金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

22

新聞購読のお申込み

日本金型工業会 学術顧問
横田 悦二郎 氏(日本工業大学客員教授)
〜鳥瞰蟻瞰〜

コロナを好機にするには

営業など中間層の変革を
ICTの活用が絶対条件

 コロナで金型業界は難しい状況にありますが、大変だと騒いだり、パラダイムシフトを心配したりしても何も生まれません。むしろ、やり方次第では、ピンチをチャンスに変えることができるのではないかと考えています。それには冷静になって、変わるもの、変わらないものを考える必要があります。

 まず、変わらないものは何でしょうか。コロナでも、金型を「作る」部分は変わりません。新技術が登場し、作り方は変化しますが、本質的に鉄を削って任意の形を「作る」ことは不変です。また、自動車や家電メーカーが製品を作ることも変わらないので、量産の道具として金型を必要とする構造は変わらないでしょう。

 一方、変わるのは何でしょうか。人と人の接触が最も多い、金型づくりでは中間層にあたる営業や受注のあり方だと思います。すでにユーザーが訪問制限をかける中、リモートワークが浸透し、コミュニケーションの方法は変化しています。リモートが便利だと分かれば利用が増える可能性が高い。しかし、対応次第では金型メーカーにとってチャンスになるのではないかと思います。

 まず、リモートワークが広がれば営業のための事務所を持つ必要がなくなる。リモートで対応できることが増えれば、訪問回数が減り、営業コストが減らせます。マンパワーに限りがある金型メーカーは助かるはずです。

 もう一つはユーザーとの関係性です。つながることが常態化すれば、打ち合わせに技術者も加わりやすくなり、顧客との距離は近くなる可能性が高い。技術者同士が直接やり取りしたり、金型図面を見ながら「ああでもない」、「こうして欲しい」とリアルタイムで話をしたりできるかもしれない。伝言ゲームが多い金型づくりでは、技術者同士が会話できるメリットが大きいのは誰もが分かるはずです。

 一方で、気を付けなければならないこともあります。距離や時間の障壁がなくなるので、ユーザーとの物理的な距離は強みではなくなります。簡単につながれるので、生産途中の報告が求められたり、納期が短くなったりするかもしれない。

 いずれにしても、こうした変化に対応するには「ICT技術の活用」が絶対条件になります。ホームページのようなものではなく、リアルタイムで納期や生産プロセスなどの情報を発信したり、常に技術相談に応じたりできる、ウェブ上の営業所のような仕組みを構築することが必要になるかもしれません。

 コロナは金型メーカーに変化を迫りますが、やり方次第でチャンスになりえます。ただ、これまでの延長線上で考えていてはダメです。従来型の金型経営は終焉を迎えたと思ったほうがいい。今までの常識を捨てるのではなく、いったん横に置いて考える必要があると思います。

金型新聞 2020年6月4日

関連記事

粉末冶金・プラ型メーカーを買収 F&Cホールディングス 藤巻秀平社長【この人に聞く】

プラットフォーマー目指す 鋼材商社の藤巻鋼材を中核とするF&Cホールディングス(名古屋市東区、052・972・611)は今年4月、粉末冶金や樹脂金型を手掛ける山崎TECH(大阪府枚方市)を買収した。さまざまな加工メーカー…

J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】

自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車…

日本の金型変わる経営環境 未来の扉どう開く<br>セントラルファインツール 三宅 和彦 社長に聞く

日本の金型変わる経営環境 未来の扉どう開く
セントラルファインツール 三宅 和彦 社長に聞く

研究開発が新たな道  リーマン・ショック以降需要が回復しているものの、これがいつまで続くのか。自動車の電気化やインターネットの技術革新が産業構造にどんな影響を及ぼすのか。それが、日本の金型メーカーの多くの経営者が抱く未来…

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く<br>一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く
一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

この人に聞く 2018 金型設計製造向けCAD/CAMシステム「VISI」などを手掛けるヴェロソフトウェア。創業からM&A(合併と買収)などによって製品ラインアップを拡大し、最近では「WorkNC」や「Edge…

この人に聞く
碌々産業 海藤 満社長

加工技術者に新たな呼称  ミクロン台の誤差に収まる精度、鏡のように美しい仕上げ面—。こうした加工は、卓越した技術力と並々ならぬこだわりを持った技術者が高精度な機械を駆使して初めて実現する。この職人と呼ばれる人たちを「マシ…

トピックス

関連サイト