弱電部品やライフサイエンス部品、自動車部品など幅広い業種のプレス用金型を手掛ける永井製作所。ここ数年、積極的な設備投資を進め、生産体制の強化に取り組んでいる。昨年には事業再構築補助金を活用し、約1億円をかけてマシニングセ…
この人に聞く
碌々産業 海藤 満社長

加工技術者に新たな呼称
ミクロン台の誤差に収まる精度、鏡のように美しい仕上げ面—。こうした加工は、卓越した技術力と並々ならぬこだわりを持った技術者が高精度な機械を駆使して初めて実現する。この職人と呼ばれる人たちを「マシニングアーティスト」と称するのが、微細加工機メーカー・碌々産業の海藤満社長。「若い人が憧れる職業にしたい」として、今年2月に「マシニングアーティスト」を商標登録申請。独自の認定制度を設立し、加工技術者の地位向上に向けた取り組みを進める。狙いや今後の展開などを聞いた。
認知度・地位向上を目指す
なぜ、「マシニングアーティスト」という言葉を作ったのか。
今、我々の身近にあるスマートフォンや微細な電子機器などは、優れた加工技術者がいたからこそ生まれた。その一方で、こうした技術者は表舞台に出ることが少なく、認知度や地位があまり高くない。こうした人たちにリスペクトを表するとともに、プライドを持ってもらうために、このネーミングを作った。
ネーミングの由来は。
高精度な機械や工具、ソフトウエアを駆使し、自らの豊かな感性と創造性を働かせて微細な加工を手がける技術者は、私の目には「アーティスト」のように映る。そこに「加工」を意味する「マシニング」を組み合わせた。格好いい仕事だというイメージを発信し、若い人たちにも興味を持ってもらいたいという思いを込めて名付けた。
具体的にどんな活動をするのか。
認定制度を設ける。当社で独自に認定委員を作り、全国から毎年50人ほどの加工技術者を選定する。認定者には、認定証と記念品を贈呈する予定だ。
また、当社の静岡工場(静岡県焼津市)にあるショールームは、「MAラボ」に改称した。「マシニングアーティスト」たちが集う研究室という意味で名付け、一角には認定者のネームプレートを飾るつもりだ。
微細加工は、日本の得意分野とされている。
微細加工は、寸法精度だけでなく、面品位も求められる。鏡面性などは、見た目によるところが大きく、技術者の感性が重要。当社でも微細加工を実現する条件として、「機械」「工具」「加工環境」「ソフトウエア」に「技術者」を加えた「四位一体(よんみいったい)+one(ワン)」を提唱し、顧客に提案している。今後、次世代自動車やIoTなどで微細な部品が増え、微細加工技術者の需要は益々高まるはずだ。
今後の展開は。
まずは「マシニングアーティスト」という言葉を広めていく。ロゴやステッカーを作ったりして、認知度の向上に努める。最終的には、技能検定などと同等の価値まで引き上げたい。そして、何よりも加工技術者を志す若い人を1人でも多く増やしたい。
金型新聞2019年3月10日号
関連記事
自動車部品向けプレス金型メーカーの進恵技研は今年4月、本社工場に隣接する西工場に新棟を設立し、第7工場として稼働を開始した。門形マシニングセンタ(MC)5台や、40tクレーンなどを設備し、より大物加工に対応できる体制を構…
マイクロヴェルトは4月にもレーザー式の回転工具外径測定機「マイクロヴェルトナノ9」を発売する。設置環境や技術者のスキルを問わず、極めて短い時間で高精度に測定できる。 工具を独自のVブロックにセット。ボタンを押すと工具が回…
研究開発が新たな道 リーマン・ショック以降需要が回復しているものの、これがいつまで続くのか。自動車の電気化やインターネットの技術革新が産業構造にどんな影響を及ぼすのか。それが、日本の金型メーカーの多くの経営者が抱く未来…
切削工具販売サイト「さくさく」は4月1日、新たに国内外メーカー約40社の商品約40万点の取り扱いを始めた。1年以内をめどに、それらの商品の性能や価格を比較し選べるようにするなど利便性を高めていく。サイトを運営する、さくさ…


