金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

11

新聞購読のお申込み

動き出す 「メガキャスト」、国内外で協業進め顧客の半歩先行く提案 米谷 強氏(米谷製作所 代表取締役社長)【鳥瞰蟻瞰】

米谷製作所 代表取締役社長 米谷 強氏

当社は今年4月、同じ新潟県に拠点を構えるプラスチック金型メーカーの共和工業との協業を発表しました。主な目的は、電気自動車(EV)の車台やバッテリーケースなどを一体成形する「メガキャスト」向けの超大物金型の開発、製造です。

「メガキャスト」は超大型のダイカスト技術で、型締め力は4000~6000t、大きいものだと1万2000tほどになります。すでに中国や北米メーカーでは採用が進んでいます。日本の自動車メーカーでも採用に向けた動きが広がっていますが、国内でこれほど大きな金型に対応できるメーカーはほとんどありません。

昨年、当社は「メガキャスト」向けの大物金型に対応するために、大型5軸加工機「D2」(牧野フライス製作所)を導入しました。最大1600×1200×1000㎜の加工が可能です。また、共和工業では3mクラスの金型が加工できる超大型加工機を設備しています。2社が協業し、「メガキャスト」向け金型を開発、製造できるようになれば、大きな差別化になると考えています。

当社はこれまで自動車エンジン関連のアルミダイカスト部品用金型をメインに手掛けてきました。10年ほど前から自動車の電動化による需要減少が危惧されていましたが昨年頃からその動きが急加速しています。足元でも新型の受注はほぼなく更新型や修理、メンテナンスなどがほとんど。事業の方向転換を迫れている状況でした。

共和工業も同様で、強みとするルーフやバンパーなど大型プラスチック金型の需要が今後も拡大するという見通しを立てるのが難しい中、将来に向けてアルミダイカスト部品への参入に興味を持っていたようです。今回の協業はこの両社の利害が一致したことによって成立しました。

今後は協業先を増やしていくつもりです。金型については県内の企業と協業し、“オール新潟”で取り組んでいきます。将来的には金型だけでなく、表面処理や材料など周辺技術なども含めて協業の枠を広げていきたいと考えています。

中国では鋳造機メーカーなどが中心となって、金型から表面処理、材料、周辺機器までをフルターンキーで請け負うビジネスモデルを構築しています。日本でも同じような仕組みを構築する必要があると思います。当社としてはさまざまな企業との協業を通じ、こうした仕組みの一角を担いたいと考えています。

一方、協業で必要となるのが共通化です。工程管理や経理などの間接部門は競争領域ではなく、協調領域。こうした部門を各社で共通化し、効率化を図り、競争領域である設計や製造、すり合わせ技術などに注力できる体制づくりが必要だと思います。

今後、自動車づくりがどう変化していくかは分かりません。「メガキャスト」がどこまで広がるかは未知数です。ただ、EVの開発競争が激化する中、日本のメーカーがコスト競争力を高めていくためには、新しい技術も取り入れなければならないことは明白です。金型メーカーとしては変化に対応できる体制を整え、顧客の半歩先で常に新しい提案ができるようにしておくことが重要だと考えています。

それには1社だけでどうこうできる時代ではありません。協業はさらに進める必要があると思います。当社は国内だけでなく、鋳造メーカーのジョージフィッシャー中国やアメリカの金型メーカーなどと連携を図り、グローバル化も進めています。日本の金型メーカーとして大変革期にどう対応するのか。真価が問われていると感じます。

金型新聞 2023年7月10日

関連記事

【新春特別インタビュー④】ツバメックス代表取締役・多田羅 晋由氏「緩やかな連携が進む、経営者は思考の変革を」

もっと広義な意味に 緩やかな連携が進む 経営者は思考の変革を 〜M&A・企業連携〜  1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、…

自動車メーカーに聞く ギガキャストに取り組む理由 トヨタ自動車門野英彦氏【特集:ギガキャストの現在地】

トヨタ自動車は昨年、2026年に投入を予定している次世代EVの生産工場にギガキャストを取り入れると発表した。従来数十点の板金部品で作っていたものをアルミダイカストで一体成形することで、部品点数を大幅に削減し、生産工程を半…

山口製作所 アモルファス箔のモータコアの量産に挑む【特集:自動車金型の未来】

特殊な型内積層技術を開発 電動車を始め次世代車で採用が増えるモータ。脱炭素の観点からも、その効率化は欠かせない。その一つとして注目を集めるのが、磁気特性の高いアモルファス箔を採用したモータコア。金型からプレスまで一貫して…

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –中国–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

山内由華さん 金型技術展2022を企画、開催した【ひと】

大阪産業創造館で8月に開催した「金型技術展2022」を企画、運営した。大阪産業創造館が金型をテーマとする展示会を開くのは初めて。金型メーカーや関連企業44社が出展し、コロナ禍ながら会期1日で688人が訪れた。 金型をテー…

トピックス

関連サイト