金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

09

新聞購読のお申込み

日本鍛圧機械工業会 長利啓正会長(コマツ産機社長)インタビュー【特集:プレス加工の未来】

電動車による部品の変化や脱炭素対応などさまざまな変化に迫られている金型業界。見てきたように、こうした変化に対応すべく、プレス金型の製造現場ではいろんな取り組みを進めている。一方で、環境変化によってプレス機のニーズは変わるのか。プレス機メーカーからみたプレス技術の変化や、将来必要な技術などを日本鍛圧機械工業会の長利啓正会長(コマツ産機社長)に聞いた。

長利啓正(おさり・ひろただ)
1990年東北大学工学部材料加工学科卒。2013年執行役員販売サービス本部長、20年同事業管理部長、21年小松製作所金沢工場工場長、24年現職。埼玉県出身、58歳。

高剛性で大型要求増える

プレスを取り巻く環境はどう変化しているか。

脱炭素への対応や温暖化の影響によってユーザーの動向や需要が大きく変化しています。脱炭素化への要求に対し、自動車業界では多少減速感はありますが、電動車が増加しています。温暖化で新興国ではエアコンのニーズが高まっています。さらに、ロシア・ウクライナ紛争の影響もあり、欧州を中心に家庭機器ではヒートポンプの需要が増えています。

そうした需要の変化で増えるプレス部品は。

電動車の増加によりバッテリーケース、バスバーなどの需要が高まっています。さらに電動車に加え、安定通電が必要な再エネ分野で拡大しており、バスバーにおいては2022年に1・8兆円だった市場が32年に5兆円になるという調査もあります。

さらに自動車ボディの軽量化ニーズも強く、ハイテン化により薄肉化された骨格部品が増加しています。前述のエアコンやヒートポンプ関連部品も増加しています。

こうした部品でプレス機のニーズの変化は。

一つは大型化です。バッテリーケースも大型化しています。HVよりBEVのほうがバッテリーは大きく、工程数が12~14工程ほどあり、ボルスターエリアが大きくないと対応できません。バスバーはものによってはダイエリアが大きくなりますし、厚肉化しています。エアコンの室外機も大きくなると、ダイエリアが大きくなります。

二つ目として、自動車骨格部品ではハイテンなど硬い材料が増加しており、それらをプレスするため、より能力が高く、より剛性の高いプレス機へのニーズが増えていることです。トランスファープレスでは先々の需要を見越し、3500tクラスを導入する企業が増えています。

他には。

金型にはマイナスかもしれませんが、レーザーブランキングのニーズが高まっています。お客様のプレスショップの悩みの一つは金型保管スペースです。レーザーブランキングはこの課題の解決策となります。

IoTによる予兆管理なども増えています。

さまざな手法はありますが、金型やプレス機の挙動を把握して、型寿命を予測したり、プレス機の予兆保全をしたりする動きは加速しています。AIを活用するなどこうしたサービス開発は進んでいくと思いますね。

無人化・省人化も製造業では課題です。

ドアルーフなどのプレスラインでは、10人程度の人員が必要です。欧州企業では、オフラインの計測の効率化やクレーンのオペレータを減らすためにAGVを活用する動きもあります。

こうした検査や型の交換など周辺業務の省人化要求は日本でも強まっています。課題やそれに対する手法はいろいろ考えられますが、自動化は重要なテーマの一つであることは間違いないですね。

プレス機の脱炭素ニーズはどうでしょう。

脱炭素のニーズの高まりを受け、排出した二酸化炭素に値段をつけるインターナルカーボンプライシングが大手を中心に広がりつつあります。プレス機は20年以上使うことが多く、その間に排出するCO2はぼう大です。サーボプレスはメカプレスに比べ、40%程度電力量を削減できるので、サーボ化はさらに進んでいくと思います。

金型新聞 2024年10月10日

関連記事

【特集:新春金型座談会2026】日本の金型メーカーが勝ち残るカギは何か(Part3)

井口社長が考える勝ち残るカギ 「マーケットとプロダクトをフィット」 金型の価値にマッチする市場探す 司会 では井口社長が挙げたカギ、「マーケットとプロダクトをフィットさせる」はどういう意味でしょうか? 井口 マーケティン…

田口型範社長・田口 脩一郎さん 70年以上続く鋳造用金型メーカーを継いだ

埼玉県川口市で70年以上続く老舗鋳造用金型メーカーに生まれた。幼い頃から創業者の祖父に「3代目はお前だ」と言われて育ってきた。 高校に上がる頃には自然と会社を継ぐことを意識した。大学は理工学部に入り、機械工学を学んだ。後…

平和電機 工業用ヒーターの技術集団[金型応援隊]

射出成形機や押出成形機、各種金型に欠かせないもの、それは工業用ヒーターだ。バンドヒーターやマイクロシーズヒーター、カートリッジヒーターなど工業用ヒーターを手掛ける平和電機は長年培ってきたノウハウを活かし、顧客の課題解決に…

Sun Ai スモールスタートで自動化を促進 【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

電極・ワーク外段取り器プリセッター、1台で複数加工機に対応 昨今、国内の製造業は慢性的な人手不足に陥り、生産現場の自動化・省人化が不可欠になっている。しかし、高額な設備投資が課題となり、自動化が進んでいないのが現状だ。 …

三菱電機 誰でも簡単に高品位加工【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

ワイヤ放電加工機「MGシリーズ」、加工条件設定にAI活用 ワーク形状によって微妙な加工条件の設定が必要になるため、技能者によって加工レベルに差が出るワイヤ放電加工。三菱電機が13年ぶりに刷新したワイヤ放電加工機「MGシリ…

トピックス

関連サイト