パラレルで力制御、高速・高精度 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…
ジヤトコエンジニアリング
永倉 均社長に聞く CVT技術を磨く
この人に聞く 2018
電気自動車(EV)の登場で部品点数が減少したり、エンジンがなくなったりするのではないかといった金型への影響を危惧する声は絶えない。オートマチックトランスミッション(AT)や無段変速機(CVT)など変速機はその代表だ。CVTで世界トップシェアのジヤトコはこの状況をどうみているのか。ジヤトコのグループ会社でATやCVTの開発実験、再生ユニットや少ロット製品の生産などを手掛けるジヤトコエンジニアリングの永倉均社長に見通しなどを聞いた。

1982年日産自動車入社、2001年企画室室長、07年ジヤトコVP経営企画部担当、09年常務、12年専務企画部門担当、15年副社長企画部門、マーケティング&セールス・UPD部門担当、17年ジヤトコエンジニアリング取締役社長。
自動運転にも新たな価値を提供
ーEV化で、AT・CVTの減少が懸念されています。
EVの普及は少し誇張されているので、もっと冷静に現状を見る必要があると思う。2017年度のEVの世界販売シェアは0.6%程度。様々な見通しはあるが、業界では30年でも10~15%と言われている。残りは欧州や中国で広がりつつある48Vマイルドハイブリッドなど内燃機関とトランスミッションが必要な車だ。加えて、新興国向けも伸び、自動車の生産台数全体も増える。MTからのシフトもあって、向こう10年はCVTやATが主戦場であることは変わらない。
ーEVの広がりが早い可能性もあります。
各国の振興策で加速する可能性も否定できない。とはいえ、冷静に見て浮足立つことなく、まだ伸びる収益源のCVT技術を磨きつつ、我々が持つ強みの技術を、電動化を中心とする次世代にも活かす方法を考えている。
ーどのような方向性を考えてますか。
EVが増え、様々なユーザーの使い方に合わせていくために、モータの能力を十分に発揮しなくてはならない。そのためには変速機が必要になる。我々のトランスミッション技術をそこに適応すれば新たな価値を生むことにつながる。また、CVTの技術は自動運転にも活用できる。
ー自動運転ですか。
EVの進展よりも高速道路など条件付き自動運転の「レベル3」の実現のほうが早いのではないかと考えている。現在の自動運転は加減速に違和感があり、人間が運転する滑らかさを実現するには連続変速できるCVTが向いていると思う。こうした部分にも我々の技術の採用を目指したい。
ーCVTも進化していますが、どんな金型が必要でしょうか。
CVTの心臓部のプーリーでは特殊な鋼材を連続熱間鍛造するので、圧倒的な長寿命の金型が必要になる。油圧制御の基幹部品のコントロールバルブは複雑な構造なので、精密鋳造技術が必要だ。また、軽量化で不可欠なアルミ鋳造では、(技能が必要な)補修の少ない金型があればいいと思う。いずれにしても金型は重要なキーパーツだ。
ーこうした状況で金型メーカーに何が求められるでしょうか。
自動車業界の開発スピードは圧倒的に早くなっているので、対応できるスピード感が必要だと思う。例えば、3カ月を1か月でやると言われれば価格が高くても採用する。ノウハウの形式知化も重要だ。特定の職人がいなければ精度が維持できないと言われるとやはり困る。軽量化など製品に付加価値を与えられる技術提案は大歓迎だ。結局、納期でも技術でも、顧客が何を期待しているのかをうまく引き出す力が必要だと思う。
金型新聞 平成30年(2018年)11月1日号
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