金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

12

新聞購読のお申込み

独自の型構造を採用
トヨタ自動車

アンダーカットで新工法

 トヨタ自動車は独自の金型構造を採用した新たなアンダーカットの処理方法を開発した。これまでに比べて高い意匠面が得られるほか、設計時間の短縮や、金型の保全の手間削減にもつながる。この機構は特許も取得済みで、すでにトヨタグループの多くの車種のバンパーの成形で使われている。現在はバンパーでだけだが、将来的には異なる部品への適用も検討しているという。

意匠性改善
設計短縮


新工法開発の背景にあるのはバンパーの形状やデザインの変化だ。近年のバンパーにはシャープさが求められたり、大型化したり、形状が複雑化したりしている。

 「従来のやり方だとデザインに制約を生じることも起きかねない」(車両工機部型設計室の山本和希氏)状況にあったという。

 バンパーのアンダーカット処理方法はこれまで2つに大別されていた。1つは傾斜コアを使う手法。複雑な三次元形状の傾斜コアを製品内側に動作させる方法(図1)で、これだと物理的にデザインを制限することがあった。

 もう1つが射出後の弾性変形の領域内で変形させる外マクリ構造(図2)。これだと、ひずみが生じることなどが問題となっていた。

 開発した新構造の金型(図3)はスライドコアと、成形品の押出しを補助する跳ね出しコアを採用。スライドコアが開いていくのと連動して、跳ね出しコアがフランジの端面を押し出す。跳ね出しコアには「5~10㎏程度の力で十分だと分かったため、コイルばねを採用した」(山本氏)。低い力で脱型するため、ひずみも発生しないという。

 何より今回の構造の採用で効果的だったのが「傾斜コアが不要になったことだ」(山本氏)という。傾斜コアはバンパーの内側の形状に影響するため、複雑な三次元設計が必要だったが、「それがなくなるので設計時間が不要になった」(山本氏)。

 さらに、傾斜コアを使う場合、金型とコアの間に数ミクロンレベルのコア段差が発生してしまうこともあった。それの調整も不要になったことで、金型の保全費用も大幅に削減できたという。

 開発した金型構造はすでに特許も取得済みで、トヨタグループで使われているバンパーの金型には大半が採用されているという。現状はバンパーのみでの採用だが、車両工機部型設計室の嶋方克好グループ長は「今後樹脂化が進めば、この技術が使えそうな部品もあるので、他部品への適用も検討していきたい」としている。

金型しんぶん 2020年1月10日

関連記事

【特集:2024年 金型加工技術5大ニュース】2.AIの進化

稼働止めない機能や技能支援 人工知能(AI)を活用したさまざまな機能やサービスが登場している。AIの進化に加え、センシング技術の高度化で、従来把握できなかったデータが収集できるようになり、AIに読み込ませるデータ量が増え…

DMG森精機 大型ワークの積層に対応

レーザ金属積層造形機 DMG森精機は旋削とミーリング加工を1台で行う複合加工機にレーザ金属積層造形技術であるアディティブマニュファクチャリング(以下AM)を融合したレーザ金属積層造形機「LASERTEC 3000 DED…

自動で5軸の干渉回避
C&Gシステムズ

キャムツールの新版  C&Gシステムズは4月、効率的な干渉回避を自動で算出するなど、同時5軸加工に対応する機能を盛り込んだ「CAM‐TOOL(キャムツール)」の新版「V15・1」を発売した。  今回追加した「同…

アイダエンジニアリング 金型寿命予測などプレス加工業のDX支援【金型テクノラボ】

人工知能(AI)を活用した技術が製造業でも実装され始めている。当社では、プレス機から得たさまざまなデータをAIで分析し、金型の寿命予測や加工相談などプレス加工業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するアプリケ…

ブラザー・スイスルーブ・ジャパン 臭気少ない放電加工油発売

荒加工~仕上げまで対応 ブラザー・スイスルーブ・ジャパン(名古屋市中区、052-750-7560)はこのほど、金型の放電加工に最適な放電加工油「ブラソスパークGT250」を発売。無色透明で臭気が少なく、快適な加工環境の実…

トピックス

関連サイト