鈴木の2022年6月期通期決算は売上高が234億1000万円(前年度327億800万円)だった。収益認識に関する会計基準の適用で前年同期比は公表していないが、適用外の金型事業の売上高は15億3600万円と前年同期比12%…
三井化学、共和工業 M&Aで事業展開にシナジー【特集:連携・M&Aで乗り越える】
部品開発や共同研究
2014年に共和工業が三井化学グループに入ってから9年。グループ内で共同開発した部品が自動車メーカーに採用されたり、共同研究を進めたり、協業による相乗効果を高めている。近年は住宅設備部品開発でも手を組むなど「協業できる領域はもっとある」(三井化学出身の森園賢一常務執行役員)とし、さらなるシナジーを生み出す考えだ。
M&Aに踏み切ったのは両社の戦略が合致したためである。自動車事業を強化したい三井化学は素材だけでなく、金型や試作品まで提供する必要があると考えていた。一方、共和工業も「金型単独ではサービスの提供やソリューション提案は難しい」(熊谷勇介社長)と考えており、両社の想いが一致した。共和工業は素材メーカーとのM&Aだと既存顧客への影響がないこともグループに入る決め手だったという。

その後9年を経て、着実に成果が出始めている。金属部品の樹脂への置き換えや、複数の部品を一体化した部品が自動車メーカーに採用されている。その象徴的な一つがガラス繊維強化樹脂製のバックドアである。三井化学のガラス繊維強化樹脂を、共和工業の金型を使い、成形メーカーが成形するという「三位一体」で共同開発した。
「樹脂の配合を見直したり、金型形状を変更したり、単独では得られない情報や知見を学べた」(熊谷社長)。三井化学も自社では部品の量産まで携わったことがないため「量産で必要な知見が得られた」(森園常務)と言う。
共同開発も進んでいる。その象徴が19年に共和工業の本社の隣接地に設けた「デザイン&ソリューションセンター」(写真)だ。自動車部品を中心に、設計、解析、成形、試作、耐久試験までを一貫で行える。三井化学の研究者が樹脂や製品を開発して、共和工業で試作型を作り、それらの情報をフィードバックし、最終製品の提案につなげている。「共同でテーマを設定した研究開発も多い」(熊谷社長)という。
他社を巻きこんだ協業も進んでいる。共和工業はダイカスト型メーカーの米谷製作所(新潟県柏崎市)とギガキャスト向けの金型開発も進めている。ここでも三井化学のグループ会社の解析力も使い、技術開発を進めている。

こうして、さまざま形で協業を進めており、森園常務は「三井化学に対しては財務面より無形部分の貢献が大きい」と話す。「素材メーカーは、例えば昔は新素材を開発しても試験片を提案することだけにとどまっていた。この協業により成形品はもとより、成形時での物性変化、加飾といった機能まで提案ができる」。
今後の取り組みはシナジーの拡大だ。近年は自動車分野で培った協業を住宅設備向けにも広げている。三井化学の素材を活用したユニットバスを展示したショールームも設置するなど、住設向けでも実績が出始めている。
森園常務は「三井化学には130社超のグループ企業がある。もっと協業できる分野はあるはず」とし、協業のさらなる深化、拡大を目指す。
会社概要(三井化学)
- 本社:東京都中央区八重洲2—2—1
- 電話03・6880・7500
- 代表取締役:橋本修氏
- 創立:1955年
- 従業員:1万8933人
- 事業内容:ライフア&ヘルスケアソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション、ベーシック&グリーンマテリアルズ
会社概要(共和工業)
- 本社:新潟県三条市直江街4-18-18
- 電話:0256・34・4441
- 代表取締役:熊谷勇介氏
- 創業:1963年
- 従業員:309人
- 事業内容:熱可塑性樹脂射出成形金型、熱硬化性樹脂用プレス金型製造 開発試作型、複合材各種成形金型製造など。
金型新聞 2024年6月10日
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