金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

09

新聞購読のお申込み

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて
三豊機工 鹿児島工場(南九州)

 5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産する三豊機工(本社・愛知県春日井市)の鹿児島工場(鹿児島県南九州市川辺町)だ。

AIVで搬送を自動化
1日24時間を有効活用

 三豊機工は、月間24000〜25000点という少量多品種製造の典型である冷間圧造用金型を独自のシステムで自動化する。舟橋佳孝社長は「人の労働時間(8時間)以外の16時間を有効に活用して如何に生産効率を上げるかが重要」とし、AIVの他にATC、AWCはもちろんロボットの導入も増やしている。段取り替え頻度の低い加工機にもロボットを搭載する工程もある。

 AIVは、1年前に2台を導入し、早々に3台追加を決め、今年6月に稼働を始めた。次工程へのワーク搬送を人から代替することが主体で、3台の定期便と2台の呼出便で構成。運行はWi‐Fiで制御しており、人や障害物があれば自動的に回避しながら運搬する。充電は1日1回。隣棟へ移るときの扉の開閉も通信制御により自動。人がモノを運搬する時間を極力削減することで、人は持ち場での仕事に専念できる。

 同社では、形彫り放電加工機にATCやAWC、円筒研削盤のワークチェンジにミニ多関節ロボットを活用。8台ある高精度MCのうち、2台には60個のワークを搭載できるパレットチェンジャ—をセットし、夜間および休日の稼働を可能にしている。精度を確保するため、光学ラインセンサ方式の工具測定器を搭載し、高精度追求も欠かさない。万一異常が発生した場合は機械をストップさせると同時に、担当者の携帯電話にアラーム発信して知らせる。

 そして今年3月、放電加工機2台とワーク・電極ストッカーとロボット1台を組み合わせた自動化セルを構築した。ソフトは放電加工機メーカーが独自にプログラミング。ワークパレットを増設する場合はロボットをレール移動させることができるように拡張性を持たせた。ワークストッカーにはワーク20個と電極90個を収納し、24時間365日稼働を目指す。

 一方、生産管理は、加工曜日別の棚や納期別に色分けをした図面など、目で見る管理を徹底。完成品には製造ロットをレーザー刻印し、全数に検査票を添付している。「高品質、正確な納期、適正価格を維持する」(舟橋社長)ために、自動化は難しいと言われる多品種少量生産の金型づくりにおいて、約500台と人の最適な組み合わせを模索しながらスマート化追求の手を緩めない。

金型しんぶん 2019年8月10日

関連記事

小坂研究所 小型アーム式三次元測定機

金型向けに提案強化 小坂研究所(東京都千代田区、03-5812-2081)が金型向けに小型アーム式三次元測定機の提案を強化している。10μm台の精度で測定できる他、小型で取り回しが良く場所を問わずに使用できるのが特長。三…

銅合金の拡販に注力
白銅

成形効率や品質向上を提案  非鉄金属や銅などを扱う専門商社の白銅(東京都千代田区、03-6212-2811)が金型向け銅合金の拡販に注力している。昨年からマテリオン社(米)の銅合金「モールドマックスHH」を国内で唯一在庫…

デジタル技術と金属積層による金型補修【金型テクノラボ】

我々の生活の中で使われるものの多くは金型から成形され、製造されている。多数の製品を成形する金型は摩耗し、損傷するが、その補修に関する工程のほとんどが手作業で行われているのが現状である。ここでは、デジタル技術と金属積層技術…

【特集】新時代の金型自動化

現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…

【Breakthrough!】金属3Dプリンタ

ダイカストやプラスチック金型で金属3Dプリンタが採用されるケースが出始めてきた。造形条件の確立、レーザーの進化による高速造形など作業性の改善が背景にある。マルエージング鋼やSKD61相当材など金型に適した粉末材料が登場し…

トピックス

関連サイト