金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

02

新聞購読のお申込み

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて
三豊機工 鹿児島工場(南九州)

 5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産する三豊機工(本社・愛知県春日井市)の鹿児島工場(鹿児島県南九州市川辺町)だ。

AIVで搬送を自動化
1日24時間を有効活用

 三豊機工は、月間24000〜25000点という少量多品種製造の典型である冷間圧造用金型を独自のシステムで自動化する。舟橋佳孝社長は「人の労働時間(8時間)以外の16時間を有効に活用して如何に生産効率を上げるかが重要」とし、AIVの他にATC、AWCはもちろんロボットの導入も増やしている。段取り替え頻度の低い加工機にもロボットを搭載する工程もある。

 AIVは、1年前に2台を導入し、早々に3台追加を決め、今年6月に稼働を始めた。次工程へのワーク搬送を人から代替することが主体で、3台の定期便と2台の呼出便で構成。運行はWi‐Fiで制御しており、人や障害物があれば自動的に回避しながら運搬する。充電は1日1回。隣棟へ移るときの扉の開閉も通信制御により自動。人がモノを運搬する時間を極力削減することで、人は持ち場での仕事に専念できる。

 同社では、形彫り放電加工機にATCやAWC、円筒研削盤のワークチェンジにミニ多関節ロボットを活用。8台ある高精度MCのうち、2台には60個のワークを搭載できるパレットチェンジャ—をセットし、夜間および休日の稼働を可能にしている。精度を確保するため、光学ラインセンサ方式の工具測定器を搭載し、高精度追求も欠かさない。万一異常が発生した場合は機械をストップさせると同時に、担当者の携帯電話にアラーム発信して知らせる。

 そして今年3月、放電加工機2台とワーク・電極ストッカーとロボット1台を組み合わせた自動化セルを構築した。ソフトは放電加工機メーカーが独自にプログラミング。ワークパレットを増設する場合はロボットをレール移動させることができるように拡張性を持たせた。ワークストッカーにはワーク20個と電極90個を収納し、24時間365日稼働を目指す。

 一方、生産管理は、加工曜日別の棚や納期別に色分けをした図面など、目で見る管理を徹底。完成品には製造ロットをレーザー刻印し、全数に検査票を添付している。「高品質、正確な納期、適正価格を維持する」(舟橋社長)ために、自動化は難しいと言われる多品種少量生産の金型づくりにおいて、約500台と人の最適な組み合わせを模索しながらスマート化追求の手を緩めない。

金型しんぶん 2019年8月10日

関連記事

極東技研工業 クイックリフトリング

ワンタッチで着脱 フランス製回転型アイボルトのコディプロ社を取り扱う極東技研工業(大阪府岸和田市、072-427-2190)は新たにコディプロ社製の「クイックリフトダブルスイベルリング」を発売した。ワンタッチでワークへの…

【金型テクノラボ】安田工業 Labonosによる試作樹脂型の自動造形

自動車や電子部品などの開発サイクルが短くなる中、製品開発における課題の一つとなっているのが試作品や試作用金型の製作だ。加工プログラムやジグを作る高度なノウハウが必要で、それにかかる時間も手間も負担が大きい。しかし切削加工…

【特集】 現場改善のススメ

目次 PART1:トヨタに学ぶ改善術PART2:改善と女性 〜サイベックコーポレーション 平林  巧造社長に聞く〜PART3:改善が生んだ新ビジネスPART4:からくりで現場改善 〜からくり改善くふう展 オンラ…

ユニオンツール 4枚刃ロングネックラジアスCBNエンドミル拡充

ユニオンツールはこのほど、「4枚刃CBNハイグレードロングネックラジアスエンドミルCBN‐LRF4000」の販売を開始した。2枚刃でもサイズを増設するなど、CBNのエンドミルシリーズを拡充している。 「LRF4000」は…

新春座談会ー第2部ー
金型メーカー4社が語る
新時代の経営戦略

型青会を金型発注の窓口に 新春座談会ー第1部ー金型メーカー4社が語る 新時代の経営戦略  1月号では昨年の景況や各社の取り組みなどを報告してもらった。本号では日本金型工業会西部支部の青年部である「型青会」にスポットをあて…

トピックス

関連サイト