金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

18

新聞購読のお申込み

令和の金型産業ビジョン
日本金型工業会が策定

雇用と金型インフラ維持

 日本金型工業会(小出悟会長)は9月17日、6年ぶりに「令和時代の金型産業ビジョン」を策定した。日本の金型業界の目指す姿を「新たな価値提供を通じ、国内雇用と金型インフラを維持する」と設定。それを実現する戦略として、発注スペック通りの金型を作る「工場」から、顧客の視点に立って価値を提供し、利益を追求する「企業」への転換が必要だとした。そのために、連携や統合、デジタル化・自動化など6つの戦術が必要と指摘した。

顧客視点で新たな価値を

 6年ぶりの改訂となる今回は、目指すべき姿をビジョンとして示し、戦略(何をすべきか)、戦術(どうすべきか)を落とし込む形で提示した。

 目指すべき姿を「日本の金型メーカーが総力を結集し、新たな価値を顧客に提供することで、国内の雇用と金型生産インフラの維持」と設定。外需を取り込み、金型生産額1兆5000億円の堅持を基本に据えた。また、規模や型種別に各社の強みを発揮し、連携しながら、顧客の課題解決など新しい価値を提供することが重要とした。

 戦略については、まず発注スペック通りの金型づくりは終わりつつあると分析。ものを生産する単なる「工場」から、顧客にとっての価値を提供し、自らが利益を追求する「企業」への転換を促している。

 特に、重きを置いたのが顧客の価値の最大化だ。顧客が求める価値はQCD(品質・コスト・納期)だけでなく、製品の価値提供向上、面倒の払しょく、作業や能率向上など幅広いと指摘。視野を広くし、顧客が求める価値を最大化することが必要とした。

 戦略を実現していくための戦術として6つを提示。その一つが「連携・統合・協業」だ。部品での提供や、グローバル調達など、顧客の価値が多様化している中、顧客価値を最大化するには連携や統合が必要と指摘した。同業だけでなく、異業種や、川上、川下企業との連携、地域連携など様々なケースを例示した。

 「IoT/デジタル化/自動化」も必要と言及。ただ、単にデータを集めて何をするかを考えるのではなく、解決したい課題を設定し、手段としてIoTやデジタルを活用することが重要とした。

 「事業形態」では専業や兼業、国内特化型、海外に進出する場合を分類。それぞれの企業が、留意すべきことなどを紹介。「人材育成・確保」では、外部機関や、海外人材の活用、マネージャーや技術者など階層ごとの教育が必要だとした。

 他には「事業継続計画(BCP)の策定」、「健全な取引慣行の実現」を挙げ、日本の金型業界の未来を提示した。なお、ビジョンをより分かりやすく伝えるために、工業会のホームページ上で、動画で紹介する予定。

金型新聞 2020年10月2日

関連記事

MECT2023総集編

国内最大級の工作機械見本市「MECT2023」が10月18日~21、ポートメッセ名古屋(名古屋市港区)で開催され、77,225人が来場した。会場では、工作機械メーカーや切削工具メーカーなどが最先端の技術を披露した。 大型…

導入の裾野広がる
―5軸加工特集―

精度・操作性が進化  金型メーカーに5軸加工機がかなり浸透してきた。制御技術や干渉チェック機能の向上、精度アップなど工作機械が進歩し、安心して使える機能が充実してきたからだ。だが何より、CAD/CAMの進化が大きい。多く…

特集〜世界需要をどう取り込む
どう取り込む 変わる金型の世界地図

 国際金型協会(ISTMA)の統計によると、2008年以降の10年近くで金型生産額は約3割増加した。新興国の経済発展に伴う消費財の需要増や、自動車の生産台数の増加などを背景に金型需要が拡大したからだ。ただ、かつて日本が金…

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて三豊機工 鹿児島工場(南九州)  5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産…

この人に聞く2016 <br>かしこい 金型研究会 高橋 百利会長

この人に聞く2016
かしこい 金型研究会 高橋 百利会長

もの言う金型づくり 必要な情報を金型が収集  クライムエヌシーデー(相模原市南区)や慶応義塾大学などは共同で、IT技術を生かし、プレス金型に新たな価値を加える研究を行う「かしこい金型研究会」を立ち上げた。あらゆるものがネ…

トピックス

関連サイト