11月1日から6日間、東京ビッグサイト開かれた「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」。最新の加工技術に加え、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の活用など、ものづくりの未来を提示した。こうした最新…
〜特集〜 金型づくりをスマート化する
生産現場を訪ねて
三豊機工 鹿児島工場(南九州)
5台のAIV(Autonomous Intelligent Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産する三豊機工(本社・愛知県春日井市)の鹿児島工場(鹿児島県南九州市川辺町)だ。
AIVで搬送を自動化
1日24時間を有効活用

三豊機工は、月間24000〜25000点という少量多品種製造の典型である冷間圧造用金型を独自のシステムで自動化する。舟橋佳孝社長は「人の労働時間(8時間)以外の16時間を有効に活用して如何に生産効率を上げるかが重要」とし、AIVの他にATC、AWCはもちろんロボットの導入も増やしている。段取り替え頻度の低い加工機にもロボットを搭載する工程もある。

AIVは、1年前に2台を導入し、早々に3台追加を決め、今年6月に稼働を始めた。次工程へのワーク搬送を人から代替することが主体で、3台の定期便と2台の呼出便で構成。運行はWi‐Fiで制御しており、人や障害物があれば自動的に回避しながら運搬する。充電は1日1回。隣棟へ移るときの扉の開閉も通信制御により自動。人がモノを運搬する時間を極力削減することで、人は持ち場での仕事に専念できる。

同社では、形彫り放電加工機にATCやAWC、円筒研削盤のワークチェンジにミニ多関節ロボットを活用。8台ある高精度MCのうち、2台には60個のワークを搭載できるパレットチェンジャ—をセットし、夜間および休日の稼働を可能にしている。精度を確保するため、光学ラインセンサ方式の工具測定器を搭載し、高精度追求も欠かさない。万一異常が発生した場合は機械をストップさせると同時に、担当者の携帯電話にアラーム発信して知らせる。

そして今年3月、放電加工機2台とワーク・電極ストッカーとロボット1台を組み合わせた自動化セルを構築した。ソフトは放電加工機メーカーが独自にプログラミング。ワークパレットを増設する場合はロボットをレール移動させることができるように拡張性を持たせた。ワークストッカーにはワーク20個と電極90個を収納し、24時間365日稼働を目指す。
一方、生産管理は、加工曜日別の棚や納期別に色分けをした図面など、目で見る管理を徹底。完成品には製造ロットをレーザー刻印し、全数に検査票を添付している。「高品質、正確な納期、適正価格を維持する」(舟橋社長)ために、自動化は難しいと言われる多品種少量生産の金型づくりにおいて、約500台と人の最適な組み合わせを模索しながらスマート化追求の手を緩めない。
金型しんぶん 2019年8月10日
関連記事
デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…
人材育成の要諦 デジタルとアナログを融合 金型メーカー座談会 若手経営者が語るー業界の魅力高めるためには 第二部ー 最終回となる今回のテーマは「連携」と「人材育成」。戦略云々よりも、経営者同士の感性や考え方が合った連携の…
PART3 狭山金型製作所 社長・大場治氏に聞く「事業承継」 60歳で「引退宣言」経営以外にやりたいことを「朝活」で考え方を伝える 55歳の時に60歳で社長を退くと社内外に「引退宣言」をしました。今59歳なので、あと1年…
機械化図れ、作業時間短縮 三共理化学(埼玉県桶川市、048-786-2118)はこのほど、ブラスト研磨装置向け特殊研磨材「Lappin(ラッピン)」に粗磨き用(粒度♯220~600)を追加した。これまで人手をかけていた粗…


