今春の勲章で旭日単光章を受章した。世界中で安定して内燃機関向けの金型やダイカスト部品を供給し、自動車産業を支えてきたことなどが認められた。 松村精型への入社は1978年。当時では珍しいCAD/CAMの導入や解析ソフトの開…
KMC 社長 佐藤 声喜氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

IOTの狙いはスピード現場の正しい情報捉え、瞬時に改善することが重要
金型メーカーが今より儲けるためには、受注を増やすか、製造原価を下げるかの2つ。では、どうやってそれを実現するか。私は「スピード」だと考えています。早く作ることができれば、より多くの受注が取れるし、安く作ることもできる。「スピード」が全てを解決すると言っても過言ではありません。
私は1990年、当時の上司と金型ベンチャー企業を立ち上げました。新興の金型メーカーとして、並み居る既存の金型メーカーと同じことをやっていたら、いつまで経っても追いつけない。そこで考えたのが、この「スピード」を追求した金型づくりです。
我々は、当時の金型メーカーがやらなかった3Dデータだけで金型を作り、金型材には鉄ではなくアルミを使い、金型構造もカセット方式を採用し極限まで生産性を高めることで、通常2カ月かかっていた試作用金型を10日、究極48時間で作りました。当時、携帯電話が開発競争の真っ只中で、この「スピード」は顧客から高く評価されました。最盛期には月150型を生産していました。
会社は、リーマン・ショックのあおりを受けて、2009年に民事再生法を申請。私も翌年に会社を去りましたが、今でも当時のやり方は間違ってなかったと多くの方から声をいただきます。
現在は、10年に立ち上げたKMCで「金型IoT」などの製造業向けIoTソリューションとコンサルティングを手掛けています。IoTというと、生産性を向上させるために、設備の稼働率を取るだとか、ペーパーレス化を進めるだとか、色々言われていますが、真の狙いは「スピード」です。生産スピードが上がれば、おのずと生産性も向上します。
IoTとは、生産現場にある「人(Man)」、「設備(Machine)」、「材料(Material)」、「工程(Method)」という「4M」の情報をつなげて、現場の不具合の原因を探ることです。加工の不良や設備の故障、金型の不具合や不良などは、「スピード」を阻害する無駄な要素。生産スピードを向上させるために、いかにこうした無駄を減らすか。そのための一つの解として、IoTがあります。
一方で、IoT技術の進化によって、経営者は製造現場に行かなくてもモニタで設備の稼働状況を見られるようになりました。私はこれを「見える化の弊害」と呼んでいます。稼働率の低下や今起きている不具合は現場に行かなければ分かりません。
IoTを導入するのは、稼働率を把握するためだけではなく、不具合を改善し、利益を上げるため。だからこそ金型経営者には、「もっと現場を見て、不具合原因は勘ではなく、デジタル情報をもとに特定し、改善につなげてください」と言いたい。
新型コロナウイルスのまん延によって、時代が大きく変化する中、昔と同じやり方ではだめ。IoTで武装し、正しい情報を捉え、瞬時に対応・改善ができる体質に転換しなければ、これからは生き残れない。一緒に“日の丸金型”を再興させようではないか。
金型新聞 2020年9月10日
関連記事
〜世界の需要どう取り込む〜 世界の金型需要を取り込むには何が必要か—。世界各地の金型工業会の設立に関わり、世界中の金型業界をよく知る日本金型工業会学術顧問の横田悦二郎氏は「コロナで世界の金型需要は高まるが、需要を確保す…
人手不足や事業承継問題に取り組む 「地域の工業会との交流を深め、プレス業界として、もっと発信力を高めたい」。そう話すのは、6月の総会で日本金属プレス工業協会(日金協)の会長に就任した久野忠博氏(久野金属工業社長)。プレス…
ベトナム人技術者の採用支援 ワンテラスは、ベトナムを中心にアジア人の機械加工、設計に特化した人材の採用支援を行う。昨年度は、168人のベトナム人らの日本企業への採用をサポートした。 高い実績を誇る理由は豊富な人材のネット…
産業用ガスメーカーの大陽日酸はガスの高い知見を武器に金属AMによる金型づくりを提案している。海外製の金属AM装置販売のほか、粉末の管理、シールドガスによる水分や酸素濃度の管理、造形ノウハウまでトータルでサポートするのが特…
