日にウェブで講習会

研削・放電・切削の基礎知識 型技術協会(横浜市中区、045-224-6081)は2月22日、研削加工や放電加工、切削加工の基礎をテーマに、金型加工に必要な技術や知識を紹介するウェブ講習会を開く。 研削加工は成型を繰り返し…

関連サイト