金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

30

新聞購読のお申込み

自動車金型、2024年秋に需要回復か【特集:自動車金型の未来】

自動車の金型が試練の時を迎えている。半導体不足に端を発する新車開発の相次ぐ延期で受注が減少している。一方、電気自動車(EV)シフトが技術と産業構造に変革を迫る。生き残るカギは変化のうねりを見極め培ったノウハウや強みを生かすこと。挑戦心と危機感を原動力に金型メーカーは活路を開く次の一手を打ち始めている。

次世代EVに真の正念場

2023年、自動車の金型は需要が大きく減った。自動車メーカーの新車開発が大きく遅れているのが原因だ。「かねて23年は需要の谷間になると聞いていた。しかし計画していた金型の30%がさらに次年度以降になった」(プレス金型メーカー)。

引き金はコロナ禍が引き起こした半導体不足。自動車工場が操業を再開したものの半導体が足りず計画通りの台数を生産できない。現行車種の生産で精一杯のため新モデルの開発は相次いで延期。それに伴い金型の発注も先延ばしになった。

自動車の金型メーカーの殆どは23年、受注が22年を下回った。マイナーチェンジで需要がある内装部品のプラスチック金型メーカーは「10%程度の減少で済んだ」がフルモデルチェンジでしか大きく変わらない外装や骨格部品のプレス金型メーカーは「30%近く減った」。

受注はいつ好転するのか。多くの金型メーカーが予想するのは24年の10月前後だ。現行車種の生産が落ち着き、延期していた新車開発が再開する。外装や駆動系など主要部品から発注が始まり、そのほかの部品へと広がっていく。

「本来23~24年に調達するはずの金型を自動車メーカーや部品メーカー各社がおそらく一斉に発注を始める。V字回復し驚く量の需要に拡大する可能性もある」(自動車関係者)。そうなれば自動車の金型は逆風のトンネルを抜け出せる。

しかし多くの金型メーカーが真の試練であり生き残りをかけた正念場とみるのがさらに向こうの25年だ。世界の脱炭素化のうねりの中で自動車メーカーはEV開発を加速。26年以降に発売される次世代EVの金型は25年に発注されるとみる。

「24年に受注する金型はいま持つ技術の応用で対応できる。しかし25年の金型は既存の技術や設備では歯が立たない、国内で発注されない、当社が必要とされない、こともあり得る」(プラスチック金型メーカー)と危機感を抱く。

変化を見極め、次の一手

そんなかつてない未来を切り拓こうと外装や内装部品のあるプラスチック金型メーカーは自動車メーカーへの新たな生産工法の提案に取り組む。素材メーカーと連携し新たな金型や成形技術により自動車生産の工程を減らし効率化につながる工法開発に挑む。

事業の中心にあるのは金型だが提案するのは生産工法をも変える技術。「受け身にならず新技術を提案し未来のクルマ開発を後押しする。頼りにてもらえばこれからも新車開発に参画し続けられる」(経営幹部)。

EV化で需要が増えるバッテリーケースの金型に力を入れるのは、あるダイカスト金型メーカーだ。対応する設備を導入しミッションケースや骨格部品の金型で培った技術やノウハウを生かす。

今後は自動化で生産効率を高め、海外の需要も取り込めるようにする計画。「エンジン車向けのミッションケースはいずれ減っていく。それをバッテリーケースに切り替えていく」(社長)。

ただEV開発は過渡期。エンジンが減る一方で電装部品が増える。車台の一体成形が進めばケースは無くなる。海外需要が増えれば金型の世界地図も変わる。大切なのは変化を早く察知し、見極め、次の一歩を踏み出すこと。もう正念場は始まっている。

金型新聞 2024年1月10日

関連記事

日進精機 半導体部品分野に参入

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

ナガセインテグレックス 超精密加工を自動で、軽く強い機械だから可能に【特集:金型づくりを自動化する】

スマートシステム ナガセインテグレックスは、超精密化・省人化を実現する各種加工ソフト「スマートシステム」をオプションで提供している。「IGTARP DESIGN(イグタープデザイン)」をコンセプトに製作したSGDシリーズ…

黒田製作所 工場新設、大型成形機導入 【特集:進む設備の大型化】

大型金型の需要に対応 プラスチック金型を手掛ける黒田製作所(岐阜県羽島郡岐南町、058・247・7423)は自動車向けの大型プラスチック金型に対応するため、本社そばに新工場を立ち上げ、UBEマシナリーの大型射出成形機「3…

熟練の技生かし金型の修正を減らす方法【変わるトヨタの型づくり】

PART2:匠の技をデジタルに帰す 金型の修正ゼロへ 匠がデジタル技術を駆使すれば金型の修正を減らせないか—。モビリティツーリング部は、そんな取り組みにチャレンジしている。熟練の技を生かし、デジタルの金型モデルでトライと…

シミュレーションソフト【Breakthrough!】

金型のユーザーニーズとして普遍的なものが短納期化。昨今は開発期間の短縮など金型生産に費やす時間が短くなっているほか、コスト削減のため工数削減(手戻り削減)が大きな課題となっている。そこで重要なのがCAEの有効活用だ。近年…

トピックス

関連サイト