金型クリアランス 調整が不要に 三菱重工工作機械が大形高精度加工機「MVR・Fx」に搭載できる「空間誤差補正システム」が注目を集めている。経年変化や環境温度変化で生じるXYZ位置の空間誤差を自動的に検知し校正するもので…
日本精機 金型流路洗浄液と装置を開発
分解不要でスケール除去
ダイカスト金型メーカーの日本精機(名古屋市守山区、052・736・0611)は、冷却水管内部のスケールや錆を除去できる洗浄液と専用装置を開発した。6月のインターモールド名古屋で発表する。高い洗浄効果で新型同様の冷却効果を維持でき、金型寿命の延長にもつながる。ダイカスト型以外にも水管が必要な樹脂型にも提案する。
製品を効率的に冷却するため、複雑な水管を設ける金型は多い。最近は3Dプリンタで水管を造形することも増えている。
一方で課題は水管内部の洗浄。金型を使用するうちに、水管内に堆積したスケールや錆で、冷却効果が低下する。しかし、複雑な水管は内部が見えないため、直接洗浄できず、効果も確認しづらい。冷却効果を維持するため、金型を分解することもあり「数日掛かることもある」(松原雅人常務)。

こうした課題を解決するため、化学メーカーと共同で洗浄液「N—SR004」を開発し、合わせて専用装置も製作した。スケールや錆の除去、穴詰まりの解消が可能で、洗浄効果は高い。実証実験したサンプルワーク(写真)では、洗浄前に790㎖/分だった流量が洗浄後は1790㎖/分に改善。ほぼ新型に近い効果が得られたという。
母材への寸法影響もないのも大きな特長。「流路の変化は0・01ミリ程度の変化だった」という。また、強酸性成分で廃棄は中和処理すれば一般の産業廃棄物で処理できる。
装置本体価格は800万円程度を想定。洗浄液は現在、「一般的な洗浄液の3倍程度だが、将来は増産し、5000円/ℓに抑える」目標を掲げている。
松原常務は「定期洗浄することで、製品品質の維持安定と金型寿命の延長が期待できる。洗浄のために、金型を分解する手間も省ける」とその効果を話す。まずはダイカスト型向けに販売していくが、「冷却が必要な樹脂型などにも展開していきたい」と話している。
金型新聞 2024年5月10日
関連記事
外段取りの効率性向上 ダイカスト金型を手掛ける七宝金型工業(愛知県津島市、0567・24・8787)は昨年発売した自社製品の精密ジャッキ『EASYG(イージグ)』の第2段を開発。従来品は工作機械のテーブル上でしか使用でき…
ダイカスト金型などで使用され始めた金属3Dプリンター。しかし、造形で広く使われる粉末材のマルエージング鋼では熱伝導性が低いなどの課題もあり、SKD61相当の粉末材の開発が求められていた。今回、三菱商事テクノスと大手素材メ…
加工と表面処理も 非鉄金属や銅などを扱う専門商社の白銅(東京都千代田区、03-6212-2811)は昨年から、ピンやパンチなど特注金型部品の取り扱いを始めている。連携する中国の加工メーカーで製作した部品を輸入し、日本国内…
ワイヤ回転機構を搭載 ソディックは、世界で初めてワイヤ回転機構を搭載したワイヤ放電加工機「ALアイグルーブエディション」を開発した。 ワイヤを回転させながら加工することで、高精度で高品位な面が得られる。段差加工を簡単…


