金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

20

新聞購読のお申込み

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ

大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。

同社がシミュレーションを活用し始めたのは20年ほど前。得意とする1m以上の大型品は不具合を事前に予測するのが困難で、何度も試作を繰り返しており、量産立ち上げまでのリードタイムの長さが課題だった。

今年1月発売の環境配慮材を使用した自社製品

こうした問題を解消するために同社が導入したのが、オートデスク社のプラスチック射出成形解析ソフトウエア「Moldflow」。現在、3ライセンスを導入し、各生産拠点で解析できる体制を構築している。

主に使用する場面は3つ。一つは受注する段階。シミュレーションで成形機の型締め力や、金型の難易度などを確認し、見積もりを算出する。もう一つは金型の設計段階。ランナーバランスなどを事前に検証し、金型設計に反映させている。

解析結果で顧客に解決策を提案する

そして3つ目が製品完成後。成形品の反りやショートショットなど、事前検証で予測できなかった不具合が発生した際の対策検討に活用する。シミュレーションで成形品の形状や成形条件の変更などを行い、顧客に解決策を提案している。

同ソフトの導入によって、試作回数を大幅に削減できたという。「導入前と比べて、半分ほどに減らすことができた」(技術イノベーションセンターエンジニアの高原龍秀氏)。量産立ち上げまでのリードタイムを大幅に短縮し、試作にかかるコストの削減も実現した。

また、成形サイクルタイムの短縮にもつなげている。自社商品の足洗いブラシ「ヘルシーフットウォッシャー」ではシミュレーションを活用し、成形条件や金型を最適化。サイクルタイムを60%ほど短縮したという。

同社では今後、環境配慮材を使った製品や金型・成形技術の開発に取り組む。今年2月には環境配慮材を使用した自社商品を発売した。「今後、環境配慮材は工業用製品でも活用される可能性がある。シミュレーションを使い、こうした素材への対応にも取り組んでいきたい」(技術イノベーションセンターの山口莉嘉氏)。

会社概要

  • 本社:大阪府東大阪市七軒家18-15
  • 電話:06・6745・6309
  • 代表者:山口徹社長
  • 従業員数:290人(グループ全体)
  • 事業内容:プラスチック製品の製造、超精密金型製作など

金型新聞 2023年5月10日

関連記事

テラスレーザー 業務 広報チーム・稲葉  えいさん
女性技術者の魅力を発信する

レーザー溶接・金型補修機器メーカーのテラスレーザー(静岡県駿河区)に入社したのは2年前。企業の販路開拓支援などに携わっていた前職時代、製造業とも多く関わる中で「世の中は製造業がなければ成立しないということを肌で感じ、自分…

トヨタの型づくりはどう変化していくのか?モビツー・大澤部長×モノエン・堀田部長インタビュー【変わるトヨタの型づくり】

PART4:モノエン・モビツーのトップに聞く金型メーカーに期待すること 技能絶やさぬ取り組み / 型にとらわれぬ柔軟な視点 人の動き、 カンコツを定量化 次世代車の中でも、やはり電動化へのインパクトは大きい。金型への影響…

【特集】匠の技を手に入れろ

金型はこれまで、金型職人の頭の中で製品形状や金型設計を描き、経験やノウハウで調整し、製造してきた。そして金型の「匠」の技は「背中」を見て学ぶもので、習熟への時間はとても長かった。しかし近年では、工作機械やCAD/CAMと…

【この人に聞く】アイセル社長・望月貴司氏 「面白い企業だと感じてもらえる環境をつくる」

リブランディングを実施 アイセル(大阪市中央区)はこのほど、リブランディングを実施し、企業イメージの刷新を図った。企業ロゴの変更やアイコンの作成、製品のデザインの統一といった対外的な部分での変更に加え、社内では改めてミッ…

江口博保さん 研さん重ねる金型設計の熟練者【ひと】

自動車のフィックスドウインドウやクォーターウィンドウ。その成形コストや歩留まりを改善し、環境に配慮した金型も設計した。顧客製品設計の最終確認会にも出席しアドバイスする。それらが評価され、令和2年度「現代の名工」に選ばれた…

トピックス

関連サイト