金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

25

新聞購読のお申込み

ウエブサイトやSNS活用し、見込み顧客発掘 【特集:営業ってどうする?】

金型メーカーの新規顧客の開拓方法が変わりつつある。これまでの直接訪問やテレアポといった手法から、インターネットやスマホの普及、コロナ禍で急速に進展した非対面活動の拡大によって、ウエブサイトやSNSなどを使って情報を発信し、見込み顧客を発掘する企業が増えている。

発注者が知りたい情報を

電機部品の成形や金型を手掛ける御津電子(岡山市北区)はウエブサイトを改良し、新規取引先を開拓している。2019年に改良してからのアクセス数はのべ50万件で、問い合せは1000件ほど、そのうち14件が取引につながったという。

サイトを改良した人見社長(御津電子)

サイト改良のきっかけは、大手取引先の海外進出。その製品を手掛けていた牛窓工場(岡山県瀬戸内市)の仕事が約3分の1に減少。新規顧客を開拓するために、前職でウエブマーケティングに携わっていた人見雄一社長が自身の経験を生かし、サイトの改良に着手した。

得意な技術や価格、納期など、発注者の必要な情報を掲載し、他社と比較しやすい工夫を施した。また、被リンクを増やすなど検索エンジン最適化(SEO)対策にも取り組んだ。「発注者が知りたいことを発信すれば、いずれ反響が返ってくると感じていた」(人見社長)。

プラ歯車に特化したサイト

同じくウエブサイトを活用するのが、プラスチック歯車の金型などを手掛けるチバダイス(東京都葛飾区)。22年にプラスチック歯車に特化したソリューションサイト「ギヤプラス」を立ち上げた。「音を静かにしたい」や「耐久性を向上させたい」などの課題に応じた自社の技術やサービスを掲載している。

もともと同社は歯車に特化した独自技術を強みとし、金型製作だけでなく、受託開発や試作なども請け負っている。以前からコーポレートサイトからの問い合わせも少なくなかったが、「もっと分かりやすいサイトを作れば、問い合わせも増えると考えていた」(千葉英樹社長)。現在、1日数件の問い合わせがきており、約2年で数千万円の受注につながっているという。

新たに立ち上げたソリューションサイト(チバダイス)

Xがきっかけ自社製品も

こうしたウエブサイトの他、SNSを活用する企業も少なくない。プラスチック金型メーカーの一成モールド(新潟県三条市)は技術営業部長の氏田遼佑氏が22年からX(旧Twitter)を開始。フォロワーは現在、3000を超える。

当初は金型メーカーの日常や後継者としての悩みなどを投稿していたが、Xを通じてデザイナーと知り合ったことで、米由来のバイオマス樹脂「ライスレジン」を使った製品の共同開発につながった。また、これまで実績のなかったホビー関連の金型を受注するなど、5~6件の新規受注につながっているという。

製造過程の動画などを公開する(一成モールド)

直近では、Xでの出会いがきっかけで自社製品も開発。手軽に使用できる書道具「RAPHTOOL(ラフツール)」を手掛けた。Xでは金型の写真や製造過程の動画なども投稿しており、「通常はお客さまの都合上、自分たちが作った金型をみせることはできないが、自社製品であれば見せることができる。PRしにくいという課題を解消できた」(氏田部長)。

ウエブを活用して発注先や協業先を探したり、SNSを通じて情報を発信し、交流を図ったりすることは、今や当たり前の時代。金型メーカーにとって、ウエブサイトやSNSなどのデジタルツールを活用した営業手法は、これからますます重要となるはずだ。

金型新聞 2024年5月10日

関連記事

ナガセインテグレックス 超精密加工を自動で、軽く強い機械だから可能に【特集:金型づくりを自動化する】

スマートシステム ナガセインテグレックスは、超精密化・省人化を実現する各種加工ソフト「スマートシステム」をオプションで提供している。「IGTARP DESIGN(イグタープデザイン)」をコンセプトに製作したSGDシリーズ…

金型取引改善分科会会長 渡辺隆範氏に聞く 金型業界で足並みそろえ、値上げを実現【特集:どうする値上げ】

業界の弱体化は顧客にマイナス ユーザーと金型メーカーはどちらかが欠けても成り立たない「イコールパートナー」だと訴えてきました。我々の事業を安定させるためにも、値上げは粘り強く要求していくべきで、そのためには足並みをそろえ…

型種や工法の壁無くし、デジタルを活用 【変わるトヨタの型づくり】

モビリティカンパニー目指し、金型づくりを大変革 クルマを造る会社から、多様な移動手段を提供する「モビリティカンパニー」に変化するトヨタ自動車。モノづくりでも変革を進めている。2020年に試作や量産など内製部門を集約した「…

【特集】2030年の自動車と、金型と

PART1:電動化というチャンス、新たな需要が生まれるPART2:この10年を振り返るPART3:新潮流に挑むチャレンジャーたちPART4:記者の目 PART1 電動化というチャンス、新たな需要が生まれる  電子部品、モ…

水素エンジン車に生かされる型づくり技術とは?【変わるトヨタの型づくり】

PART3:新たなクルマづくり 若手の挑戦と育成両立 新たなモビリティの一つである、水素エンジン車でも新たなモノづくり技術が生かされている。昨年7月に大分県のオートポリスで行われたスーパー耐久シリーズ。ここに出走したカロ…

トピックス

関連サイト