金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

30

新聞購読のお申込み

動き出す 「メガキャスト」、国内外で協業進め顧客の半歩先行く提案 米谷 強氏(米谷製作所 代表取締役社長)【鳥瞰蟻瞰】

米谷製作所 代表取締役社長 米谷 強氏

当社は今年4月、同じ新潟県に拠点を構えるプラスチック金型メーカーの共和工業との協業を発表しました。主な目的は、電気自動車(EV)の車台やバッテリーケースなどを一体成形する「メガキャスト」向けの超大物金型の開発、製造です。

「メガキャスト」は超大型のダイカスト技術で、型締め力は4000~6000t、大きいものだと1万2000tほどになります。すでに中国や北米メーカーでは採用が進んでいます。日本の自動車メーカーでも採用に向けた動きが広がっていますが、国内でこれほど大きな金型に対応できるメーカーはほとんどありません。

昨年、当社は「メガキャスト」向けの大物金型に対応するために、大型5軸加工機「D2」(牧野フライス製作所)を導入しました。最大1600×1200×1000㎜の加工が可能です。また、共和工業では3mクラスの金型が加工できる超大型加工機を設備しています。2社が協業し、「メガキャスト」向け金型を開発、製造できるようになれば、大きな差別化になると考えています。

当社はこれまで自動車エンジン関連のアルミダイカスト部品用金型をメインに手掛けてきました。10年ほど前から自動車の電動化による需要減少が危惧されていましたが昨年頃からその動きが急加速しています。足元でも新型の受注はほぼなく更新型や修理、メンテナンスなどがほとんど。事業の方向転換を迫れている状況でした。

共和工業も同様で、強みとするルーフやバンパーなど大型プラスチック金型の需要が今後も拡大するという見通しを立てるのが難しい中、将来に向けてアルミダイカスト部品への参入に興味を持っていたようです。今回の協業はこの両社の利害が一致したことによって成立しました。

今後は協業先を増やしていくつもりです。金型については県内の企業と協業し、“オール新潟”で取り組んでいきます。将来的には金型だけでなく、表面処理や材料など周辺技術なども含めて協業の枠を広げていきたいと考えています。

中国では鋳造機メーカーなどが中心となって、金型から表面処理、材料、周辺機器までをフルターンキーで請け負うビジネスモデルを構築しています。日本でも同じような仕組みを構築する必要があると思います。当社としてはさまざまな企業との協業を通じ、こうした仕組みの一角を担いたいと考えています。

一方、協業で必要となるのが共通化です。工程管理や経理などの間接部門は競争領域ではなく、協調領域。こうした部門を各社で共通化し、効率化を図り、競争領域である設計や製造、すり合わせ技術などに注力できる体制づくりが必要だと思います。

今後、自動車づくりがどう変化していくかは分かりません。「メガキャスト」がどこまで広がるかは未知数です。ただ、EVの開発競争が激化する中、日本のメーカーがコスト競争力を高めていくためには、新しい技術も取り入れなければならないことは明白です。金型メーカーとしては変化に対応できる体制を整え、顧客の半歩先で常に新しい提案ができるようにしておくことが重要だと考えています。

それには1社だけでどうこうできる時代ではありません。協業はさらに進める必要があると思います。当社は国内だけでなく、鋳造メーカーのジョージフィッシャー中国やアメリカの金型メーカーなどと連携を図り、グローバル化も進めています。日本の金型メーカーとして大変革期にどう対応するのか。真価が問われていると感じます。

金型新聞 2023年7月10日

関連記事

棚澤八光社 岩手工場新設、東北でシボ加工を提供【金型応援隊】

シボ加工などを手掛ける棚澤八光社は今年4月、岩手県一関市に国内10拠点目となる岩手工場を設立した。集積が進む自動車産業を中心に東北地区の顧客に対し、より迅速かつ充実したサービスを提供していく。 岩手工場には10t/10t…

アクスモールディング 押出成形金型の設計簡易化【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

廃棄部分の再利用も可能に 高機能フィルムの製造に適した押出成形金型「Tダイ」などの設計を手掛けるアクスモールディング。同社は、今年の3月にソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」を導入。押出成形金型の設計の簡易化…

伊藤製作所がテクニカルセンタを設立した理由【金型の底力】

順送り金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所は本社近くにテクニカルセンタを設立し、金型部門を集約することで、本社工場などにプレス機械を増設し、需要が高まっているプレス部品の増産体制を整える。さらに、CAEや3D形状測定機、…

トヨタ紡織と技術協定<br>岩手大学

トヨタ紡織と技術協定
岩手大学

 今年3月、岩手大学と自動車部品メーカーのトヨタ紡織は生産技術開発を中心とした連携で包括協定を結んだ。両者は今後6年に渡り、生産技術のほか、幅広い分野で共同研究を進めていく。「大学全体で連携し、技術開発だけでなく、学生の…

特別インタビュー 進恵技研 佐藤 倫幸社長
特集 僕らの展示会

先を予測し恐れず投資  自動車のボディやフレーム向けプレス金型を手掛ける進恵技研(栃木県足利市、0284-73-2135)は、ハイテン材(高張力鋼板)用の金型を得意とし、年間約600型を生産する。創業1987年という後発…

トピックス

関連サイト