著者は研削加工中、研削砥石に曲げ振動が生じていることを発見した。この振動から生じる微小な音(本研究では曲げ振動音と呼ぶ)をマイクロフォンにより測定することで加工状態の良否を識別できる技術を開発。その結果、ドレッシングイン…
アイダエンジニアリング 金型寿命予測などプレス加工業のDX支援【金型テクノラボ】
人工知能(AI)を活用した技術が製造業でも実装され始めている。当社では、プレス機から得たさまざまなデータをAIで分析し、金型の寿命予測や加工相談などプレス加工業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するアプリケーションを開発している。本稿では、そのプラットフォ—ムである「Ai CARE」の特長を紹介する。
はじめに
人手不足が加速する中で、デジタル技術を活用し、ビジネスプロセスを見直すDXは欠かせない。当社でもプレス機の稼働状況を始め、さまざまなデータの可視化を支援する「Ai CARE」を展開してきた。
今年4月、データの可視化にとどまらず、そのデータを基にAIで様々な分析を行うことができる機能を備えた「AIDAデータアナリティクスシステムAi CARE」に刷新した。その機能について紹介する。
金型の寿命を予測
金型の寿命予測では金型にセンサを取り付けて金型の状態を見て判断するケースが多い。ただし、配線ケーブルが必要となり、メンテナンスの際のセンサの取り付け位置精度の再現性の難しさなどの問題がある。
金型にセンサを取付けることなく、情報を把握する方法を模索していたところ、プレス機の荷重から様々な情報が得られることが分かった。そこで、Ai CARE上で提供する「金型寿命監視アプリ」を開発した。

寿命を監視したい金型を取り付けたプレス機から生産中の荷重データを取得、AIで分析し「健全度」として表示。メンテナンス直後を「健全度100」、メンテナンス直前を健全度「0」とし、健全度の変化からリアルタイムで金型の状態が分る仕組みを構築した。
例えば「健全度が10になったらメンテナンスする」などと決めることが可能。これまで「2万ショットでメンテナンスする」といった曖昧なメンテナンス時期を金型ごとに適切に規定できる。
当アプリを使用するには、金型ごとのデータを取得してAIに読み込ませる必要がある。実際には当社専用のクラウドにデータ転送するだけで、個別にセンサを用意したり、システムを構築したりする必要がなく、すぐに使用することができる。
生成AIエージェントによるアドバイス
Ai CAREでは、オープンAI社の生成AI「ChatGPT」を活用したエージェントアプリも提供する。機械の操作方法や復旧方法、プレスの加工方法など、これまで当社が蓄積してきた技術的な情報をAIに読み込ませ、オペレーターの質問に対し助言を行う。

例えば、経験が少ないオペレーターはトラブルが発生した際に、取扱い説明書のどこを参照すればよいのかも分からないことがある。こうした際、AIが復旧に向けて適切なアドバイスを行う。
生成AIは言語対応や文章作成能力に優れるのが特長。難しいデータをわかりやすく解説したり、日本語のデータやノウハウを他言語で表示したりすることもできる。
機械の故障予知や潤滑油の供給状態監視も
金型寿命監視や生成AIエージェント以外に、プレス機の故障予兆検知アプリも搭載している。
プレス機は同じ条件で同じ製品を生産している間、加工荷重など主要なデータは同一の特徴量を保った状態が繰り返され、データ間にはある一定の相関関係が成り立っている。AIがこの相関関係を持つ複数のデータの特徴を学習し、相関関係の崩れを異常予兆として捉え「異常度」として数値化する。人間では気付きにくいデータの微細な変化も検知することができ、早期に故障の予兆を捉えることが可能になる。
また、潤滑油の温度と圧力から潤滑油の供給状態を監視できるアプリなども提供している。
まとめ
今回紹介した機能は高速プレス機や精密プレス機に標準装備した。2年目以降はサブスクリプションで提供するものの、Ai CAREの活用効果を実感して頂くため、2年は無料とした。(カスタマイズは別途見積り)。
将来は今回の機能だけでなく、さまざまなアプリをAi CARE上で提供していく予定で、プレス加工業におけるAIを活用したDX支援のプラットフォームにしていきたいと考えている。
アイダエンジニアリング
- 執筆者:上席執行役員開発本部 副本部長 橋向喜春氏
- 住所:神奈川県相模原市緑区大山町2-10
- 電話番号:042・772・5231
金型新聞 2024年9月10日
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