パラレルで力制御、高速・高精度 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…
金型取引改善分科会会長 渡辺隆範氏に聞く 金型業界で足並みそろえ、値上げを実現【特集:どうする値上げ】
業界の弱体化は顧客にマイナス
ユーザーと金型メーカーはどちらかが欠けても成り立たない「イコールパートナー」だと訴えてきました。我々の事業を安定させるためにも、値上げは粘り強く要求していくべきで、そのためには足並みをそろえることも大切です。何より金型業界の弱体化はお客様にとってマイナスにしかならないからです。
それは数字を見ても明らかです。国内の金型事業所は90年代のピーク時の1万3000社から21年には5000社を切るまでに減っています。特に10人以下の減少が顕著で、金型の供給能力は低下しています。だから、「次の回復時には金型が供給できなくなります」と訴えています。そうなると困るのはお客様です。
とはいえ、金型の値上げは難しい。定価もなく、需給バランスによって価格が決まるからです。多段構造の取引も難しさに拍車をかけています。それでも取引適正化を訴えてきたことと、原料高の影響などから値上げに応じてくれる企業も増えています。
一方で、いまだに値下げ要求する会社や、交渉のテーブルに付いてくれない企業もあります。こうした企業にも粘り強く「利益を無視しては受注できない」と伝えることは大切です。
「予算がある」と言われることもありますが、これも本来はおかしな話。予算は顧客側の問題であって、我々は適正な価格を提示しているわけですから。取引の関係上、受け入れざるを得ないことがありますが、その場合でも主張はすべきです。
また、値上げには価格交渉力を持つことが欠かせません。私は「広げる」ことが重要だと思っています。一つは顧客層を広げること。もう一つは、金型の種類を広げること。当社は鋳造だけでなく、ダイカスト、樹脂にも挑戦しています。最後に金型以外の仕事にも広げること。ユーザーの現場には、治具などの機械加工の仕事も多くあります。金型以外の仕事をしたっていいはずです。
一方で、我々も努力はすべき点はあります。徹底した原価管理はその一つです。右肩上がりの時代は「どんぶり勘定」の企業も多く、紙で管理していたので、原価管理に甘さがあったのは否めません。顧客と交渉するためにも、原価管理の徹底は欠かせません。
最後に、何より重要なのは業界全体で足並みをそろえること。適正な競争は必要ですが、過度な競争は業界を疲弊させるだけ。足元は景気が悪く、価格競争が激化しており、足並みをそろえるのは難しい。けれど、我々の力が弱体化すれば、顧客にとってもマイナスになります。ものづくりを持続可能な産業にするために、足並みそろえて値上げを訴えましょう。

金型新聞 2023年6月10日
関連記事
シェアリングで新たなモノづくりを プレス金型やプラスチック金型などを手掛けるサンワ金型は同じく安城市内に新工場を建設し、11月に稼働する予定だ。同社はプレスやプラスチック金型で培った高硬度材加工や3次元形状加工を強みに、…
型技術者会議2025特別セッション1 で講演 金型のサプライチェーンには3次元や2次元、紙など様々な形式の図面が行き交っている。それが金型設計の時間、コスト、人材育成の手間がかかる原因になっている。サプライチェーン全体で…
自動化と人材育成—。自動車産業に関わらず、あらゆる製造現場において共通の課題となっている。人手不足は深刻化しており、課題解消に自動化、省力化は欠かせない。いかに若手に技能を伝承していくかも喫緊の課題となっている。一方で、…
セラミックスや焼結機械部品、超硬合金の刃先交換用チップ。これらは粉末にした材料を金型に入れ、成形機で押し固めた後に焼結する「粉末冶金」によって出来上がる。 従来の粉末成形は、成形体の外周に凹凸がついた形状の成形が難しく、…


