自動車の電動化などによって部品メーカーは大きな変化に迫られている。車載用のプラスチック部品もその一つ。コネクタの狭ピッチ化、耐熱性の高い樹脂の採用などによって、金型や成形技術は高度化している。コネクタをはじめとする車載…
ワールド工業 西岡正幸社長に聞く 宇宙で使う金型開発
月の砂で月面基地部品
医療や自動車などのプラスチック金型を手掛けるワールド工業が、宇宙で用いる金型の開発に取り組んでいる。いま開発しているのが月の砂で月面基地の部材を成形できる金型。先駆けて開発し宇宙産業の市場開拓を考える西岡正幸社長にその狙いや背景、今後の目標を聞いた。

開発中の金型は月の砂を注入して圧力をかけ、基地の部材を成形する。月面や宇宙空間で用いることを想定しており、チタンを金型の材料に採用し、極度の温度差や強い圧力、衝撃に耐えることができるようにした。
人口増加や地球の自然環境の悪化を理由に、月は人類の新たな居住地として注目されている。そこでは月面に基地や住居をつくり長期的に滞在し生活することが現実的に考えられている。

部材を地球で造り、月に運ぶのは労力やコスト面で難しい。しかし金型を用い月で量産すればそれらの課題を解消できる。まだそうした計画は現実には無いが、先んじて金型の開発に取り組んでいる。
取り組む理由は、全く新たな市場を開拓するため。いま手掛ける医療や自動車の金型は競争が極めて厳しい。中国企業は最新の設備と引き抜いた優秀な技術者で競争力を高めている。延々と過当競争をしなければならない。

しかし宇宙で用いる金型は前例を聞いたことが無い。宇宙の金型の市場は競争相手のほぼないブルーオーシャン。先んじて開発にチャレンジすることで、この市場のパイオニアになれる魅力がある。
宇宙開発は現在、ロケットや人工衛星による宇宙空間の探査や利用、軌道を周回する旅行にとどまっているが、月面での長期滞在が現実になれば金型は部材量産で必要になる。
当社では宇宙で用いる金型を「スペースモールド」、この金型で成形することを「スペースモールディング」と呼んでいる。昨年の国際航空宇宙展や今年のエアロマート名古屋に出品しアピールした。
宇宙では無重力や真空の環境を利用し、地球ではつくれない製品を成形できる可能性がある。宇宙で量産した製品を地球に供給する。いつかそんな金型や成形技術を手掛けてみたい。
会社概要
- 本社:兵庫県宝塚市末成町39-9
- 電話:0797・76・6473
- 代表者:西岡正幸氏
- 創業:1974年
- 従業員:37人
- 事業内容:医療や自動車、電子部品などのプラスチック金型の設計製作
金型しんぶん2025年12月10日号
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