金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…
ソディック コバルトレスのマルエージング【特集:金型づくりのAM活用最前線】
残留応力下げ、加工しやすく
ソディックはコバルトを含まないマルエージング鋼系のAM用粉末材「HYPER21」を開発した。独自の造形技術「SRT工法」と合わせて使うことで残留応力を解放し、ソリなどの変形を抑制。造形後に機械加工しやすい硬度に調整したほか、物性値を調整することで輸出を可能にした。
造形中・後の変形や割れはワークに残る残留応力が要因であることが多く、残留応力をいかに制御するかが課題。金型で多く使われるマルエージング鋼では残留応力による変形が大きく、その変形を除去するために数㎜以上の切削の加工代が必要なケースがあるという。さらに、従来の材料では造形後の硬度が50HRC程度になるため、造形後に切削加工しづらいことも課題になっていた。

HYPER21とSRR工法を合わせることでこうした残留応力や機械加工の問題を低減した。
HYPER21はマルテンサイト変態点(鋼が硬化し始める温度)を調整。SRT工法(機械内部で簡易的に熱処理し、造形中・後の変形や割れを抑制できる造形方法)と合わせて使うことで、残留応力を解放し、変形や割れの問題を軽減した。複合切削機能を使用しない場合では造形時間の追加なくSRT工法の効果を得られるようにした。

造形後の硬度をプリハードン鋼と同等のHRC40程度にすることに成功。造形後に加工しやすくなったことに加え、入れ子とベース部が同じ硬度で加工できるなど造形後に加工しづらい問題に対応した。高い硬度が必要な場合は、時効処理を施すことが可能で、HRC50以上に上げることができる。
コバルトレスであることも大きな特長だ。コバルトを含有する金属粉末は特定化学物質障害予防規則に従った取り扱いが必要だがHYPER21は対象外で、運用負荷が低い。マルエージング鋼は輸出規制対象の材料だが、規制値を超えない物性に調整されていることから輸出が可能だ。
ソディックのレーザー加工機事業部開発部の松本格部長は「AMは造形が難しく、時間がかかるという声が多い。HYPER21は簡単に早く造形しやすくすることをコンセプトで開発した。今後も金型向けの装置やソフト、材料の開発に注力したい」としている。
金型しんぶん2025年11月10日号
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