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【金型の底力】明石プラスチック工業 外販&メンテ市場へ、金型の技術力強化に
外販&メンテ市場へ
金型の技術力強化に
「以前から外販を求める声はあったが、初めて熱硬化性樹脂金型の外販を始めた」と話すのは、明石プラスチック工業の生水口高志社長。特長である熱可塑性と熱硬化性両方の金型製作ができることを強みに、新たな市場の開拓へ乗り出した。
同社は四輪や二輪向けエンジンルーム関連や電装部品など小物部品(射出成形機最大230t)を中心に、自社製樹脂プーリーなど産業用部品といった多種多様な部品の金型から成形まで一貫生産体制で行い、月に200種類以上の部品を生産。樹脂成形メーカーの多くは熱可塑性または熱硬化性どちらかに特化するが、同社は両方の金型技術を持つのが特長だ。「熱硬化性樹脂は一般的ではないものの、絶縁性を持つ電装部品や耐久性が必要な部位に活用されている」。
だが、近年、熱硬化性樹脂部品の市場が薄れ、専門の金型メーカーが減少し依頼が増加。社内生産だけでは難しくなった。そこで協力工場と連携を強め、熱硬化性用金型の技術供与を始めた。さらに顧客ニーズに応え、金型の外販も一部開始。「社内では外販に対し賛否両論の意見が出た。熱硬化性は熱可塑性と異なる型構造、コーティングなど技術的な要素も多く、技術流出の懸念もあった」。今回、外販に踏み切った理由は「金型技術向上のため。外販は加工精度や磨きなど様々な面でユーザーから完璧を求められる。それに応えることで、金型技術を1ランク上げることができる」。
併せて強化を図ったのが金型メンテナンス事業。他社製は設計思想や構造が異なることも多く、経験を持つ職人無しでは出来ない。「メンテナンス事業を始めたのも金型技術の強化が理由。他社の金型に触れることは学習の機会にもなる。また、金型市場の波は激しいが、メンテナンス需要は一定量あり、取り込めば収益の安定性につながる」と、金型の技術力と収益性を高めながら、新たな市場へ視線を向ける。「次なる目標は医療や介護など伸びる市場」と、医療機器製造許可を申請予定。
同社は4年前、休日を12日増やし、年130日に設定。会社の理想像を生水口社長は「ワークライフバランス重視で、社員の笑顔が溢れる会社」と語る。そのため、社内研修を通じ人間関係のつながり強化やハラスメント撲滅など、豊かな人間性の育成に重点を置く。また、社内体制を見直し、5S活動や生産性向上に向けた取り組みを始めた。まずは多品種向けの生産管理システム(テクノア)を導入、工場のデジタル化を図る。「良い会社になれば、優秀な人材も集まる。みんながモノづくりの楽しさを享受できる環境を1歩ずつ整えていきたい」と、将来はロボットによるインサート成形の自動化や
大型成形機の導入など、新たな構想を描いている。
- 本 社: 兵庫県明石市魚住町金ヶ崎1182-2
- 電 話: 078-936-1601
- 代 表 者: 生水口高志社長
- 創 業: 1959年
- 従 業 員: 35人
- 事業内容: プラスチック成形加工(圧縮、射出)及び金型製作
Q.人材育成で何に取り組んでいますか部門間の多能工化
成形技術者を育成するために通信教育を通じて資格取得を進めている。教育費は会社負担にし、資格を条件とする昇給制度にした。また、成形部門(熱可塑性と熱硬化性)といった部門内の移動はもちろん、金型部門との交流や営業も現場に入り、互いの仕事への理解度を高め、良い現場作りを図っていきたい。(生水口高志社長)
金型新聞 2020年11月10日
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