金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

10

新聞購読のお申込み

情報収集や課題解決の場に 砥粒加工学会 会長インタビュー

今年3月、研削や研磨など砥粒加工技術の振興、発展を目的とした活動を行う砥粒加工学会の会長に就任した清水大介氏(牧野フライス精機社長)。金型メーカーに対して、「生産現場に直結した技術の発信を行う砥粒加工学会を情報収集や、加工課題について相談する場として、上手く使ってもらいたい」と話す。注力する取り組みや金型業界へのメッセージなどを聞いた。

金型とも連携し技術開発を

砥粒加工学会 会長 清水大介氏(牧野フライス精機社長)
1977年生まれ。東京都出身。2000年慶應義塾大学商学部卒業、02年英国ノッティンガム大学大学院修了後、03年日本精工入社。08年 牧野フライス精機入社、社長に就任し、現在に至る。

砥粒加工学会とは。

砥粒加工に携わる技術者や研究者、学生など約900人、加工機や砥石メーカーなどの賛助会員約160社で構成される。会員には学会誌、セミナーや学術講演会への参加および発表、技術者に対する表彰などを提供している。

注力する取り組みは。

学会の第一義は、研究成果の発表や技術者・研究者の交流の場を提供すること。しかし、ここ数年はコロナ禍で多くの活動がオンラインとなっていた。今年度からは活動をリアルに戻し、活性化させていきたい。

そのためには。

会員を増強させることが課題だ。当学会は砥粒加工を中心に生産現場に直結した技術の発信を行っており、研究のシーズは生産現場にある。現場で技術課題を抱える金型メーカーを始めとした加工メーカーにもっと参加してもらうことで、新しい研究につながると考えている。

加工メーカーが参加するメリットは。

砥粒加工に関する最新の技術情報を得ることができる。特に仕上げ工程である研削や研磨などの砥粒加工は高い精度が求められる。なおさら常に最先端の情報が必要だと思う。困りごとを解決する情報収集の場として利用してほしい。

金型業界へのメッセージは。

金型はマザーツールであり、難削材や高硬度材など加工難度の高い加工材料が用いられるため、常に新しい加工原理を取り入れて、高い加工技術を有している業界だと考えている。特に近年は自動車の電動化などによって、新しい金型や材質の加工ニーズが増えている。当学会にはそれらの加工につながる技術を研究している技術者や研究者がいる。課題解決につながるはずだ。学会は敷居が高いというイメージがあると思うが、そんなことはない。どんどん参加してほしい。

砥粒加工の未来は。

いつの時代も最先端の加工技術は砥粒加工だった。硬いものを加工したり、表面を綺麗に加工したり。これからもそうだと考えている。現在、光学技術や解析技術などの進化によって、これまで難しかった砥粒の向きや配置などのコントロールも可能になりつつある。これが実用化されれば、さらなる技術革新が期待できる。砥粒加工技術は今後も発展の余地がある加工分野だ。

金型新聞 2023年6月10日

関連記事

山内由華さん 金型技術展2022を企画、開催した【ひと】

大阪産業創造館で8月に開催した「金型技術展2022」を企画、運営した。大阪産業創造館が金型をテーマとする展示会を開くのは初めて。金型メーカーや関連企業44社が出展し、コロナ禍ながら会期1日で688人が訪れた。 金型をテー…

ソディック 古川 健一 新社長に聞く<br>「できないと言わない」ソディックらしさを継承

ソディック 古川 健一 新社長に聞く
「できないと言わない」ソディックらしさを継承

この人に聞く 2018  ソディックは今年1月、創業者の古川利彦氏が名誉会長に、金子雄二社長が会長に就く人事を発表。3月29日付で、古川名誉会長の子息でもある古川健一副社長が社長に就任した。「顧客の要望に『できない』と言…

【金型応援隊】ワンテラス 豊富な人材ネットワークで日本のものづくりに貢献

ベトナム人技術者の採用支援 ワンテラスは、ベトナムを中心にアジア人の機械加工、設計に特化した人材の採用支援を行う。昨年度は、168人のベトナム人らの日本企業への採用をサポートした。 高い実績を誇る理由は豊富な人材のネット…

南海モルディ 金型補修を自動化【金型応援隊】

特殊鋼材料の販売や金型のメンテナンスを手掛ける商社の南海モルディ(22年9月に南海鋼材から社名変更)は、オリジナル製品「予熱くん」や「肉盛りくん」を開発、販売し好評を得ている。 「予熱くん」は、製造前の金型予熱、焼き嵌め…

元本田技研工業 田岡秀樹氏に聞く【特集:自動車金型の未来】

電動化に3つの方向性 電動化やギガキャストで変わる自動車づくり。元本田技研工業で型技術協会の会長も務めた田岡秀樹氏は「自動車業界はゲームチェンジの局面を迎えており、破壊的なイノベーションが起きている」とみる。一方で「中小…

トピックス

関連サイト