金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

28

新聞購読のお申込み

成形品の一体化や多数個取り【特集:進む設備の大型化】

既設機よりも大型の設備を導入する金型メーカーが増えている。成形品の一体化や成形工数の増加、多数個取りなどによって、金型が大型化し、既設機だけでは対応が難しくなっていることなどが背景にはあるようだ。各社、大型の加工機やプレス、成形機などを導入し、新規受注獲得に向けて取り組みを進めている。機械メーカーも大型機の生産能力を増強し、対応している。補助金制度による後押しもあり、今後さらに大型設備への投資が進みそうだ。

共立精機(大連)は「ギガキャスト」に対応

黒田製作所(岐阜県岐南町)は昨年、本社南側に新工場を建設し、型締力3000tの射出成形機を導入。これまでの最大だった1600tを超える大型金型の社内確認・トライを可能にした。年初には大型放電加工機も増設した。EV化に伴う樹脂部品の増加や部品の大型化などに対応し、新たな受注獲得を目指している。

こうした部品の大型化対応で代表的なのが、大型鋳造技術「ギガキャスト」。一部の金型メーカーが対応に向けて動きを進めている。共立精機(三重県松阪市)の中国子会社、共立精機(大連)もその1社。同社では最大120tのクレーンを設置した他、門型MCや2ヘッドの大型彫放電加工機といった大型機を導入した。すでに量産金型の製作実績も持っているという。

一方で、部品の複雑化による成形工数の増加や、多数個(多列)取りによって大型化する金型に対応する企業も少なくない。黒田精工(川崎市幸区)は昨年12月、モータコア金型などを手掛ける長野工場(長野県池田町)を拡張し、300t大型高速プレスを導入した。モータコア形状の複雑化による金型の工数増加、金型の多列化などによって大型化が進むモータコア金型の需要に対応する。

こうした金型メーカーによる大型設備導入の動きは金型の大型化に加え、補助金額や補助率の大きい補助金によって、大型投資が行いやすくなっていることも背景にある。特に「事業再構築補助金」は1社あたりの補助金額が最大1億円、補助率は3分の2と規模が大きく、多くの企業が活用している。黒田製作所や黒田精工も同補助金制度を活用して設備を導入した。

大型機の需要拡大を受け、機械メーカーも対応を進める。牧野フライス製作所(東京都目黒区)は昨年末、山梨県富士吉田市に大型機の組立工場を新設し、生産能力を現状から2倍に引き上げる計画を発表した。同社執行役員の高山幸久氏は大型機の強化に取り組む理由について「軽量化や部品点数の削減を目的に部品の一体化が進んでいる。今後需要が拡大する可能性が高い」と語る。

労働人口減少による人手不足や、環境対応など、金型産業は多くの課題を抱える。また、顧客からの要求はますます高度化が進み、今後対応していくには既存の技術や設備だけでは難しくなっていく。大型設備の導入はこうした未来を見据えた対策の一つ。来年度も設備投資を後押しする補助金制度の実施が予定されており、大型投資に踏み切る金型メーカーが増える可能性は高い。

金型新聞 2024年3月10日

関連記事

JIMTOF総集編 PART2:DX、デジタルツイン
加工プログラムや解析、自動で

JIMTOF2022で次世代の技術としてひときわ注目を集めたのがデジタル技術だ。IoTやAI、クラウドなどを活用し機械の稼働状況監視や加工の不具合低減に生かす。金型づくりでもデジタルトランスフォーメーション(DX)が課題…

関東製作所 渡邉社長インタビュー 【特集:営業ってどうする?】

デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…

日本精機 AM技術でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ソディックと共同開発、大型3Dプリンタを導入 AM技術を武器にギガキャスト向け金型で需要開拓を狙うのが、ダイカスト金型メーカーの日本精機だ。まずは、高い熱交換機能が求められるギガ向け金型で、AMで造形した入れ子部品の採用…

海外で28年間工場長を務める明和製作所の常務 「工場長の役割は成果(利益)を出すこと」【特集:工場長の条件】

時には経営者、時には教え諭す教育者—。工場長には多様な役割が必要だ。こうしたマルチタスクをこなすために、どのようなことを意識しながら、責務を果たしているのか。現役工場長に、工場長としての哲学を聞いた。 役割は成果を出すこ…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -連携-

PART1 共和工業 相談役・岩渕学氏(日本金型工業会副会長)に聞く「連携」 連携強化は時代の必然 個社が自律した  新たな協業のカタチを 金型メーカーの本質を突き詰めると「連携」が不可欠なのは明らかです。では、そもそも…

トピックス

関連サイト