金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

06

新聞購読のお申込み

明星金属工業 上田幸司社長に聞く CO2削減に取り組む理由【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業は、工場のエア効率化や照明のLED化などにより16年間でCO2排出量を18・5%削減した。カーボンニュートラルへの取り組みを推進する上田幸司社長は「CO2削減に取り組むことで無駄なコスト削減につながった」という。その具体的な取り組みは、成果を出すためのカギは、取り組む理由は。上田社長に聞いた。

明星金属工業 上田幸司社長

ムダ減らし、経営体質を強くする

取り組み始めたきっかけは。

取引する自動車メーカーの勧めもあり2005年に環境マネジメントシステムISO14000を取得したのがきっかけです。環境への影響をPDCAサイクルによって持続的に改善しなければならない。その一つとして06年から消費エネルギーの削減に取り組み始めたのです。

その取り組みは。

省エネのターゲットとしたのがまず工場の設備の動力源となるエアのムダ削減でした。というのも当社が用いるエネルギー(電気やガソリン、灯油など)のうち最も消費量が多いのが全体の86%を占める電気でした。そしてそのうち約40%がコンプレッサによるもの。そこで省エネの対象をエアに絞ったのです。

具体的な取り組みは。

そもそもなぜエアが約40%も占めているのか。工場をくまなくチェックしました。すると大型MC(10台)やプレス機(1800トンなど3台)、多数のグラインダなどにエアを供給するため張り巡らせた配管のあちこちからエア漏れの音が聞こえる。それが理由の一つと判り、エア漏れを全てチェックして保全。無駄なエア削減に効果が現れました。

そこからエアのムダ削減を徹底して追求しました。設備や工具を使えるギリギリの気圧に下げ、機械加工精度を高めてグラインダで金型を研削する作業時間を減らしました。さらには工場3棟それぞれの設備が要するエア量に最も合うコンプレッサを1台ずつ導入し過剰供給を抑えました。

取り組みの成果は。

その後、エアで得たPDCAサイクルのノウハウを照明やガソリンやそのほかのムダ削減に活かしました。その結果、06年から22年の16年間で年間のエネルギー消費量を18・5%削減できました。これはCO2排出量に換算すると580トンから473トンに減らすことができました。

成果を出すカギは。

まず自社の消費エネルギーの体質を分析すること。何を最も消費しているのか、何を最も削減できそうか。そして削減するターゲットを明確に定め、目標とそのロードマップをつくり、PDCAサイクルを回し続けることです。

そして二つ目は1時間あたりの消費量を測り続けることです。月や年の総使用量だと仕事量の多さで変動しますし、使用額だと値上げなどで上下します。1時間あたりの消費量で比較することで景気や価格変動に影響されない実質の省エネの成果を測れます。

ものづくり業界で広がる脱炭素。しかし中小企業ではまだまだ少ない。なぜ取り組むのか。

持続可能な社会のためですが、最大の目的は無駄なコスト削減による経営体質の強化。消費エネルギーを削減できれば、会社のCO2排出量も必ず減らせる。しかも脱炭素は社会的課題なので国の支援があり、社員や取引先にも理解されやすく、取り組みやすい。社会的課題というフォローの風に乗りながらコスト削減に取り組んでいるのです。

金型新聞 2023年9月10日

関連記事

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く<br>世界で認知されるブランドに

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く
世界で認知されるブランドに

生産効率向上し、需要増に対応  耐摩耗工具メーカーとして国内トップシェアを誇る冨士ダイス。超硬合金製のダイスやロール、製缶用金型、ガラスレンズ成形用金型など耐摩耗工具に特化した事業を展開し、来年には創業70年を迎える。「…

牧野フライス製作所 人の作業やミス減らす、各種データを一元管理【特集:金型づくりを自動化する】

金型加工支援システム 「人が介在する作業をどう効率化するか」—。牧野フライス製作所は工具やワーク、加工情報などのデータを自動でつなぎ、一元管理することで、人による作業を減らす提案を強化している。 加工の自動化は進化する一…

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて三豊機工 鹿児島工場(南九州)  5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産…

大型化する金型 型重量は15年で1.6倍【特集:大型化する金型への対応技術】

部品の一体化や多数個取りなどに加え、ギガキャストが登場したことで、金型の大型化は進んでいる言われる。しかし、大型化の定義が明確でなく、客観的に示すデータもない。ただ、型重量の増加=大型化とは言い切れないが、一型当りの重量…

日本金型工業会 会長 小出 悟氏 (小出製作所社長)
〜鳥瞰蟻瞰〜

金型は量産の道具 理解するマスターが必要人材発掘が経営者の仕事  「金型は量産のための道具である」と長年言い続けています。金型というものの本質がそこにあると思うからです。お客様は金型が欲しいわけじゃない。金型を使って効率…

トピックス

関連サイト