金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

04

新聞購読のお申込み

成形品の一体化や多数個取り【特集:進む設備の大型化】

既設機よりも大型の設備を導入する金型メーカーが増えている。成形品の一体化や成形工数の増加、多数個取りなどによって、金型が大型化し、既設機だけでは対応が難しくなっていることなどが背景にはあるようだ。各社、大型の加工機やプレス、成形機などを導入し、新規受注獲得に向けて取り組みを進めている。機械メーカーも大型機の生産能力を増強し、対応している。補助金制度による後押しもあり、今後さらに大型設備への投資が進みそうだ。

共立精機(大連)は「ギガキャスト」に対応

黒田製作所(岐阜県岐南町)は昨年、本社南側に新工場を建設し、型締力3000tの射出成形機を導入。これまでの最大だった1600tを超える大型金型の社内確認・トライを可能にした。年初には大型放電加工機も増設した。EV化に伴う樹脂部品の増加や部品の大型化などに対応し、新たな受注獲得を目指している。

こうした部品の大型化対応で代表的なのが、大型鋳造技術「ギガキャスト」。一部の金型メーカーが対応に向けて動きを進めている。共立精機(三重県松阪市)の中国子会社、共立精機(大連)もその1社。同社では最大120tのクレーンを設置した他、門型MCや2ヘッドの大型彫放電加工機といった大型機を導入した。すでに量産金型の製作実績も持っているという。

一方で、部品の複雑化による成形工数の増加や、多数個(多列)取りによって大型化する金型に対応する企業も少なくない。黒田精工(川崎市幸区)は昨年12月、モータコア金型などを手掛ける長野工場(長野県池田町)を拡張し、300t大型高速プレスを導入した。モータコア形状の複雑化による金型の工数増加、金型の多列化などによって大型化が進むモータコア金型の需要に対応する。

こうした金型メーカーによる大型設備導入の動きは金型の大型化に加え、補助金額や補助率の大きい補助金によって、大型投資が行いやすくなっていることも背景にある。特に「事業再構築補助金」は1社あたりの補助金額が最大1億円、補助率は3分の2と規模が大きく、多くの企業が活用している。黒田製作所や黒田精工も同補助金制度を活用して設備を導入した。

大型機の需要拡大を受け、機械メーカーも対応を進める。牧野フライス製作所(東京都目黒区)は昨年末、山梨県富士吉田市に大型機の組立工場を新設し、生産能力を現状から2倍に引き上げる計画を発表した。同社執行役員の高山幸久氏は大型機の強化に取り組む理由について「軽量化や部品点数の削減を目的に部品の一体化が進んでいる。今後需要が拡大する可能性が高い」と語る。

労働人口減少による人手不足や、環境対応など、金型産業は多くの課題を抱える。また、顧客からの要求はますます高度化が進み、今後対応していくには既存の技術や設備だけでは難しくなっていく。大型設備の導入はこうした未来を見据えた対策の一つ。来年度も設備投資を後押しする補助金制度の実施が予定されており、大型投資に踏み切る金型メーカーが増える可能性は高い。

金型新聞 2024年3月10日

関連記事

自動車の電動化想定し、大型で複雑・高精度なプレス技術を開発[プレス加工技術最前線]

自動車の電動化や軽量化ニーズの高まり、短納期化、熟練作業者の減少など、プレス加工を取り巻く環境は大きく変化している。プレス加工メーカーへの要求も高度化しており、これまで以上に技術革新を進め、変化するニーズに対応することが…

横田悦二郎氏

【プレス型特集】強みを維持し続けるには…
日本金型工業会 学術顧問 横田 悦二郎氏に聞く
プレス金型の強みと未来

ゼロベースで知恵絞る 得意な分野で連携を 顧客の生産技術をサポート  日本金型工業会の学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は、日本のプレス金型の強みを「他の型種に比べ、技術の蓄積が生かせる部分が大きい」と…

【検証】変わる金型基金 新たな船出3<br>年金有期化で安定運用

【検証】変わる金型基金 新たな船出3
年金有期化で安定運用

 前号では、日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)の現行制度の「定額加算」と「高い予定利率」の2つの課題とその解決策を紹介した。本号では、3つ目で最大の課題でもある「終身年金」の課題と、新制度ではどのよ…

【特集:新春金型座談会】広がる世界市場をどう開拓する(Part3)

日本の価値はどこにある 量産支える金型や知見 松岡 先ほど松野さんが安く作ると話されましたが、私は金型を安くしたくないですね。金型は本来高くなきゃいけないのに、どんどん下がっています。持続的に経営をしていくためにも、値段…

元本田技研工業 田岡秀樹氏に聞く【特集:自動車金型の未来】

電動化に3つの方向性 電動化やギガキャストで変わる自動車づくり。元本田技研工業で型技術協会の会長も務めた田岡秀樹氏は「自動車業界はゲームチェンジの局面を迎えており、破壊的なイノベーションが起きている」とみる。一方で「中小…

トピックス

関連サイト