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ダイジェット工業 〜金型の底力〜
超硬直彫りで「脱匠の技」
新素材金型で次世代車市場へ
大住 克美室長

金型メーカーには切削工具でお馴染みのダイジェット工業は、自動車部品などの鍛造金型メーカーでもある。金型づくりでいま取り組んでいるのが超硬金型の直彫り加工。匠の仕上げの技を機械化し、熟練の技能者不足を補完する。さらにその加工技術や独自の新素材で、次世代自動車の金型市場を開拓する。
大きく傾いたテーブル、高速回転するエンドミル—。最も周速が出る側面の刃で次々と切粉を飛ばし、形を生み出す。5軸マシニングセンタで加工しているのは、自動車のギアの超硬金型だ。
超硬の直彫り加工のメリットは金型製作の複数の工程を集約できることにある。これまで段取り替えが必要だった研削やワイヤ、放電の工程を全て切削で加工し時間を短縮。ワンチャックで仕上げるため段取り替えで生じる加工ミスも減らせる。

だがダイジェット工業の狙いはそれだけではない。目的は「匠の技」の機械化。耐摩営業技術室の大住克美室長は「最も直彫りに置き換えていきたいのが、熟練の技能者に頼ってきた磨き(仕上げ)の工程」と話す。
直彫り加工に取り組み始めたのは今から6年ほど前。年を重ねるごとに熟練技能者が現役を引退しいずれ磨きのノウハウを持つ職人がいなくなる。そんな危機感があった。

さらに、磨きは人の手によるため技術者で仕上がりが異なる。それを「機械化で匠の技に頼らず高品質の金型を作れる。その体制を早いうちに築くことが必要だった」(同室技術課・梶岡彰課長)。
超硬の直彫りには高価なダイヤ工具が必要で、加工費が割高になる。しかし切削工具を自社開発・生産できる強みを生かし、工具開発部門で直彫りにベストな工具開発にも取り組む。
現在、手掛ける金型の約20~30%を直彫りで加工する。門傅文男課長は「切削加工で金型に圧縮残留応力が生まれ耐久性が向上したり、匠の技の機械化によってリバースエンジニアリングができたり、ほかにも成果が現れた。直彫り比率をもっと高めたい」。
一方、金型部門の次の事業展開として挑むのが、電気自動車など次世代自動車の金型市場の開拓。ダイジェット工業が手掛けるのはエンジンや駆動部品の金型。地球の環境保全を背景に電動化が進めば、需要が減っていく。
次世代車市場の開拓を狙うのは独自開発したレアメタルレス新素材「サーメタル」の金型。耐摩耗性や耐熱性に優れ、超硬よりも軽く、金型に用いると寿命を伸ばし、塑性加工の生産性も高まる。
大住室長は「電動化により需要が増えると見られるモーターや電池関連の金型などに採用されれば、生産性が大きく伸びる。当初材種2種類だったのを4種類にして適用分野を増やし、三重に合金工場も新設し生産力も高めた」。
金型部門の年商はコロナ禍以前の2019年3月期で全社の約15%の14億6千6百万円。2020年はコロナの影響で減速したが、近い将来この比率を20%まで伸ばす方針。脱匠の技と次世代車市場の開拓。その両輪で次なる道を切り拓く。
- 本 社 : 大阪市平野区加美東2-1-18
- 電 話 : 06-6791-6781
- 代表者 : 生悦住歩社長
- 創 業 : 1983年
- 従業員 : 514人(連結)
- 事業内容 : 超硬工具や金型、超硬合金の製造・販売。
Q.人材育成で何に取り組んでいますか複数の工程を担当するマルチスキルを
ミーリング、放電、研削など複数の工程をひとりで受け持つ。そんなマルチスキル(多能工)の技術者育成に力を入れています。いずれは加工プログラムを作成する技能も身につけて貰えるようにしたい。コロナ禍の通常より2割程度少ない人員でも金型を安定的に生産し、そして需要回復の局面でその動きに柔軟に対応するためです(大住克美室長)。
金型新聞 2020年12月10日
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