金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

28

新聞購読のお申込み

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて
三豊機工 鹿児島工場(南九州)

 5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産する三豊機工(本社・愛知県春日井市)の鹿児島工場(鹿児島県南九州市川辺町)だ。

AIVで搬送を自動化
1日24時間を有効活用

 三豊機工は、月間24000〜25000点という少量多品種製造の典型である冷間圧造用金型を独自のシステムで自動化する。舟橋佳孝社長は「人の労働時間(8時間)以外の16時間を有効に活用して如何に生産効率を上げるかが重要」とし、AIVの他にATC、AWCはもちろんロボットの導入も増やしている。段取り替え頻度の低い加工機にもロボットを搭載する工程もある。

 AIVは、1年前に2台を導入し、早々に3台追加を決め、今年6月に稼働を始めた。次工程へのワーク搬送を人から代替することが主体で、3台の定期便と2台の呼出便で構成。運行はWi‐Fiで制御しており、人や障害物があれば自動的に回避しながら運搬する。充電は1日1回。隣棟へ移るときの扉の開閉も通信制御により自動。人がモノを運搬する時間を極力削減することで、人は持ち場での仕事に専念できる。

 同社では、形彫り放電加工機にATCやAWC、円筒研削盤のワークチェンジにミニ多関節ロボットを活用。8台ある高精度MCのうち、2台には60個のワークを搭載できるパレットチェンジャ—をセットし、夜間および休日の稼働を可能にしている。精度を確保するため、光学ラインセンサ方式の工具測定器を搭載し、高精度追求も欠かさない。万一異常が発生した場合は機械をストップさせると同時に、担当者の携帯電話にアラーム発信して知らせる。

 そして今年3月、放電加工機2台とワーク・電極ストッカーとロボット1台を組み合わせた自動化セルを構築した。ソフトは放電加工機メーカーが独自にプログラミング。ワークパレットを増設する場合はロボットをレール移動させることができるように拡張性を持たせた。ワークストッカーにはワーク20個と電極90個を収納し、24時間365日稼働を目指す。

 一方、生産管理は、加工曜日別の棚や納期別に色分けをした図面など、目で見る管理を徹底。完成品には製造ロットをレーザー刻印し、全数に検査票を添付している。「高品質、正確な納期、適正価格を維持する」(舟橋社長)ために、自動化は難しいと言われる多品種少量生産の金型づくりにおいて、約500台と人の最適な組み合わせを模索しながらスマート化追求の手を緩めない。

金型しんぶん 2019年8月10日

関連記事

リーダーの条件Part2
金型メーカーアンケート

52人が考える、リーダーが持つべきもの  自動車の電動化や市場のグローバリズムが加速する混沌とした時代。金型メーカーの経営者は、この新時代にどのような能力が必要と感じているのか。進むべき方向を示す「決断力」か、恐れず挑戦…

刃の有効範囲280度
三菱マテリアル

5軸や複合加工に  三菱マテリアルの加工事業カンパニーはこのほど、「SMARTMIRACLE(スマートミラクル)エンドミルシリーズ」に難削材加工用多機能ワイドボールエンドミル「VQ4WB」を追加した。ボール有効範囲280…

オイレス工業 プレス型用カッター発売<br>トリムとスクラップカットを1工程に集約

オイレス工業 プレス型用カッター発売
トリムとスクラップカットを1工程に集約

 オイレス工業はこのほど、可動式のカッターユニット「オイレスコンパクトフローティングカッター」を発売した。カッターを可動させるための圧力源に特殊な粘性体を採用し、ユニットを小型化。金型に組み込んで使うことで、トリムとスク…

加工液から手荒れ守る
トリオ商事

保護クリームを販売  トリオ商事(愛知県瀬戸市、0561-83-6711)は皮膚に塗布することで角質層に目に見えない強力な保護膜(バリア)を作り、研削液や切削液による手肌の荒れを守る皮膚保護用クリーム「ハイテモール」を販…

低廉化金型を開発 魚岸成光氏(魚岸精機工業社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…

トピックス

関連サイト