金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

06

新聞購読のお申込み

新需要獲得に向け技術開発強化【特集:プレス加工の未来】

日本でのプレス加工の歴史が始まって約150年。日本の製造業の発展とともに、プレス加工は進化を続けてきた。近年では最大の需要先である自動車産業でEVシフトが活発化していることから、新しい需要獲得に向けた開発や事業に取り組む動きが広がっている。また、労働人口の減少による人手不足や技能伝承なども課題だ。プレス加工はどこに向かうのか。プレス加工の未来を探る。

EV化、人手不足対応

日本におけるプレス加工の始まりは諸説あるものの、明治時代に貨幣と薬きょうという2つの量産成形品の製造に用いられたとされる。その後、民間に波及し、玩具や日用品、自動車、電気機器、精密機器などへと広がっていった。金属加工の中でも安価に製品形状を作り上げることができる工法で、特に1950年代の大量生産・大量消費時代から日本経済の発展を支えてきた。

現在、プレス加工品の8~9割は自動車産業が占めている。この最大の需要先で目下起こっているのが100年に一度と言われる大変革だ。脱炭素社会の実現に向けて、電気モータを動力源とするEVへの転換を目指す動きが広がっており、プレス加工に求められるニーズも変化している。

昨年のプレス技術専門展で注目を集めたEV向けモータコア生産ライン(アイダエンジニアリング)

モータやバッテリーなどといった新たな部品の需要が増加し、多くのプレス加工メーカーはこうした電動化部品への参入を目指している。今後、EVシフトが進展し、必要な電動化部品の数が増えれば、量産性に優れるプレス加工の需要は今後さらに拡大する可能性が高い。

また、こうした電動化部品に加え、需要が高まっている分野の一つに高張力鋼板(ハイテン材)プレスがある。電動化に伴い車体の軽量化が求められる中、通常の鋼材よりも硬く、強度を維持したまま薄肉化ができるハイテン材は需要が高く、技術開発に取り組む加工メーカーは少なくない。特に最近はこれまで熱間プレスで加工していたような超ハイテン材を冷間プレスで加工し、生産性の向上や環境負荷の低減を提案する事例が目立っている。

新しい動きが広がる一方で、プレス加工現場では労働人口の減少に伴い、人手不足や技能伝承が深刻な課題となっている。プレス機・周辺機器メーカー各社はロボットやセンシングなどを活用した自動化技術や、AIを始めとしたデジタル技術を活用し、人手に頼らない生産システムの開発を進める。今後も競争力を維持、向上させていくためには、こうした技術をいかに生産現場に導入していくかが重要となる。

加工メーカー、プレス機・周辺機器メーカーがさまざまな開発を進めた結果、プレス加工でこれまで実現できなかった加工が可能になっている。今後、プレス加工が目指すのは、他工法からプレス加工への置き換え、EVシフトに伴う新しい需要の取り込み、そして、次代を据えた加工現場の改革だ。プレス加工の未来は動き始めている。

金型新聞 2024年10月10日

関連記事

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…

牧野フライス製作所 人の作業やミス減らす、各種データを一元管理【特集:金型づくりを自動化する】

金型加工支援システム 「人が介在する作業をどう効率化するか」—。牧野フライス製作所は工具やワーク、加工情報などのデータを自動でつなぎ、一元管理することで、人による作業を減らす提案を強化している。 加工の自動化は進化する一…

座談会 アイキャッチ

【座談会】金型メーカー・自動車メーカーが語る
次世代自動車の登場で金型づくりはどう変わるのか
ー2030年の金型業界ー 第1部

アルミ、樹脂など軽量化の流れ加速  次世代型自動車の登場が金型業界に及ぼす影響を懸念する声は少なくない。「電気自動車(EV)でエンジンはどれほど減るのか」、「アルミや樹脂は増えるのか」などの疑問は尽きない。そこで本年の新…

米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

金型メーカー 生産性向上が急務 【特集 攻める設備投資】

金型メーカーの生産性向上が急務だ。少子高齢化による人手不足の深刻化に加え、金型メーカー事業所数の減少により1社当たりの生産負担が増加し、より多くの金型を生産できるかが金型メーカーの持続的成長の重要な要素の一つとなっている…

トピックス

関連サイト