魅力ある組織でなければ人は集まってきません。東北金型工業会をより魅力ある団体にするために、会長就任後すぐに、3つの分科会を作りました。若手が中心となって積極的に参加してもらい、勉強会などを通じ、メリットや魅力を感じてもら…
KMC 社長 佐藤 声喜氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

IOTの狙いはスピード現場の正しい情報捉え、瞬時に改善することが重要
金型メーカーが今より儲けるためには、受注を増やすか、製造原価を下げるかの2つ。では、どうやってそれを実現するか。私は「スピード」だと考えています。早く作ることができれば、より多くの受注が取れるし、安く作ることもできる。「スピード」が全てを解決すると言っても過言ではありません。
私は1990年、当時の上司と金型ベンチャー企業を立ち上げました。新興の金型メーカーとして、並み居る既存の金型メーカーと同じことをやっていたら、いつまで経っても追いつけない。そこで考えたのが、この「スピード」を追求した金型づくりです。
我々は、当時の金型メーカーがやらなかった3Dデータだけで金型を作り、金型材には鉄ではなくアルミを使い、金型構造もカセット方式を採用し極限まで生産性を高めることで、通常2カ月かかっていた試作用金型を10日、究極48時間で作りました。当時、携帯電話が開発競争の真っ只中で、この「スピード」は顧客から高く評価されました。最盛期には月150型を生産していました。
会社は、リーマン・ショックのあおりを受けて、2009年に民事再生法を申請。私も翌年に会社を去りましたが、今でも当時のやり方は間違ってなかったと多くの方から声をいただきます。
現在は、10年に立ち上げたKMCで「金型IoT」などの製造業向けIoTソリューションとコンサルティングを手掛けています。IoTというと、生産性を向上させるために、設備の稼働率を取るだとか、ペーパーレス化を進めるだとか、色々言われていますが、真の狙いは「スピード」です。生産スピードが上がれば、おのずと生産性も向上します。
IoTとは、生産現場にある「人(Man)」、「設備(Machine)」、「材料(Material)」、「工程(Method)」という「4M」の情報をつなげて、現場の不具合の原因を探ることです。加工の不良や設備の故障、金型の不具合や不良などは、「スピード」を阻害する無駄な要素。生産スピードを向上させるために、いかにこうした無駄を減らすか。そのための一つの解として、IoTがあります。
一方で、IoT技術の進化によって、経営者は製造現場に行かなくてもモニタで設備の稼働状況を見られるようになりました。私はこれを「見える化の弊害」と呼んでいます。稼働率の低下や今起きている不具合は現場に行かなければ分かりません。
IoTを導入するのは、稼働率を把握するためだけではなく、不具合を改善し、利益を上げるため。だからこそ金型経営者には、「もっと現場を見て、不具合原因は勘ではなく、デジタル情報をもとに特定し、改善につなげてください」と言いたい。
新型コロナウイルスのまん延によって、時代が大きく変化する中、昔と同じやり方ではだめ。IoTで武装し、正しい情報を捉え、瞬時に対応・改善ができる体質に転換しなければ、これからは生き残れない。一緒に“日の丸金型”を再興させようではないか。
金型新聞 2020年9月10日
関連記事
天職の金型磨きでコンテストを優勝した 与えられた時間は3分。その限られた時間の中で、金属を磨き、表面の精密さを競う。鏡のように輝く仕上がりにするには卓越した技能とノウハウが要る。 昨年、インターモールド2019のジー…
金属3Dプリンタで造形した金型部品のトラブルを分析・解決する「診断士」のような業務を担当する。珍しいトラブルほどテンションが上がるそうで、「難しい問題を解明できた時の達成感が何よりも気持ちがいい」。 大学では金属材料を研…
二人の子供を持つママさんNC加工担当者。入社のきっかけは、よくあるパート募集。応募したのは勤務時間が10時から15時までと働きたい時間に合致していたから。ただ、通常のパートと違ったのが、募集の職種が「NC加工」だったこと…
アイユーキ技研は金型のロック、アンロック動作を安定して確実に行えるよう、機械式のプラスチック金型用の型開き制御装置を自社開発した。 従来のアンロック動作はスプリングに頼っており、スプリングが戻らずに爪部分が引っ掛かり、ア…
